家庭内「見ればわかるよね」は通用しない
私がこんなに忙しくしているのに、なぜ座って新聞を読んでいられるの? そう思ったらぜひ試してみてください
夫婦間で家事シェアが成立しにくいことの根底には、男性に多い「システム脳」と、女性に多い「共感脳」という特徴が関係している、と言われています。
ただ、家庭内での家事シェアは何も男女に限ったことではありません。家事ができるはずの年ごろの子供たち、同居の父母や義父母、兄弟など、一緒に暮らしている人たちが無関心だと、ストレスはたまります。
今回は、男女というカテゴリーをはずして、なぜ「見ればわかる」が通用しないのかを考えてみましょう。
先の出来事を想像できなければ人は動かない
家事を主体的にしている人の頭の中は、食事の準備をしながら、「お風呂の準備」「シーツの取り替え」など、常に複数のことが同時進行していることが多いものです。一方で、普段家事をしない人の頭の中では、今どんなことをすべきか、先にどのようなことが待っているのかは想像できません。「見ればわかるはず」「言わなくてもわかって」は、同じような家事感性の人にだけあてはまること。自分のものさしで相手に期待する前に、してほしいことは具体的なことばにして伝える習慣を持ちましょう。
ただし、人の脳は一度にたくさんのことを言われても、長時間留めておくのが苦手です。伝えるときは端的に、見える形で、がコツです。
■知恵1:スマホアプリで見える化&通知
メモやto doリストも効果的ですが、一番楽チンなのはスマホアプリを使うこと!
Wunderlist(タスク管理アプリケーション)
家族のスケジュールも共有しておくと、食事やお弁当の準備などの管理も簡単に。口頭だけだとすれ違いがちですが、アプリでお互いシェアできると楽ちんです。
TimeTree
「きっかけ」がわからなければ人は動かない
「ほこりがあるから掃除機をかける」「水アカがついているから風呂のタイルをそうじする」「ゴミ箱がいっぱいになったから捨てる」。日頃何気なく行っている家事ですが、そもそも「ほこりがある」「水垢がついた」「ゴミ箱がいっぱいになった」ことに気づかなければ、その先の行動には結びつきません。「動かない人」は、この「家事のきっかけ」がまったく見えていないことが多いのです。日頃から「家事のきっかけ」を伝える工夫をしていきましょう。
■知恵2:家事は家族のいる場所で、起承転結を見せる
1人で誰もいない家で家事をしない! 家事の起承転結を積極的に家族に知ってもらう工夫を
<たとえばテレビの画面のほこりなら>
- 起「静電気があるから汚れやすいんだよね。でもほこりがあると余計な電力を使うんだって。だからみつけたらそうじしておいたほうがいいみたい」
- 承「このほこり取り、駅前でセールだったんだけど新製品なんだって。便利そうだよね。使ってみるね」
- 転「わー、こんなに取れたよ。見て見て、やっぱり汚れているもんだね。気がついたらそうじしておくほうがいいね」
- 結「やっぱりきれいだと気持ちいいね! これ、ここにいつも置いておくからみんな使ってね」
モチベーションがなければ人は動かない
家事を手伝ってもらったら「ありがとう」と伝えよう、人の役に立つうれしさで家事をするようになる、といった意見をよく聞きますが、それはたまに手伝ってくれた場合。毎日大量の家事が発生する中で、その都度「ありがとう」のやりとりは無理があります。心地よいシェアが成り立つ根底には、モチベーションも大切。忙しさの中で「やらなくちゃ」といった義務感も大きいですが、「やったら気持ちがいい」「おもしろい」「おいしい」といったハッピーなモチベーションにも注目してみて。
■知恵3:ポジティブな感情を声に出してシェアしよう
ひとりで誰もいない家で家事をしない! 家事の起承転結を積極的に家族に知ってもらう工夫を
そもそも、家事は「快適に暮らすための日々の仕事」。やることでポジティブな結果が得られ、気持ちいいもののはず。でも、誰かに過剰にタスクが集中すると、本来の「気持ちいい!」感覚は消えてしまいます。
「やらなくちゃ」だけの義務感で家事を抱え込まず、「やりたいな」「やったら気持ちいいな」と思えることを優先して、家族とシェアしましょう。声に出して「気持ちいいね」と共感しあえると、辛かった作業もちょっとだけ気持ちがやわらいで、風景の見え方が変わってくるはずです。
動かない人に動いてもらうための3つの知恵。やってみると自分の気持もちょっとだけ、上向きになるかも、です。
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