絶好調のモンスターハンター:ワールド

MHWの図

ちなみに、日本だけでなく、海外でも大変に高評価を得て販売を伸ばしています

PlayStation4(以下PS4)で発売されたモンスターハンターシリーズ最新作の、「モンスターハンター:ワールド(以下MHW)」が絶好調です。発売から約1か月経った2018年2月18日までの販売本数は、パッケージで約180万本。ただし、発売初週において、ダウンロード数と合算で200万本近いという数字が出ていて、うち約135万本がパッケージ、約3割がダウンロード版とのことでしたので、その割合が大きく変わらず、約180万本が全体の7割だと想定すると、すでに250万本クラスの規模感と考えられます。

最近ガイドは、千葉のFMラジオ局bayfmの番組「POWER BAY MORNING」という番組に電話出演してきまして、ゲームのお話をしました。その時、最近イチオシのゲームは? というようなことを聞かれましたので、迷わず「モンスターハンター:ワールド!」と答えたところ、なんで人気なのかという話になりました。

これが、モンスターハンターシリーズを知らない人も聴いているラジオの、しかも短い時間で説明するのは相当難しいなと思いました。というのも、MHWが良くなった点というのは無数にありますし、それによってゲーム体験が素晴らしいものにレベルアップしている点は疑いようもないのですが、それは決して、ひと目見れば誰でもすぐに分かるようなものではないからです。

その時気がついたんですね、こんな説明するのもちょっと難しいようなことでも、ユーザーは拾って、結果に反映されているんだな、ということに。そしてこれはゲーム業界のこれからにとって大切なことのように思えましたので、詳しく説明してみたいと思います。

驚異の装着率

PS4の図

MHWを遊ぶためにPS4を買ったという人も少なくないでしょう

まず、MHWの売り上げの意味について、もう少し掘り下げてお話したいと思います。PS4の他のタイトルをみてみると、いずれもパッケージのみの数字ですが、「ドラゴンクエスト約XI 過ぎ去りし時を求めて(以下ドラクエ11)」が次点で約130万本、「FINAL FANTASY XV」が約100万本という状況です。ドラクエ11に関してはニンテンドー3DS版もあって、2つのハードに分かれているためにこの数字ということなので、ドラクエ11と単純比較してどうこうという話とはちょっと違うんですが、PS4のタイトル群の中では、パッケージのみで比較しても初週でトップに躍り出ているという時点で特別であることがお分かりいただけるかと思います。

さらに、装着率ということについてもお話しておきたいと思います。装着率というのは、ハードの普及台数にたいして、どのくらいの割合で売れているか、ということです。どんなに素晴らしいソフトでも、ハードが普及していなければ、それに見合った数字しか基本的には出ない、と考えます。

MHWが発売された時点のPS4の累計販売台数が約620万台。というと、初週の200万本はざっくり3割近い装着率になります。そしてその後もMHWが販売数を伸ばしているため、おそらくこの数字は現時点で3割を超えてきていると考えられます。PS4を持っている3人に1人が買っているというのは、かなりスゴイことです。実はガイドは、正直に言うとMHWがこんなに売れるとは想定できていなかったのですが、それは3割を超えるような装着率が予想できなかったからです。100万本を超えれば健闘と言ってよいと思いました。事実、ドラクエ11もFF15もそこから大きくは外れていない数字です。

ちなみに、モンスターハンターシリーズは、時間をかけて長く売れる傾向のあるゲームです。もっとも、今回はユーザーに子ども達の割合が多い携帯機ではなく、ハイエンドの据え置きハードでのヒットということで、単純に同じ動きをするとは限らないのですが、PSPやニンテンドー3DSで発売された時のようなロングランをするのであれば、さらに上を目指せる状況と言えます。

MHWが高評価である理由

MHWの図

モンスターの痕跡から居場所を教えてくれる導虫(しるべむし)など、今までにないシステムも登場しています

さて、MHWはなぜそんなに売れたんでしょうか? PS4でグラフィックが良くなったからでしょうか? それだったらガイドも説明はしやすいんですね。実際、PS4で開発されたことで従来とは比較にならない、大迫力の狩りが楽しめるようになりました。それは発売を待つまでもなく、東京ゲームショウで体験し、口から火を漏らしながら迫りくるアンジャナフを、仲間の竜の一矢が火花を散らしながら貫いたときに、これはすごいと圧倒されました。

しかし、MHWというゲームの素晴らしさを考えれば、グラフィックの向上はむしろオマケと言ってもいいぐらいのものです。そのぐらい、ゲーム部分が大変に向上しています。詳細は以前記事に詳しく書いたので、こちらを読んでいただきたいのですが、簡単に言えば、モンスターハンターシリーズが抱えていた面倒だった点や、ストレスになる点、分かりにくい点をことごとく解決されたということが、大きなポイントになります。

