ポンプ作用を持つふくらはぎは「第二の心臓」
下腿三頭筋と呼ばれるふくらはぎ部分の筋肉は、人間が体重を支える上で非常に大切な筋肉です。人間は四足歩行から二足歩行へと進化してきたのですが、二足歩行によって体は重力の影響を受けるようになり、特にふくらはぎは常に体重がかかった状態を強いられるようになりました。このため、ふくらはぎの筋肉は疲労がたまりやすく、硬くなりやすいことが特徴として挙げられます。また同じ姿勢で長時間過ごしていると、水分を含む血液やリンパ液など組織液の循環が悪くなり、細胞のすき間などに水分が停滞するようになります。これが脚のむくみにつながります。疲労がたまったときや睡眠不足などでも、脚のむくみが起こりやすくなるといわれています。組織液は下肢にたまりやすくなりますが、ふくらはぎの筋肉は収縮を繰り返すことで下肢にたまった血液やリンパ液を循環させる役割を担っています。ふくらはぎはよく「第二の心臓」と呼ばれますが、これは筋肉のポンプ作用によって血液を循環させる働きを持っているからです。
女性のむくみ解消にも効果あり! カーフレイズの方法・回数・メリット
筋肉を動かすことなく長時間同じ姿勢でいると筋肉のポンプ作用が働かず、血液や組織液は下肢に滞留しがちになります。だるさやむくみを感じるようであれば、その場でかかとの上げ下げを行うつま先立ちエクササイズである「カーフレイズ」を行うようにしてみましょう。カーフレイズのやり方はいたって簡単で、その場でかかとを上げ下げするだけ。もし段差として利用できるものが近くにあれば、段差から踵を空中に浮かせたポジションをとり、そこから大きくかかとを上げ下げするようにすると、よりふくらはぎの筋肉を大きく動かすことができます。このエクササイズを行う時はバランスを崩して転んだりしないように、壁に手をつくなどして身体を支えるようにすると安全に行えるでしょう。回数は、まずは「思いついたらその場で10回」を心がけて。足がむくんでいると感じたら、手軽にすぐに実践できる点も魅力です。
座った姿勢で過ごすことが多い人は、つま先を前後に動かすだけでもふくらはぎの筋肉を収縮させることができます。つま先を前方に押し出すように奥へ、そして足の指を手前に引き寄せるように繰り返して行うと、筋肉のポンプ作用を働かせてむくみや足の疲れを改善させることにつながります。
ふくらはぎストレッチは「腓腹筋(ひふくきん)」「ヒラメ筋」を意識して!
ふくらはぎのストレッチといえばアキレス腱を伸ばすように行うことが多いと思いますが、実は下腿三頭筋は腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋という二種類の筋肉から構成されているため、この二種類の筋肉を伸ばすようにすることが大切です。踵を地面につけ、膝を伸ばした状態でアキレス腱を伸ばすように行うのが腓腹筋のストレッチ、膝を曲げた状態で行うのがヒラメ筋のストレッチです。実際に行ってみると伸びている部位の違いが感じられると思いますので、ぜひこの二種類を行うようにしましょう。
日常生活で無理なくできる脚やせ習慣のコツ
ふくらはぎを動かす脚やせ習慣は日常生活から実践していきましょう。特に運動不足になってしまうとふくらはぎを動かす機会が減ってしまうので、近所に買い物に行くときはなるべく徒歩で出かけるようにしたり、階段がある場所では積極的に階段を使ったりして、ふくらはぎを動かし、筋肉のポンプ作用を大いに活用しましょう。また入浴ではシャワーなどで汗を流すだけではなく、湯船につかって体を温め、血管を拡張させて血流をよくするように心がけましょう。水圧によってもふくらはぎに適度な圧力が加わり、組織液を押し戻して全身の循環をよくすることにつながります。お風呂に入ったまま軽くつま先を前後に動かしたり、足指などの末端部分から中心に向けて軽く筋肉をさするようにしたりすることも、むくみの改善が期待できます。
エクササイズ自体は手軽なものが多く、日常生活に少し気を配るだけでも脚やせ習慣につながります。むくみを改善し、スッキリ脚を目指しましょう。