公益社団法人日本通信販売協会によると、2016年度の通販の売上高は前年比6.6%増の6兆9400億円となりました。マイナス成長を記録した1988年度以来、18年連続で増えており、直近10年の平均成長率も6.6%。その伸びを支えているのはアパレルやBtoB関連とされています。

こうした中で近年、着実に伸びているのはED(勃起不全)治療薬を含む医薬品関連です。医薬品を通販で購入することは違法ではありません。問題なのは、本来医師の処方箋がいるED治療薬が扱われている点です。その半数近くは健康被害を招く偽造品の疑いがあるため、うかつに手を出さないことが賢明です。

1年に10倍の割合で増えている偽造医薬品

ネット通販でED治療薬を購入する人の多くが、人と会うことなく居ながらに注文できること、一般的に非常に安価であること、処方箋をもらうために足を運び診察を受ける必要がないこと――などを利点に挙げています。

国内でシアリス、バイアグラ、レビトラなどのED治療薬を製造・販売している製薬4社が2016年11月に開いた合同セミナーでは、2015年に税関で差し止められた偽造医薬品の合計が1,030件であることが報告されました。しかも、その多くがED治療薬というのです。

10年前の差し止め件数は11件でしたから、およそ100倍のペースです。つまり、1年に10倍の割合で増えているということになります。

ネット通販を利用する人の多くが「医師に相談するのが恥ずかしい」ことを理由に挙げています。しかし、送られてきた商品が正規品かどうかは専門家でもすぐには分からないのが実情です。たとえ人に知られず安く買えたとしても、偽造品であれば、健康を害してもどこにも文句が言えないという状況が怖いのです。

ネットで入手した治療薬の約4割が偽造品

外装ばかりでなく、中身も巧妙に作られた偽造品を一般の人が一目で見破るのは至難

外装ばかりでなく、中身も巧妙に作られた偽造品を一般の人が一目で見破るのは至難

このセミナーでは、日本とタイの調査会社を介して発注し入手したED治療薬の鑑定結果が明らかにされました。それによると、国内発注分の約4割、タイでの発注分の約5割が偽造品でした。

これらを詳しく分析すると、その結果や品質にはばらつきがあり、有効成分が認められている用量を超えていたり、あるいは足りなかったりするものが多くありました。中には、まったく含まれていないものや、他の成分あるいは複数の不純物が含まれるものも確認されています。

当たり前の話ですが、偽装品は一見してそれと分かるように売られてはいません。大半は「本物」「正規品」「真正品」「海外のジェネリック医薬品(後発品)」などと銘打たれて流通しています。外装はもちろん、薬の形や色も似せて作られています。正規品にはない用量やカプセル形状、色目など、国内で承認されている先発品や後発品とは明らかに違和感がありますが、巧みに作られた偽造品を一目で見破るのは一般の方には難しいかもしれません。

健康被害を受けたら元も子もない

「それでも、安く手に入れたい」というニーズもあるでしょう。しかし、すでに述べたように、偽造品による健康被害は救済されません。もしも、使用することで重い症状や健康被害を招くとしたら、結局それは高いものについてしまいます。

実際、2011年には、あるED治療薬の偽造品を服用した40歳代の男性が数時間でけいれんや意識低下を生じ、病院に搬送された事例があります。この男性は脳の静脈に血栓があることが確認されたものの、間もなく回復し、退院しました。この男性が搬送された病院は、すでに亡くなった別の患者の遺品の中に、今回の男性が服用したのと同じ偽装品があったことを重く見て行政に相談したという経緯があります。問題の薬は、正規品と同じ形状ながら、実際には存在しない用量をうたった偽造品でした。

信頼できる医療機関に相談するのが一番

恥ずかしいという理由で安易にネット通販を利用するのは禁物。リスクは想像以上に大きい

恥ずかしいという理由で安易にネット通販を利用するのは禁物。リスクは想像以上に大きい

横行する偽造品は正規品を製造・販売する製薬会社の経済的利益を侵害するばかりでなく、購入者の健康を損ねるという点で悪質です。

見方を変えれば「早い・安い」といった理由でネット通販を利用することが、結果的に犯罪組織を手助けすることになります。「医師に相談するのが恥ずかしいから」「購入のために足を運ぶのが煩わしいから」などの理由で安易にネット通販を利用することのリスクは想像以上に大きいと考えましょう。

正規品を扱う製薬会社には今も、ネット通販で購入したED治療薬を服用した結果、体の変調を訴える方からの声が寄せられています。正しく処方されるED治療薬は豊かな人生を歩む手助けをしてくれます。決して自己判断せず、製薬会社のサイトなどを参考にして信頼できる医療機関を受診し、医師に相談することが賢明な選択です。

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