北フランスの人気チョコレートブランド「ブッサン・ラシェル」

北フランスで人気のチョコレートブランド「Beussent Lachelle Chocolaterie(ブッサン・ラシェル)」を紹介します。
ブッサン・ラシェルのチョコレートボックス

ブッサン・ラシェルのチョコレートボックス

日本では殆ど知られていないこのブランド。私が出会ったきっかけは、あるフランス人の方からのプレゼントです。

美味しいなぁ~、と思いました。きっとこのチョコレートが生まれた北フランスで、長く愛され続けているに違いないと。特に、私が気に入ったのは「エスカルゴ」でした。ころん、と丸いプラリネ。外側のシェルがごく薄い型抜きです。

「美味しいですね」私の言葉に、お届け下さった方は嬉しそうにこう言いました。「フランス大統領夫人のブリジット・マクロンさんもお好きだそうですよ」。

私は思わず「え!」と言いつつ、続いて「なるほど」。

というのも、みなさんはご存知でしょうか。マクロン大統領ご夫妻は北フランスのアミアン出身。そしてブリジットさんのご実家は、老舗のチョコレート屋さんです。

「5代続くチョコレート店の娘さんが気に入る」とあれば間違いない。私はチョコレートが身近にある者同士、大変恐縮ながら勝手にブリジットさんに親近感を持っていたので、テンションが上がりました(笑)

というわけで、私はブッサン・ラシェルを訪ねて北フランスへ。日本でほぼ知られていないので、発見者として(!)、日本のチョコレートラバーのみなさんにしっかりとご紹介します。

ブッサン・ラシェルの歴史

ブッサン・ラシェルは、1985年創業。現在は、フランス北部を中心に25店舗あります。フランスの北パドカレ地方「ブッサン」という、静かな町で生まれました。
ブッサン・ラシェルのファクトリーとファクトリーショップ

創業の地にあるブッサン・ラシェルのファクトリーとファクトリーショップ

実際にこの街を訪れると、想像を超えた静けさにびっくり。「誰もいない~」とつぶやく私、澄み渡る空気、広がる大自然。人の代わりに「鹿が歩いてくることがありますよ」と教えていただき、なぜだか嬉しくなりました。
空気がきれい、心が洗われるようです

鹿以外のたくさんの動物がいそう。空と大地のコントラストが美しい場所です。

ブランドの始まりは、ある日曜日の午後。

近くの川で魚の養殖をしていた家の主人、ブルーノ・デリックさん(今は引退されています)が、チョコレート作リを始めたのがきっかけです。デリックさんは、アフリカのコンゴに住んでいたことがあり、コンゴ独立の際にフランスに戻ってきました。コンゴはカカオの産地ですね。

1986年、家(今はファクトリーの一部)の近くに店を開き、4年後の1990年にはカカオ豆からのチョコレート作りを開始。さすがコンゴでカカオに親しんでいた方です。当初はカカオ豆を仕入れていましたが、2002年には、エクアドルに150ヘクタールの土地を購入、現地に社員を雇って自社カカオ農園を作りました。

2018年現在、年間100トンのチョコレート商品、ボンボンショコラだけで約700万個作っているそうですが「全てが100%カカオ豆から作る自家製、その殆どが自社農園のもの」だそうです。驚きました。

「エスカルゴ」はマクロン大統領夫人のブリジット・マクロンさんのお気に入り

本店とファクトリーに近い「ル・トゥケ・パリ・プラージュ」までは、パリからTGVで約2時間。フランス北部、オパール海岸に位置する美しいリゾート地です。

ファクトリーから車で20分、まずは大統領ご夫妻と縁が深い「ル・トゥケ・パリ・プラージュ」本店へ出かけました。
イースターシーズンなのでイースターチョコレートが華やか

イースターシーズンなのでイースターチョコレートが華やか

店内には、美味しそうなチョコレートが溢れんばかりに。すぐに気持ちがあたたかくなりました。チョコレートは決して高嶺の花みたいに扱われていません。でも雑なところが見当たらず、店内もチョコレートたちもきれいです。
ブッサン・ラシェル「エスカルゴ」

ブッサン・ラシェル「エスカルゴ」

旅のきっかけになった「エスカルゴ」も、現地で出会うと一層イキイキしているみたい!

