SFF筐体のパソコンでは殆どの場合ビデオ機能とサウンド機能を内蔵したシステムになっていて、ビデオ機能は勿論、サウンドも物理的に別途搭載出来ないものが多くなっています。これに対し、マイクロATXの筐体なら、これら二大機能に限らず、スロットの空きさえあればどのような拡張インタフェースボードを増設することも可能です。
ビジネスでパソコンを使っていると、サウンド機能やDVD再生機能などは必要ではなく、LANが利用できて安価で安定して動く(パソコンを知らないユーザーがかなり乱暴なことをしてもそうそう壊れない)事が重要だと言うこともあるでしょう。余計な部品が増えるほどパソコンというか電子機器は壊れ安くもなりますので、高い外付け部品は採用されないという循環が成り立ちます。つまり、機能のオールインワン化です。オールインワンがうまく作用すれば、小型化に多大な貢献をしてくれます。
個人用のパソコンではデジタルカメラやデジタルビデオを接続して、またテレビやビデオとしてパソコンを使うことが多くなってきたと思います。これらの映像に絡む部分は、ハードウェアとソフトウェアが密接に関係しているため、下手に拡張性があるとソフトなどがまともに動作しなくなるような心配もあります。ですから、SFF筐体がわざと拡張性をなくすために採用されたのではないかと、へそ曲がりな発想も出てきます。
パソコンは元々不完全で、未完成のものという考えが筆者の持論であり、様々な拡張を施すことで様々な用途に使えるようになるのですが、上記のような事とメーカーのサポートの都合などによって、なるべくユーザが拡張しないようなパソコンを作っているとしたら本末転倒だと思われます。ただ、ユーザの手による拡張は、動作の不安定さ、物理的な部分をはじめとしてシステムの破壊等をもたらすこともあります。ですから、拡張しないで欲しいというメーカーの主張も、あながち間違ってはいないかもしれません。
SFF筐体は以上のようなわけで拡張スロットが無いか、有っても塞がっていたり、或いはあまり普及していないロープロファイルボードが必要だったりしています。基本的な機能はそれなりに気に入れば(或いは我慢すれば?)問題とはならないですが、あとで何か機能を追加したくなったとき、ちょっとやりにくさが残ると思います。