子育て/プラス思考の子を育てるコツ

子供の転校はかわいそう?子供の気持ちから考える転校成功のポイント

子供にとっての転校・引っ越しとはどういうものでしょうか。私は子ども時代、いわゆる「転勤族の娘」で数々の引っ越しを経験しました。今と時代は違いますが、子供の時に引っ越しをどうとらえていたのか、何を考えていたのか、子供の頃の気持ちをお伝えします。ぜひ参考にしてみてくださいね。

斎藤 貴美子

執筆者:斎藤 貴美子

子育てガイド

子供にとって転校と引越しは心細さ4割ワクワク6割

子供の転校はかわいそう?子供の気持ちから考える転校成功のポイント

子供の転校はかわいそう?

 
<目次>

私は、父の転勤で約3年ごとに引っ越しを繰り返した子供時代を送りました。生まれてからの引っ越し回数は7回。幼稚園は2つ、小学校は3つ、中学校は2つ行くことになり、ようやく高校になって「入学式と卒業式が一緒」というものを経験します。

こういう話をすると「新しい生活に慣れるのは、大変だったのでは?」と聞かれますが、本人からすれば「引っ越しは当たりまえ」。春に桜が咲くように、夏にひまわりが咲くように、ウチは3年に1度、引っ越しをするもの、と割り切っていました。

歳が若いほど馴染むのも早く、あとになると引っ越し経験が蓄積されてきます。もともと適応力のある性格だったのか、引っ越しによってそうなったのかの判別は難しいところですが、緊張したことは覚えているものの、すごく苦労したという経験はありませんでした。

両親は、私より内向的な弟が、新しい環境に馴染めるかどうかと気を揉んでいたようです。
性格はきょうだいでちがうもの

性格はきょうだいでちがうもの

弟は引っ越しの際に「毎日遊んでいた友達と、なぜ遊べなくなるのか」が分からず、悲しかったといいます(小学校低学年)。しかしいざ新天地に行けば「訛り言葉をからかわれてムカついた」記憶はあっても、寂しい思いはせず、すぐに友達ができたそうです。

子供の順応性でもって、大人より上書きされるのが早いのかもしれません。
 

それまでの友達と離れるということ

送別会は授業のひとコマを割いてくれました

送別会は授業のひとコマを割いてくれました

さて、ここからは当時の気持ちを詳細に説明します。私の個人的な体験なので、参考になりそうな箇所だけ拾ってください。

引っ越しと聞けば、親は真っ先に「新しい友達はできるかな?馴染めるかな?」と心配になるでしょう。確かに子供にとって、それまで仲良しだったお友達と離れることは、寂しいのです。送別会をしてくれたり、お手紙をもらったり、写真を撮られたりするうちに、なんとなく引っ越しを自覚してきます。

私が覚えているのは、子供ながらの未熟でホンネ全開の気持ちです「〇〇ちゃんは好きだったけど、嫌いなところもあったし」、「次に行くところに、もっと素敵なお友達がいるかも!」と本気で期待に胸を膨らませていたのです。

中学生にもなれば「また会いたい友達とは、絶対会える」と確信しているので、100%悲しみの渦中にいる、ということはありませんでした。
 

新しい場所ではルールが変わる

未知との遭遇

未知との遭遇

新しい家、新しい遊び場、新しい幼稚園・小学校。まさにそれらは新鮮!のひとことに尽きます。未就学児にとって行ける場所は、家と公園くらいなものですが、それでも冒険は止まりません。家をすみずみまで見て回ったり、公園で未知との遊具に遭遇したり……今ではありえないほどの好奇心と前向きさで、目の前がキラキラしていました。

ただ、よく観察しておくべきが、ルールの違いです。

ヘタをすると今までNGだったことを先生から推奨され、今までの価値観がグラつくことが何度もありました。

椅子は座るものと教えられてきたけれど、お弁当を食べるときにはテーブルとして使う幼稚園がありました。

制服がある小学校があり、私服のおしゃれを楽しむ小学校があり、制服がないはずなのになぜか生徒のほとんどがジャージのズボンを着ている小学校があり(転校初日にミニスカートで行ったことを後悔)、トイレが男女に分かれていないことに驚愕しました。
新しいルールとマナーを学んでいきます

新しいルールとマナーを学んでいきます

直面したときは「嘘でしょ!?」と思うのですが、まぎれもない現実であり、そこにいる人間は違和感なくこなしているので、翌日には慣れるのです。

涼しい顔をしてジャージをはき、訛りのアクセントを習得し、男女が同じトイレで用を足すことに抵抗が消えていくのです。今考えると、その適応力が少し怖くもありますが。

園や学校によってカリキュラムや履修範囲の順番が違ったりもします。
習うのが二度目なら全問正解しますし、転校まもなく習ったことのない範囲のテストがあれば、さんざんな点数になるでしょう。
テスト用紙の様式も違って一苦労

テスト用紙の様式も違って一苦労

私は両親から「だからといって、そんな問題もできないのか」とからかわれ、さすがにイヤな思いをしたので、そんなことがあったら、お子さんにはぜひ「できなくて当たり前だよね」と認めてあげて欲しいものです。
 

新しい友達はどうできたか?