まずは店長のエリカさんに「エスカルゴ」が、本当にフランスの大統領夫人、ブリジット・マクロンさんのお気に入りなのかを尋ねました。

するともちろんですよ、といった笑顔で「はい、そうです。エスカルゴとマルトーは、特に彼女のお気に入りです」。
ル・トゥケ・パリ・プラージュ店の店長、素敵なエリカさん!

ル・トゥケ・パリ・プラージュ店の店長、ピンクのジャケットが素敵、エレガントなエリカさん!

エリカさんはここに勤続15年、お客さまに愛され続けている存在です。世界のVIPが豪華な別荘を持ち、プライベートジェットのエアポートがあるほどのル・トゥケ・パリ・プラージュ。マクロン大統領ご夫妻はもとより、有名女優、ミュージシャンなど、世界的なスターもこのお店を訪れるそうですが、みなさん「エスカルゴ」「マルトー」をお好きだそう。

さらにここで新たな情報を入手!アイテム未確認ですが、マクロン大統領ご夫妻の結婚式の披露パーティでは「ブッサン・ラシェル」のチョコレートがコーヒーと一緒に提供されたそうです。

スペシャリテ1:「エスカルゴ」

「エスカルゴ」は、なんと年間15万個以上売れる、大人気チョコレートでした。
エスカルゴの養殖場が近隣にあり、フランス人が親しめる形だから、この形になったそう。

エスカルゴの養殖場が近隣にあり、フランス人が親しめる形だから、この形になったそう。中身は同じ、コーティングがノワールとミルクの2種があります。

大きめなので、自慢の自家製プラリネを口いっぱいに頬張れるのが魅力。

ピエモンテ産のヘーゼルナッツを仕入れ、焙煎、キャラメリゼする段階から全てファクトリーメイド。プラリネに入れるヘーゼルナッツの量が多く風味が良いです。
自家製プラリネを作る工程

自家製プラリネを作る工程。特別にこの段階でいただいたら、美味しかったこと!

20年以上前からのファンが多いため、トラディショナルな製法やレシピは変えません。「エスカルゴ」の型抜きは、全て手作業で行われます。

チョコレートを自家製にしても、変わらず好評だそうですが、私はトラディショナルなプラリネが、フルーティなエクアドル産カカオのごく薄いチョコレートで包まれている、そのバランスが新鮮で好きです。

スペシャリテ2:「ショコラ マルトー」は有名なベストセラー

その他のスペシャリテもご紹介しますね。

私が「もう少し東京へ持ち帰るべきだった」とひそかに悔やんでいる「マルトー」です。これが美味しいんです……。
ショコラ マルトー(R) ビター、ミルク、ホワイトがあります。

ショコラ マルトー(R) は、ビター、ミルク、ホワイトの3種。ビターは自家製チョコレートの風味をしっかり味わえます。

ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、アーモンド、レーズン、上質なナッツの風味、自家製チョコレート、ミルクの美味しさ、トータルのバランスが光ります。分厚いのにやわらかくて食べやすいのも魅力。

現地で「2キロ買う人がいます」と聞いたときは信じがたいと思いましたが、今は心から信じています。

「マルトー」は大きな板チョコレートを槌で割って食べるスタイルですが、「ショコラ マルトー」として販売できるのは、ブッサン・ラシェルだけ。「マルトー」初めて作ったブランドであり、1992年にフランスで商標登録をしています。
割った状態で丸いボックスに入れていただくのも素敵

割った状態で丸いボックスに入れていただくのも素敵

「マルトー」は「エスカルゴ」と並ぶ、ベストセラーです。

スペシャリテ3:「ブシェ」各種

各種「ブシェ」(大きいサイズのチョコレート)もスペシャリテ。中でも、私が絶対に東京でも食べたい、と頑張って持ち帰ったのがこちら!

■ブシェ グルマンデ「マヤ」
■なんとしても持ち帰りたかった ブシェグルマンデ「マヤ」

■なんとしても持ち帰りたかった ブシェグルマンデ「マヤ」アラス店にて

ケーキのようにスライスして、好きなだけ買える&食べられるプラリネです。名前はマヤ文明にちなみ、珍しいトウモロコシ入り。塩気があって食感がよく、ピスタチオと自家製プラリネもベストマッチ、いわゆる「とまらなくなる」系、さらには「想像以上に美味しい」系です。

■ブシェ 3種
プレーンな「ブシェ」もスペシャリテ。サイズはボンボンショコラ6個分くらいです。
お店に並んでいると本当に美味しそう!

