人気の高い猫種、「マンチカン」の特徴
短い足がチャームポイントなマンチカンは、日本でも人気が高い猫種です。そのため、性格や飼育法を詳しく知りたいと思っている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は歴史などもご紹介しながら、マンチカンの魅力をたっぷりとご紹介していきます。
猫種の歴史
マンチカンといえば、短い足が特徴的な猫種ですが、こうした短足の猫は古くから存在していたとされています。短足猫に関する最も古い記録は1944年にイギリスのH.E.ウィリアムズ=ジョーンズ博士が記した「Veterinary」という獣医学録でした。そんなマンチカンは、ある音楽教師と短足猫との出会いがきっかけで本格的に生み出されるようになりました。1983年、アメリカのルイジアナ州・レイビルに住んでいた音楽教師のサンドラ・ホケンゲルは愛車である小型トラックの下に2匹の短足猫の姿を発見。自宅へ連れて帰ることにしました。
サンドラは2匹をマンチカンと呼び、黒猫に「ブラックベリー」、灰色猫には「ブルーベリー」という名前を与えることに。しかし、2匹はどちらもメスであり、妊娠していたため、サンドラはブラックベリーを手元に残し、ブルーベリーは知人に譲ることにしました。
ブラックベリーはその後、無事に出産し、産まれた子猫(オス)も短足を受け継いでいたそうです。サンドラはその子猫を「トゥールーズ」と名付け、友人であるケイ・フランスに譲りました。トゥールーズはやがて、近所の雑種猫と交配をするようになり、ケイの家の周囲には短足を持つ野良猫が増えていったそうです。
その後、サンドラとケイと協力し、マンチカンの育種に取り組み、マンチカンはアメリカの猫血統登録機関であるTICAに公認されるまでになりました。当初は短足により、脊椎やお尻、足に弊害が現れるのではないかと懸念されていましたが、育種に携わったブリーダーたちは、高齢のマンチカンにもそうした症状は見られなかったことを報告したそうです。
マンチカンの身体的特徴
頭部はくさび型(逆三角形)で丸みを帯びていますが、横から見ると額は平らです。頬骨は、他の猫種よりも高い位置に存在しています。耳は根本が広く、先端は丸みを帯びています。目はクルミ型をしており、耳の根元に向かってつり気味についています。
目と目の間が少し離れているのも特徴です。ボディは厚みがあり、他の猫種よりも胸元が広くなっています。四肢は後ろ足のほうが前足よりもわずかに長いため、上から見ると腰のほうが高いでしょう。
なお、マンチカンは短毛種と長毛種のどちらも産まれますが、長毛種の場合は「マンチカンロングヘア」と区別されることもあります。マンチカンの長毛種は毛足がそれほど長くなく、セミロング程度です。被毛は、長毛種も短毛種もやわらかくてシルキーな手触りをしています。
短足と長足の違い
そもそも、マンチカンの短足は長骨(人間でいう上腕や大腿に当たる場所にある骨)に働きかける優性遺伝子が突然変異することで現れるものです。両親が短足の遺伝子を持っている場合は50%の確率で子猫にも短足が遺伝するといわれています。
マンチカンは短足だというイメージが強いかもしれませんが、短足と長足の2種類が生まれます。実は短足の子が産まれる確率は1/5程度で、長足の子のほうが生まれやすいのです。長足のマンチカンは、一般的な猫ほど足は長くありません。
しかし短足の子と比べるとやはり長いため、猫種としての特徴が顕著ではないことから安く売られているケースも多いでしょう。ちなみに、短足でも長足でも運動能力に大きな差はなく、木登りもできます。
マンチカンの毛色
マンチカンはブラック、チョコレート、シナモン、レッド、ブルー、ライラック、フォーン、クリーム、ホワイトといったすべての毛色が現れます。
マンチカンの目色
マンチカンはグリーン、ヘーゼル、イエロー、ゴールド、オレンジ、カッパー、サファーヤブルー、ブルー、アクアといったすべての目色が現れます。中には、オッドアイ(左右で瞳の色が違っている)を持つマンチカンも存在しています。
平均体重は3~6㎏程度
マンチカンは、コンパクトで細身な体型をしている「セミフォーリンタイプ」です。平均体重も3~6㎏程度なので、一般的な猫とそれほど変わりませんが、筋肉質であるため、抱き上げたときにはずっしりとした重みを感じるでしょう。
平均寿命は10~13歳程度
マンチカンは比較的新しい猫種なので、平均寿命に関する正確なデータが少ないのが現状です。しかし、およその平均寿命は10~13歳程度だとされています。
好奇心旺盛で、社交的! マンチカンの性格
性格は好奇心旺盛で、とても社交的です。実際に筆者の家でもマンチカンを育てていますが、来客に自ら寄っていくほど、人懐っこい性格をしており、場の雰囲気を和ませてくれます。そして、意外に運動好きであるのもマンチカンの特徴だといえるでしょう。
ジャンプは少し苦手ですが、お部屋の中を走り回ったり、二足立ちをしたりとアクティブな姿をたくさん見せてくれます。しつけもしやすいので、猫を飼うのが初めてだという方でも育てやすいはずです。鳴き声も大きくなく、鳴く頻度も多くないため、集合住宅でも飼育しやすいでしょう。
マンチカンの飼育法
マンチカンはジャンプが苦手なので、落下事故が起きないように工夫していきましょう。例えば、天井に突っ張らせられる、つっぱりタイプのキャットタワーを選ぶのも良いですが、据え置きタイプをチョイスするのもおすすめ。
いつでも飼い主さんが手を貸してあげられるように配慮してみてください。そして、キャットウォークをお部屋に設けたいときはステップの間隔を狭くして、踏み外しにくくしていきましょう。
アクリルやガラスのキャットウォークは滑りやすいため、木製のものを選んでみてください。また、短毛種の場合は1日1回、長毛種の場合は1日2回ブラッシングを行いましょう。猫は自分で体を舐めて清潔感を保つので基本的にはシャンプーを行う必要はありません。
しかし、長毛種の場合は体の中に被毛が溜まらないよう、抜け毛が気になる換毛期(3月と11月頃)はシャンプーを行いましょう。なお、交配を考えている方は、短足のマンチカン同士の交配は避けるようにしてください。短足同士で交配させてしまうと、体に奇形が生じる可能性が高いとされています。
なりやすい病気 椎間板ヘルニアに注意
マンチカンはダックスフントのように胴長ではないため、脊髄への負担はかかりにくいとされていますが、「椎間板ヘルニア」には注意しましょう。「椎間板ヘルニア」は、背骨の間でクッションのような役目を果たしている椎間板の形が変わり、ゆがんでしまうことで起こります。
初期の症状としては歩き方に異変が見られたり、運動を嫌がったりします。重度になると歩行が困難になり、四肢に麻痺が見られることもあります。「椎間板ヘルニア」は高い場所から落下したときにも発症しやすいので、飼育環境も配慮していきましょう。
また、筆者宅のマンチカンは1歳を超える頃から歯周病の症状が現れ始めたため、口腔内を定期的に検診していくと、より安心できるかもしれません。生後2~3ヶ月の子猫期に歯磨きを習慣化させていくことも大切です。
適している飼い主の性格
マンチカンは遊び好きなので、「猫と一緒に遊びたい」と考えている方におすすめです。甘えん坊な子も多いため、近い距離感で成長を見届けていきたいと考えている飼い主さんにとっても、ぴったりな猫種です。おうちに迎える際は、ぜひ愛情深い態度でかわいがっていきましょう。
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