運動と健康

長靴・レインブーツで足が痛い…雨靴の選び方と対処法

足に負担の少ない、歩きやすい長靴選びのポイントは? 人気のラバー製レインブーツで長時間歩くと、足の甲、足の裏、スネ、太ももの付け根など、他の靴では平気な部分が痛くなることがあります。これらには足の太さや歩き方なども関係しています。痛みが起こる原因と対処法、それぞれに合う長靴の選び方と注意点をご紹介します。

村山 孝太郎

執筆者:村山 孝太郎

足と靴の健康ガイド

ゴム長靴で足が痛い……レインブーツの特徴と上手な選び方

長靴

防水性とスタイルの良さで人気のウェリントン・ブーツ。しかし足が痛くなってしまう人も……

ラバー製レインブーツ、いわゆるゴム長靴の防水性能は抜群です。他の様々な雨用シューズにも防水性能の優れた靴はありますが、完全防水と説明している商品は意外とありません。優れた防水性と、スタイルの良いデザインから、とても人気があるラバー製レインブーツですが、履くと足が痛くなったという人もいるのではないでしょうか。

普通の靴とは選び方が異なり、他の靴のように何足も揃えるものではない分、レインブーツ選びはとても難しいです。甲の部分を紐で調節可能なタイプもありますが、ここではいわゆるゴム長靴の形のものに絞り、痛くなる箇所に合わせた選び方のポイントと注意点を解説します。

長靴で足の甲が痛くなる場合の選び方・対処法

靴ひもやファスナーのある靴では、それらを緩めることで足が靴に入るための寸法が広がり、履くことができます。しかし、靴ひももファスナーも無いレインブーツでは、足が靴に入るための寸法がゆとりとして靴に備わっていなくてはいけません。そのゆとりが、各メーカーが設定した足の寸法に近ければぴったりに履くことができます。靴の寸法よりも足が大きい場合は、ネット購入などでない限りは買ってしまうこともないと思いますが、最もトラブルとなるのは、メーカーの想定した寸法よりも足が細い場合です。

細い足の場合、靴ひもを絞って履くことのできるスニーカーとは異なり、レインブーツの中で足が遊んでしまい、足と靴に接点がない状態になります。歩くために足を上げると甲の深い部分にある舟状骨(しゅうじょうこつ)の上の1点だけが靴にあたり、その点だけで靴を持ち上げることになってしまいます。

舟上骨は、距骨と踵骨と関節を作っていて、舟状骨が繰り返し靴を持ち上げるたびに負担はその関節へとかかって足の甲の深いところに鈍い痛みが生じ、痛みが消えるまでしばらく時間が必要です。短時間であれば痛みが出ることは無いですし、パンツの裾を入れて履くとなんとなく隙間が埋まりますので、購入時には気づきづらいのが欠点です。あまりにゆるい場合には、なるべく軽いメーカーのもの、ふくらはぎ部分の寸法調整ができるものを選ぶようにしましょう。既に購入している場合には、中敷を敷いて調整し、厚手の靴下を履くなどして、足の甲と靴がなるべく1点で接するのを避け、また、生地の厚いパンツなどで筒部分の靴と脚の隙間を小さくすることで負担を分散させるようにしましょう。

長靴でスネが痛くなる場合の選び方・対処法

全てがゴムでできているブーツでは、足首部分が動きづらいという特徴があります。ブーツの中のゆとりの範囲で足首は動きますが、ブーツ自体を曲げるほどの動きには力が必要です。つま先を上にあげる屈曲動作は、スネの筋肉である、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)が主動作筋で、ラバー製レインブーツを履くとこの筋肉が痛くなるという人がいます。これは、履く人の歩き方が主に関係しています。つまり、歩く上で足首を屈曲させた状態を長く維持しなくてはいけない歩き方をすると、主動作筋である前脛骨筋が疲労し、痛みが生じます。購入時の試し履きで歩いた際、足首部分を大きく曲げる必要があると感じた人は、素材のゴムが柔らかいタイプで、ヒールがフラットではないタイプのブーツを選ぶ方が良いでしょう。既に購入している場合には、踵を少し高くしてくれる、シークレットヒールのインソールを試してみると良いでしょう。足首屈曲の範囲が小さくなり、前脛骨筋の負担が軽減できるかもしれません。

長靴で太ももの付け根が痛くなる場合の選び方・対処法

スニーカーなどの歩きやすい靴でも、たくさん歩いた日には股関節の前側、太ももの付け根部分が痛くなる人がいると思います。そんな方は、ラバー製レインブーツを履くと普通の靴よりも早く痛くなるでしょう。普段は痛くないのにレインブーツで痛くなる人もいます。歩く際に足を上げるには、股関節の屈曲、つまり太ももを上にあげる動作が必要です。ゴムは靴に使われる素材の中でも重たい素材ですので、股関節を屈曲させる筋肉が疲労し、痛みが出ます。その痛みが股関節の前側に現れます。普段から長く歩くと股関節の前側が痛くなることがあると感じる方は、なるべく軽いレインブーツを選んだ方が良いでしょう。既に購入してしまった場合、残念ながらこの場合の簡単な対処法はありません。次の長靴選びの際に教訓を活かせるようにしましょう。

長靴で足裏が痛くなる場合の選び方・対処法

ラバー製のレインブーツはしっかりとした靴の印象がありますが、構造的にはヒールも靴底も全てゴムでできています。そのため、柔らかいゴムで作られている場合、靴底が見た目とは違って柔らかいことがあって、地面の凹凸を足裏に感じやすく、足を支える機能も弱いことがあります。普段しっかりした靴に履きなれている人では、レインブーツを履いたときに足裏が痛くなるということがあります。このような場合には、インソールを用いることが有効です。

それでも長靴が合わないと感じたら、晴雨兼用靴なども活用を

「ゲリラ豪雨」という言葉も珍しくなくなり、近年は雨に対する備え方も少し変わってきたように思います。梅雨時のよいに丸1日雨の日よりも、朝は雨でも帰宅時には晴れたり、朝は天気がよかったのに午後や夕方だけ局地的に雨が降る可能性が高かったりと、雨に備える必要はあるのの、晴れた空の下を歩くことも想定される日もよくあると思います。そのため、雨にも強いけれど、晴れた空の下で履いても違和感の無い靴を求める人が多くなっているようです。

例えば、ゴアテックスに代表されるような防水耐久性を備えた素材を使用した靴や、エナメル調の合成皮革を用いた靴、非給水処理を施したポリエステルなどの生地素材を用いた靴など、様々な晴雨兼用靴があります。

ラバー製のレインブーツで長時間歩くとどうしても足が痛くなってしまうという場合には、丸1日雨が予想される日と、1日の中で一時的に雨が予想される日とで雨靴を使い分けるなど、雨の日の快適な過ごし方を見つけて下さい。
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