マネジメント

プレイングマネジャーとは?その役割と成果を出す秘訣

人手不足が続く中、「仕事は増えるけれど人は増えない」という企業がほとんどです。管理職を担いつつも、現場に出るプレーヤーとしての役割を持っている人も多いのではないでしょうか。今回は、プレイングマネジャーが抱えがちな悩みと、それを解消するための考え方についてご紹介します。

大塚 万紀子

執筆者:大塚 万紀子

マネジメントガイド

プレーヤーとしての時間を優先してしまう理由

プレイングマネジャー

プレイングマネジャーの役割


あなたがプレイングマネジャーだとしたら、「プレーヤー」と「マネジャー」、どちらの役割が好きですか?

「お客様からの評価がわかりやすいので、プレーヤーのほうが好きだ」
「すぐに成果が出るかがわかるので、プレーヤーが楽しい」
という人が多いのではないでしょうか。

特に初めてマネジメント的役割を担う場合、「プレーヤーとしての時間が楽しいので、マネジメントの時間がいつの間にかなくなっていた……」ということもあるようです。

これには、それぞれの成果が出るまでのスパン(期間)が関係しています。

プレーヤーとしての成果は、比較的短期間でわかります。一方、マネジャーとしての成果は間接的に出てくるため、見えるまでに長い時間がかかります。そのため、短期での評価に慣れている人ほど、マネジメントの成果が待ちきれず、プレーヤーとしての活躍に重きを置いてしまうのです。

プレーヤー/マネジャーそれぞれの成果を数値化する

これを避けるためには、「プレーヤーとして出す成果とマネジャーとして出す成果を、中長期で可視化(数値化)する」ことがポイントです。

マネジャーであるあなたは1ヶ月で「100」稼ぐことができる、としましょう。「あなた1人」で100を稼ぐことは、一見するとチームにもよいことに思えます。しかし、あなたが100稼いでいる間、メンバーはあなたから教わる時間がなく、結果として「1しか稼げない」ことが起こります。

メンバーが10人なら、1ヶ月のチームの成果は「110(あなた100・メンバー1×10人)」です。

ここで、あなたが100稼ぐための時間のうち、20を部下の育成に投資したら、どうなるでしょうか?

あなたの稼ぎは「80」に下がります。でも、あなたのおかげで成長した部下がそれぞれ「10」ずつ稼げば、チームの成果は「180(あなた80・メンバー10×10人)」とあなただけで稼いだときに比べて上がるのです。

つまり、自分がプレーヤーとして活躍することだけに気を取られると、メンバーの育成がおろそかになり、結果としてチームの仕事の質や量を上げることが難しくなるのです。

プレイングマネジャーは、常に自分のパフォーマンスだけでなく、メンバーのパフォーマンスをいかにあげるかを考える必要があります。

プレーヤーとマネジャー、上司と役割期待のすり合わせを


「そうはいっても、結局いくら稼いだかで評価されるから、プレーヤーを優先せざるを得ない」
「マネジャーの仕事の成果は評価されにくい」
といった声もあるでしょう。

このような時は、自分にどのような役割が期待されているかについて、自分の上司ときちんとすり合わせをしましょう。

たとえば、以前ご紹介した「1on1」ミーティングで、「プレーヤーで40、マネジャーで60」といったように、期待値を分けて確認します。さらに部や課、あなた自身の目標に対してどのような成長、どのような行動が必要かをすり合わせます。

上司に長期的な視点がなく、まさに「名ばかりのマネジャー」の役割をを期待されている場合は、メンバーの育成やそのための時間の使い方について数値で説明し、そのために上司から得たい支援を伝えるようにしましょう。

大変な作業ですが、このすり合わせをしないまま仕事を進めると、プレイングマネジャーであるあなたに仕事と責任が集中し、潰れてしまいます。上司とのすり合わせから逃げず、長期的な目線で調整しましょう!

現場感覚と経営感覚を織り交ぜてゴールに向かう

プレイングマネジャー

プレイングマネジャーとして成果を出すには

チーム全体の戦力が見え、自分の役割と評価もわかったところで、最後にぶつかるのが「自分も部下も成果を出す」という壁です。

ここでのポイントは、「目指すゴールを明確にし、特技・役割に応じてゴールまでの道をのぼる」ということです。

そもそもプレイヤーであろうとマネジャーであろうと、組織全体が目指すゴールは同じはずです。そのゴールに向かうためのアプローチの方法が少し違うだけ。

プレイヤーとして「目の前の仕事で最高の成果を出す」方法と、マネジャーとして「よりよい成果が出る方法を考えて手を打つ」方法との違いがあるだけなのです。

ですから、現場の感覚と経営の視点とを織り交ぜながら、掲げたゴールを達成するのにあたってどの手法が効果的かを考えることをお勧めします。

大切なのは毎日のメンバーとの振り返り

大切なのは、毎日チームメンバーと「振り返り」を行うこと。
  • 今日は何がどこまで進んだか
  • どのようなお客様と出会ったか
といった進捗確認はもちろんですが、
  • ゴールまであとどのくらいか
  • ゴールにたどり着くには、誰がどのような動きをするとよいか
といった振り返りと未来を見据えた戦略を話し合いましょう。1日5分程度で構いません。同じゴールを描き、それぞれの役割を認識できていることが大切なのです。


いかがでしたか?

初めてマネジメントの役割を担う人、マネジメントについて習ったことがない、周りにプレイングマネジャーしかいなくて、「マネジメントって何をすればいいんだろう?」と悩んでいる人もいるでしょう。「マネジメント=数字と進捗の管理」と思い込んでいる場合もあります。

そんなときは、まず、リーダーとして求められている役割を整理するところから始めましょう。たとえば、部下のモチベーションを上げる役割を担う場合もあります(詳しくはこちらの記事をご覧ください)。

複数の役割を持っているプレイングマネジャーだからこそ、多様な経験を詰めるはず!ぜひ楽しんで、プレーヤーとしてもマネジャーとしても活躍してくださいね。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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