一度見れば満足

一度見れば満足

地域差はありますが、転校生というものは、パンダ並みに珍しがられるものでした。幼稚園でもまわりに人が集まってくるし、小学校では「転校生が〇組に来た!」というニュースとなって、学年中の子が教室の出入り口を覗いていきます。

「目があった!」だの「髪の毛が長い」だの「斎藤っていうんだ」だの。見世物にされまくっていますが、彼らに悪気はなく、ただはしゃいでいるのです。

では転校生はその間どうしてればいいのか。時に度胸がいりますが、静かにニコニコしていればいいのです。

「敵ではないよ」と、動物が腹を見せるごとく微笑んでいれば、自然と質問攻めに合い(好きな食べ物からお母さんの名前まで)、クラスに一人はいる心やさしき「おせっかいさん」が校内を案内してくれます。

転校生はその「おせっかいさん」を通じて、いろいろな情報を集めます。誰がボスなのか、誰の性格的な湿度が高そうか、誰が面白そうか、誰が人気者で、誰が嫌われているのか。それはなぜなのか。

クラスのボス的存在の子と気が合わなそうであれば、遠巻きにしながら気の合う子を探します。ボスがいなければ自分がなってもいいのです。
かわいらしさで競わなければオッケー

かわいらしさで競わなければオッケー

ですが、経験上の結論は、「クラスで一番かわいい子」の称号を与えられている子の湿度は高いです。普段からチヤホヤされ、自分より女子力が高い女子を嫌うので、張り合わない方が無難でしょう。

また親が経営者らしく、威張って暴力をふるう男子もいました。喧嘩して、ボコボコにされると心身共に痛いので、そういうジャイアンも相手にしない方がいいでしょう。

子供の世界は、意外ときれいごとではありません。大人の世界の根本部分としてしっかり機能しています。
 

親が気を付けたいこと

不安そうなら声をかけてあげて

不安そうなら声をかけてあげて

以上のようなことを知ると、けっこうな政治力や計算が要りそうでハラハラしてしまいますね。自分で書いていてよくやってきたなあとしみじみしますが、たいていの子供は自然にやってのけると思います。

「ああ、こんな感じね」と新しい人と場の醸し出す雰囲気をつかみ、その子のペースで気の合う子を見つけ、じき、転校生だったことを忘れるくらい馴染んでいくでしょう。

昔と今とでは、私たちを取り巻く環境は激変しているし、子供の性格や性質によっては悩んでしまうかもしれません。が、どうぞ先まわりの心配はグッとこらえてほしいと願います。

親が「うちの子と、お友達になって!お願い」といっても効果はなく、むしろ逆効果の場合があると覚えておいてほしいのです(子供がバカにされます)。子供だからこそ好き嫌いはハッキリしていて、頼まれたからといって一緒に遊ぶ義理はないのです。

子供が心配そうにしていたら、親が「ドキドキするね~。ちょっとこわいね」と共感して声をかけてあげてください。「悲しくなったら、教えてね」「がんばりたくなかったら言ってね」という声掛けもいいと思います。

元から順応性が高そうな子なら、「〇〇(子供の名前)なら大丈夫!」「新しいお友達も楽しいと思うよ」と言ってもいいと思います。

何か問題があったら、その都度対処しようの心意気でゆったり構えることが理想です(実際引っ越したら、子供の心配をしている暇がないくらい忙しいでしょう)。
子供が夢中になれる習い事を

子供が夢中になれる習い事を

また、何か問題があったら……の見分け方は難しいところですが、引っ越して数週間たっても笑顔がないとか、辛そうだとか「マイナスの何か」のサインを感じたら、馴染めていない可能性が高いです。子供の話をゆっくり聞いたり、時には学校をお休みするのもいいと思います。

また小学校や幼稚園でなじめないようなら、習い事など他のコミュニティを提供してあげるのも良いようです。そちらを「ホーム」として根差し、学校を「アウェイ」とすることで、精神的なバランスが保てるようです。
 

最後に……親も引っ越し先の生活に馴染む努力を!

大人もドキドキです

大人もドキドキです

私の母は専業主婦なのですが、新しい土地へ越すたび、「一番大変なのはお母さん(専業主婦/主夫)だ」と言っていました(そして気苦労で体重が3キロ減るそうです)。

夫には会社があり、子供には幼稚園や保育園、学校というコミュニティがある。そう比べると、専業主婦/主夫は外部との接点が少なくなりがちです。

そこで母は、パートに出たり、地域のサークル(ママさんテニス等)を始めるなどして、その土地に溶け込んでいきました。自分のできることを、自分のペースで試してみて、徐々に馴染んでいけるといいですね。

親子ともども、心身ともに踏ん張りが必要な引っ越し。心配はつきものですが、みなさま無事に、健康で新生活を送れることを願っています。

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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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