青色申告で確定申告を行うメリットは節税に有利?申請の仕方とは?

会社を辞めて、起業した個人事業主、あるいは、アパート、マンション経営で家賃収入を得ている人等は確定申告をしなくてはなりませんが、その確定申告の方法に2通りの方法があります。
ひとつは白色申告、もうひとつは青色申告です。

もちろん、青色で確定申告を行うためには一定の期限までに「青色申告承認申請書」を提出しなくてはいけないのですが、裏を返せば、会社を辞めて、起業した個人事業主、あるいは、アパート、マンション経営で家賃収入を得ている人等は何も手続きしなければ白色申告、一定の期限までに「青色申告承認申請書」を提出すれば青色で確定申告を行うことができる権利があるといっていいでしょう。

では、納税者にとって青色で確定申告を行うとどのようなメリットがあるのでしょうか?
いくつか利用頻度の高いものをとりまとめてみました。

■青色申告特別控除を受けることができる
■親族に払う相応の給与や賞与を必要経費に計上できる
■少額減価償却資産の特例を受けることができる
■赤字を翌年の(あるいは前年の)節税に利用できる
■税務調査時に推計されることはない

などがあります。それぞれポイントをみていきましょう。
 

ポイント1 青色申告特別控除を受けることができる

個人で起業している人やアパート、マンション経営で家賃収入を得ている人は通常は総収入金額から必要経費を差し引いて所得を算定することとなります。しかし、青色で確定申告を行っていればそこからさらに青色申告特別控除額を差し引けるため算式は以下のとおりとなります。

総収入金額―必要経費―青色申告特別控除額

青色申告特別控除額が65万円になるケースと10万円になるケースがあるのですが、65万円を適用するためには以下の3点をクリアしなくてはいけません。
  • 事業を営んでいる人、あるいは生計を立てられるほどの不動産所得がある人
  • 「貸借対照表」と「損益計算書」をともに添付して確定申告手続きを行っている人
  • 3月15日までに提出といった期限を守って確定申告手続きを行っている人
です。

逆からみれば、こられ3点のうちひとつでも抵触してしまうと青色申告特別控除額65万円は適用できなくなるということです。

生計を立てられるほどの不動産所得とはどのように判断するのかというと、ひとつの基準として、戸建てであれば5棟、アパートやマンションであれば10室から家賃を得ている大家さんなら、給与所得等がなくてもそれだけで生計が立てられると判断してくれるということです。これを「5棟10室基準」といっています。

もちろん、「貸借対照表」や「損益計算書」も相応にきちんとしたものを作成する必要があるのですが、これについては後述します。
 

ポイント2 親族に払う相応の給与や賞与を必要経費に計上できる

事業所得を営んでいる人、あるいは生計を立てられるほどの不動産所得がある人に生計を一にする人、たとえば奥様や子がいて、その人が15歳以上であればその人に支払う給与を必要経費に算入できます。

この規定は白色申告者にもあるのですが、白色申告者だと配偶者は86万円、配偶者以外は50万円と金額が僅少であり、一方で配偶者控除や扶養控除の対象から外れてしまうので節税対策としてはあまり効果的とはいえません。

青色申告者の場合には「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があるのですが、その届出書に記載した金額の範囲内で、勤務した時間や期間、勤務の性質に対して見合っているものであり、他の使用人が受ける給与の状況等と同等であるのであれば、給与だけでなく賞与も含め、全額必要経費に算入できます。
 

ポイント3 少額減価償却資産の特例を受けることができる

取得価額が30万円未満で、適用を受ける事業年度における取得価額の合計が300万円未満であれば、少額減価償却資産として取り扱う、つまり、一年で全額を費用計上してもかまわないという制度があります。

これを少額減価償却資産の特例というのですが、これは青色申告者に認められている制度です。逆からみれば、白色申告者に認められていないので、年末に備品の入れ替え等して節税ということは白色申告者だと金額等の面で限られるのではないでしょうか。
 

ポイント4 赤字を翌年の節税に利用できる

起業してもうまく事業が軌道に乗らない人もいるでしょう。また、思ったように家賃収入を得ることができない大家さんもいるかもしれません。その結果、事業所得は不動産所得が赤字になるケースもあるのですが、税務上、そのような場合を「純損失」といいます。

この「純損失」が生じた場合、節税手法は以下の2つ。

それが、「純損失の繰越控除」と「純損失の繰戻還付」なのですが、これも青色申告者の特典です。純損失の繰越控除とは赤字を翌年以降3年間持ち越すことができ、たとえば、翌年の事業が黒字になった場合、前年の赤字を活用して減額ができるといった制度です。「赤字の3年間繰越活用」とおさえておくといいでしょう。

一方、純損失の繰戻還付とは赤字が発生した前年が黒字で税金を支払っていた場合には、その赤字を活用して、前年に支払っていた税金の一部または全部を戻してもらうことができる制度です。なので、税金が還付されることから「純損失の繰戻還付」とよばれています。
 

ポイント5 税務調査時に推計されることはない

税務調査時に推計課税という手法が用いられることがあります。たとえば、カフェであれば使用したコーヒーの豆の量、ラーメン店であれば仕入れた麺の数などから「このくらい仕入れたのであるから、このくらいの売上があるのではないか」といったことを税務署が推計して課税してくるといったことです。

このような推計課税もそもそも青色で確定申告を行っていれば受けることはありません。
一方で、青色申告にはきちんとした帳簿記入が義務づけられているので、「できれば青色で確定申告を勧められているのだけれど、帳簿が難しそう」と躊躇してしまうポイントかもしれません。
 

青色申告って面倒なのでは?やり方とは?

特に青色申告特別控除65万円の適用を受けるためには、「貸借対照表」と「損益計算書」をともに添付する必要があるとすでに述べたのですが、正しくいうと「正規の簿記の原則」に従った「貸借対照表」と「損益計算書」を作成するということになります。
青色申告決算書 貸借対照表の書き方 (出典:国税庁資料より)

青色申告決算書 貸借対照表の書き方 (出典:国税庁資料より)


たとえば、「10万円の売上があった」という場合、「売上10万円」ということは「損益計算書」に記載されるのですが、「10万円現金が増えた」のか「10万円通帳残高が増えた」というデータも「貸借対照表」を作成する上では重要になります。

このように「10万円の売上があった」という場合、「売上10万円」のほかに「10万円現金が増えた」あるいは「10万円通帳残高が増えた」といった2つ以上の情報が必要となるのです。なので、このように2つ以上の情報が必要となる帳簿記入の状態を「複式簿記」というのですが、難しく考えることはありません。

ポイントとなるのは事業所得専用の通帳、あるいは家賃収入を管理する専用の通帳を作成し、その中で業務に関する処理を完結させればいいのです。
 
このように、青色申告で確定申告を行うとさまざまなメリットを受けることができます。「初期の導入の方法がわからない」という場合には、スタートアップ時だけでも専門家のアドバイスを仰ぐのもいいでしょう。まだ、白色で確定申告を行っている方はぜひ、一度、青色申告の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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