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MHWが素晴らしすぎてPS4ごと買っても良いと思う(AllAboutゲーム業界ニュース)

これが、やってない人に説明するのはすごく難しいんです。マップのエリア移動による読み込みが無くなったというのはまだ分かりやすいんですが、狩りに出てから食事ができたり、装備が変えられるとか、歩きながらキノコをさっと採れるとか、ボスモンスターと出会うまではスタミナゲージの消費が無いとか、そういう話をしても、非常に些末な話に思えるわけです。

些細なことの積み重ねが、劇的に密度をあげる

MHWの図

MHWが良くなったポイントは、1つ1つは些細なことに思えますが、全体としては劇的な変化をもたらしています

しかし、遊んでみると、それらが1つ1つは些末なことに思えても、全体としては重大な意味を持つことが分かります。「広いマップをエリア移動によるロードなしで自由に駆け巡って狩りを楽しむ」ということを大きな柱にして、モンスターハンターシリーズが抱え得ていたストレス、ゲームのテンポロスを取り除いた結果、フィールドに出て走り回ることそのものが本当に楽しくなりました。

単にモンスターを倒すというだけではない、自然の中での狩りという雰囲気はより増して、面倒な時間は少なくなり、ゲームをしている間とにかくずっと楽しいという時間が続き、ゲーム体験の密度、純度が圧倒的に向上しました。それは、MHWを遊んでしまったら、従来のモンスターハンターシリーズには戻れる自信がない、というほどの劇的な変化です。

MHWを遊んだことによって、ロードや、面倒なシステムによる、ゲームのテンポロスが、どれほどゲーム体験そのものに大きな影響をもたらしていたかというのがはっきり感じられました。それは、生まれ変わったと言ってもいいぐらいの変化です。

ユーザーは圧倒的ゲーム体験を待っている

ゼルダの伝説 ブレスオブ ザ ワイルドの図

人気シリーズを大きく変えることは作り手にとって勇気がいることです。そういう意味でも2つの作品に共通点があるような気がします(イラスト 橋本モチチ)

実は、これにやや近い体験を他のゲームでしています。それは、ニンテンドースイッチから発売された「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」です。もちろん、MHWとゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルドは全く違うゲームですが、これまでのシリーズが積み重ねてきた常識を見直して、細かいシステムの積み重ねで圧倒的なゲーム体験を実現しているところに共通点を感じます。

そしてもう1つ、その細かい積み重ねによるゲーム体験の向上に、ユーザーがきちんと気がついているということにも、共通点を感じます。ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルドは発売するとすぐにこれまでのゼルダの伝説シリーズを全て塗り替える歴史的ポイントになるようなゲームであるとして大絶賛を受け、ニンテンドースイッチ好調のきっかけとなりました。

そしてまた、MHWがこれまでのモンスターハンターシリーズの常識を打ち破り、密度の高いゲーム体験を提供し、それをユーザーが正しく評価し、販売につながりました。これまでも、モンスターハンターシリーズが据え置きハードで出ることはありましたが、グラフィックがいくら良くなっても、みんなで持ち寄って遊べる携帯機でこそ爆発的に売れ、据え置きハードでは携帯機ほど伸びないというのがこれまでのパターンでした。

ゲーム業界では、スマートフォンによってゲーム専用機が駆逐されるという話がもうずいぶんも前からずっと言われてきました。ゲーム専用機で、しかもテレビの前に座ってじっくりゲームをやるなんて人はニッチである、と。事実、スマートフォン向けゲームアプリは隆盛を極め、ゲーム専用機の市場は縮小してきました。

しかしどうでしょう、2017年は新しいゲーム専用機であるニンテンドースイッチが大ヒットし、2018年は、携帯機で人気だったモンスターハンターシリーズが、ハイエンドの据え置き機であるPS4でヒットを飛ばしているのです。結局のところ、ゲームユーザーは面白いゲームを求めているのです。しかも、MHWがやっているような細かい積み重ねによるゲーム体験の変革を見逃さない人たちがいるのです。

面白いゲームが必ず売れるとは限らないのがゲーム業界ではありますが、一方で、本当に面白いものを発信した時に、それを見逃さない嗅覚を持ったゲーム好きがいてくれるというのは、大変に心強いものです。MHWの成功を背景にして、渾身の作品に応えてくれるユーザー達に、PS4が、もっと言えばゲーム業界全体が、さらに大きな盛り上がりを作ってくれることを期待したいと思います。

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【関連サイト】
田下広夢の記事にはできない。(ゲーム業界ニュースガイド個人運営サイト)


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