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三隣亡とは?意味と建築業界での慣習

建築業界では「三隣亡は凶日。家を建てるな」と言われています。実際に棟上式や地鎮祭を避けるのが一般的。ただ中には「迷信だ」という説もあります。そんな三隣亡の疑問や、吉凶を表す六曜(カレンダーで見慣れた先勝や大安等)の本来の意味について解説します。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド

三隣亡とは三輪宝?

三隣亡とは?

建築において凶日とされる三隣亡。どのような日なのか解説していきます

私達は普段の生活ではそれほど気にしていなくとも、いざ大事なことを決めるとなると大安か仏滅かなどと気にします。それは、何か新しく始めるときやお祝いごとは、「できるだけ気持ちよく良い日にしたい」という気持ちがあるからです。特に人生において一大事業になる家づくりは、家族の拠り所となるわけですから安心・安全を願う気持ちは強くなるわけです。

さて、良い日に関連して、建築業界には「三隣亡(さんりんぼう)のときは家を建てるな」という言葉があります。普段聞きなれない言葉ですから、「三隣亡は不吉な日なの?」「大安を選んだらその日は三隣亡だった…どうしよう」と不安を覚える声があると聞きます。
いっぽうで、さんりんぼうは“三輪宝”であり、本来は「おめでたい日」なので、上棟式や地鎮祭などの祝い事は問題ないという人もいます。本当のところはどうなのでしょうか?

ここでは三隣亡とはどんな日なのか。日本では古くからどのように使われてきたのかを解説したいと思います。あわせて、カレンダーや手帳の日にちごとに記載されている六曜(ろくよう)、つまり「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」についても、本来の意味を理解しておきましょう。
 

三隣亡とは地鎮祭など祝い事を避ける慣習とそのカレンダー

三隣亡とはこの日に建築をすれば、火事を起こし近隣3軒を焼き滅ぼすという言い伝えです
三隣亡は月に2~4日、一年でおおよそ30日あり、建築業界では、古くは江戸時代からこの日に上棟式や地鎮祭などのお祝い事を避ける慣習があります。

■三隣亡2018~19年のカレンダー
2018年10月 1日・17日・29日
11月 15日・27日
12月 12日・24日
2019年1月 5日・9日・21日
2月 2日・7日・19日
3月 3日・6日・18日・30日
4月 15日・27日
5月 14日・26日
6月 10日・22日
7月 4日・8日・20日
8月 1日・18日・30日
9月 14日・26日
10月 12日・24日
11月 5日・10日・22日
12月 4日・7日・19日・31日
(参考:崇歴.net)

上で述べたように、三隣亡に建築事を避けるのは、古くからの慣習です。また、日本に太陽暦と七曜制(月火水木金土日)が導入される明治以前では、それぞれの職業の人が職業に応じた理由で休みをとっていたので、大工さんたちは「三隣亡」を理由にして休みをとっていたのです。
 

「三隣亡を避ける」とは安全祈願などといったご近所への心配り

繰り返しになりますが、三隣亡を避けることは建築業界における慣習です。ですから「三隣亡だから何か実害を被る」というのも違いますし、「大安と三隣亡が重なった」日でも大安ですからさほど心配する必要はありません。

では三隣亡で建築事を避ける「本質」はどこにあるのでしょうか。それは、ご近所の安心・安全を願うという、ある種の配慮に他なりません。家を建てるというのは、これからその土地に根付き、その地域の中で生きていくことです。そのため近隣の方たちの安心・安全に関係する三隣亡という日に心配りをすること。そして祝い事を控えること。これは地域に根差して生きていく、私たちの心構えになるわけです。そして日本では古くから安心・安全への心構え、近隣への心配りが受け継がれてきたわけです。

ですから、やはり三隣亡では、近隣に配慮して建築関係の祝い事を控えたほうがいいでしょう。

ちなみに、三隣亡は“三輪宝”であり、本来はおめでたい日なので「家を建てるなというのは迷信だ」という説。この説をよくよく調べてみると、仮に三隣亡が一年に何回もあると、建設業者の経営や工事日程等が大きくずれ、打撃を受けることから都合よく替えられたようです。
土地の神を祝って敷地を清める地鎮祭も安心・安全を祈る行いです

土地の神を祝って敷地を清める地鎮祭。地鎮祭を行うことも三隣亡を避けることも、どちらも安心・安全を祈る心構えになります

 

六曜が持つ意味とは?

三隣亡の次に気になるのが、六曜です。
六曜はもともと現在の月火水木金土日の七曜と同じように、日にちを区別するために用いられていた符号でした。しかし、時代とともに広く使われるようになり、吉凶の意味が付加されてきたのです。その吉凶の意味は次のとおりです。
 
先勝
何事も急ぐことがいいという意味で、午前中は吉で、14~18時が凶です。
 
友引
友引は大安に続いて、吉日といわれています。特に友達を引き寄せるということで、結婚式にはいい日とされています。昼は凶ですが、午前中と夕方~夜は吉なので、昼を避ければいいです。
 
先負
先勝と正反対の意味です。何事も急がず慌てず騒がず控えめに過ごすことが、吉とされている日です。午前中は凶で、午後は大吉なので、用事があれば午後からにすることです。
 
仏滅
仏も滅するような大凶の日」という意味があります。六曜の中で最も凶の日です。
 
大安
大いに安し」という意味があります。六曜の中で最も吉の日です。
 
赤口
「赤」という字がや、刃物を連想させることから、注意が必要な日とされています。11~13時までは吉で、それ以外は凶です。

仏滅といっても仏様とは関係なく、大安だからといって神社とも関係ありません。
これらは江戸時代から、現代まで先人がつくり上げた暮らしの知恵や習慣のひとつなのです。


【ガイド佐川旭のメッセージ】

三隣亡にしても、六曜にしても、由来も定かではなく、迷信かもしれません。
しかし、人は弱いもので時には生き方に迷い、誰かにすがりつくこともあるでしょう。
また、自らの中心点を見失うこともあるかも知れません。
そんな時、ふと暮らしの知恵や習慣に励まされ気付かされることもあるでしょう。
つまり、これらの習わしをしっかり守ったからといって幸せになれるとは限りません。

しかし、幸せを願うことはできます。
願うことで人は新しい中心点ができ、いくつものヒダができていきます。
家づくりで大切なことは、安心・安全な家づくりはもちろん、「三隣亡を避ける」といった、地域への配慮、近隣への心配りも重要なのです。なんといっても家は動産ではなく、土地に根付く不動産ですから。

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