第3の戦場:PC
さて、肝心のPCです。PCでDVD映像を見るスタイルも増えてきていますので、PCメーカーがどちらの規格を支持するかは、DVDレコーダーと同様に重要です。国内のPC出荷実績でみてみましょう(MM総研調べ、2004年度)。ただし、これはデスクトップPCだけでなく、ノートPC、一部サーバ機も含まれています。国内のメーカー別PC出荷実績(2004年度) |
ここでは、HD陣営のNECがシェア1位、東芝が4位で、計30.4%を占めています。また、「その他」に含まれるLenovoが6%前後ですので、全体で約36%となります。
これに対して、BDはシェア3位のDELL、5位のソニーで計17.9%。BDが劣勢に思えますが、「その他」の32.1%には、BDを支持するヒューレット・パッカード(HP)、日立、Appleが含まれます。この3社のシェアは計10~12%といわれていますので、合計で約30%。HD陣営との差は縮まりますが、HDの優位は変わりません。この点で、シェア2位の富士通の動向が気になるところです。
国内から目を転じて、米国でのシェアをみてみます。最新の2005年第2四半期の出荷台数では、BDを支持するDELL、HP、Appleの3社だけで計53.7%と過半数を超え、日本国内とはかなり状況が変わります(ガードナー・データクエスト調べ)。「HD優位」は、日本国内の事情と言えそうです。
以上から、PCの「戦場」では、引き分けだと言えるでしょう。
第4の戦場:謀略戦・援軍、寝返りの可能性は?
しかし、HDには強力な「援軍」があります。PCのOSを握るMicrosoftと、CPUを中心とするハードウェア規格に支配的な力をもつIntelの両社が、HDを支持していることです。両社はHDを支持する理由をいくつかあげていますが、いずれも決定的なものではないため、DELLなどは、両社に対して批判的なコメントを寄せています。
むしろ、MicrosoftがHDを支持するのは、ソニーがBDをゲーム機「Playstation 3」に搭載することに対抗し、自社製の「Xbox」を広めたいからだと言われています。また、Intelはデジタルホーム・プラットフォームを提唱していますが、これを進める点で、ソニーなど家電系メーカーに主導権を握られるのを嫌っているのでは? という観測があります。
この「揺さぶり」が効いたのでしょうか。BD陣営のHPは、合法的コピー技術をBDに早期に採用することなどを強く求め、受け入れられなければHD支持に回る可能性も示唆(しさ)しています。
一方、光学ドライブメーカーとして大きなシェアをもつNECとソニーが、共同で新会社を設立することが発表されました。新会社は、BD、HDのどちらかに生産を限るという可能性を否定し、「顧客の要望に合わせて」ドライブを生産するとのこと。新会社の出資比率はソニー優位で、これはBD陣営への「追い風」です。
次世代DVDをめぐる「戦争」は、現状ではBDが優勢であることは間違いありません。しかし、PCやハイテク業界は「一寸先は闇」で、何が起こっても不思議でない世界です。この「戦争」の終末は、まだまだ決まっていません。
いずれにしろ、ユーザーとしては一刻も早い規格の一本化を望みたいところです。
次世代のDVDはどっち? ブルーレイ それともHD DVD?
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