カロリー消費だけではない運動のメリット…疾病・抑うつ防止にも
体を動かすことは健康的な生活を送る上で欠かせないものとなっている
■運動の直接的な健康効果・メリット
- 運動によって消費されるカロリーが食事などからとる摂取カロリーを上回れば「カロリー負債」となり体重減少に貢献する
- 体重コントロールを可能にするためには継続的な運動習慣が必要
- 高血圧による病気のリスクを減少させる
- 2型糖尿病、心臓疾患、がんなどのリスクを減少させる
- 関節痛やそれに関連する歩行困難などのリスクを減少させる
- 骨粗鬆症とそれに伴う転倒のリスクを減少させる
- 抑うつ状態の改善
指先を使う動作は前頭連合野を刺激し、認知症予防に有効
スポーツにおいても指先からの刺激が脳の活性化をうながす。
例えば、手を使ってある動作を行う場合、「前頭連合野」から脳の中央にある「運動野」に指令が届き、そこが手の筋肉や関節を動かすことによって実際の行動に反映されるようになります。手をよく使えば使うほど、手から脳へ送られる信号が増え、それを受け取った脳とその信号をつなぐ神経回路であるシナプスの働きが活発になるため、こうした動作を繰り返すうちに脳がより活性化されると考えられています。
手はものを握ったり離したりして巧みな動作を行いますが、指先を使う動作には、小さなものをつまむピンチ動作、指先を触れて動作を行うタッピング動作、指を何かにひっかけるフック動作などがあります。また手のひら全体を使って行う動作としては、重いものや硬いものなどをしっかりと握るグリップ動作などがあります。
特に指先を使って動くピンチ動作やタッピング動作、フック動作などは脳の機能障害でのリハビリテーションや認知症予防などに効果が期待できるものとして注目されています。運動やスポーツなどにおいても道具を使って行うものは、手の動作が鍵となることが多く、このことからも運動やスポーツは認知症予防にもつながるのではないかと考えられます。
指先の動作を必要とするおすすめの運動・スポーツ
指先を引っかけてボールを投げるボウリングもオススメのスポーツ
手のひら全体を使って行うグリップ動作は「ものを握る」ことであり、道具を使ったスポーツであればこの動作を伴うものがほとんどです。テニスやバドミントンなどのラケットを握ったり、ボールを握って投げたりといったことがその例として挙げられます。また野球やソフトボールのような比較的小さなボールは握る動作で指先にまで力が入り、グリップ動作とともにフック動作も加わります。他にもタオルを使ったタオルストレッチなどもグリップ動作を伴う運動の一つと言えるでしょう。
一方、より細かな動作が求められる指先の動きとして、スポーツに当てはめてみるとピンチ動作においては指先でつまんで投げるダーツが挙げられます。またフック動作を伴うものとしては壁の突起物に手や指先を引っかけて登るボルダリングや、ボールの穴に指を引っかけて投げるボウリングなどがその一例として挙げられるでしょう。
運動は健康的な生活を維持するために欠かせないものです。目的にあわせて、様々な運動の選択肢がありますが、脳の神経回路をより活発に働かせたいと思う方は、手や指先を使った運動などもぜひ取り入れてみてくださいね。
■参考
Centers for Disease Control and Prevention(CDC):Physical Activity for a Healthy Weight)