お店に並んでいると本当に美味しそう!

ファクトリーでは、ジャッキーさんが「ブシェ レ」を仕上げていました。創業時から仕事を続けています。
創業当時からチョコレートを作り続けているジャッキーさん。2018年3月で定年退職されるそうです。

チョコレート職人、ジャッキーさん。ブランドのロゴ入りシャツがお似合いでした。 

手際よくチョコレートをコーティングしながら、楽しいユーモアで笑わせてくれました(後で、3月末で定年退職されると伺い、ちょっと寂しくなりました)。
見るからに美味しそう!

見るからに美味しそう!これから沢山の人を幸せにすることでしょう。

ブッサン・ラシェル ローラン・クーショウ シェフ

勤続15年以上という方が全然珍しくない「ブッサン・ラシェル」のファクトリーは、家族的な雰囲気です。そんなスタッフをまとめ、チョコレートの管理を担うのはシェフのローランさんです。
ローラン・クーショウ シェフ

ローラン・クーショウ シェフ

パリではプラザ・アテネ、シンガポールのヒルトン、ロンドンの高級チョコレート店のシェフ他(書き切れませんが)世界中で活躍、タン・エルミタージュの「ヴァローナ」ではプロ向けの指導をされていました。

「私たちの製品の60%がプラリネ、プラリネがスペシャリテです。プラリネが濃くて美味しい筈です。多くのファンがいますので基本のレシピは変えません。ブランドのよさは、原材料の選び方が素晴らしいこと、行程の全てがよく管理されていることです。カカオ豆の段階から関われるのも素晴らしいことです」(ローランシェフ)

カカオ豆からのチョコレート作り

エクアドルの自社農園で収穫されたカカオ豆は、フランスに届けられ、自然の中のファクトリーでチョコレートになります。
グラインダー

グラインダー

ブッサン・ラシェルのファクトリーとファクトリーショップ

ローランシェフと専任のスタッフ

自社農園のカカオによるタブレットの他、カカオ豆を仕入れ8~9種のシングルオリジンのタブレットも作っています。

「良質と判断したカカオ豆以外は絶対に買わない」という代表のジャコモさん。徹底しています。

エクアドルにある、ブッサン・ラシェルのカカオ農園

自社農園は、エクアドルの首都キトから車で5時間。標高400~500メートルのアマゾンの森の中にあります。

現地のリーダーは、マニュエル・クリオロさん。ブッサン・ラシェルが直接社員として雇い、カカオ豆を市場価格よりも高く購入します。
5家族を中心に近隣の100の農家と協力しあい、カカオを収穫、管理者のクリオロ氏が全ての工程を監修しています。

5家族を中心に近隣の100の農家が協力、カカオを収穫します。経験豊かなクリオロ氏が全工程をチェック。

「農家の給料は首都キトと同じ水準になりました。収穫量も年々増えています」と代表のジャコモさん。農家の生活向上に貢献することを忘れないそうです。
自社農園のあるエクアドルの国旗

自社農園のあるエクアドルの国旗がファクトリーに飾られています。
 

最後にパッケージのこと

このブランドの魅力は、ブラックとピンクの素敵なパッケージにもあります。鳥が描かれたロゴマークの由来は、地元にある渡り鳥で有名なマルコンテール自然公園です。
鳥たちが描かれたピンクのボックス

鳥たちが描かれたピンクのボックス

もちろん出かけてきました!

1000種以上の渡り鳥が訪れ(すごい)、200ヘクタールもの湿地帯を有する、とてつもなく広大な国立自然公園。世界中から人が訪れる、ヨーロッパ有数の有数の鳥類公園です。
310種類の鳥が訪れます

季節ごとに310種類の鳥が訪れ、その美しさを直に見られます。楽しい!1日いてもまわりきれない広大さ。

「人口的なものを使わず自然の素材を使い、自然と調和しながら美味しいチョコレートを作る」という信念がロゴの由来。

フランス北部を訪れたら、ぜひお店にお出かけください。そして日本で販売される日がいつか来たら、またぜひみなさんにご紹介します。

DATA
ブッサン・ラシェル
Chocolat Beussent Lachelle
https://www.choco-france.com/fr/
※私は、ル・トゥケ・パリ・プラージュ店、リール店、アラス店へ行きました。ドゥービルのショップも素敵だそうです。


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