新一年生におすすめの絵本! 入学のドキドキにそっと寄り添う
共感することで安心したり興味を持ったり、絵本で入学がますます楽しみになります!
<目次>
- 入学に向けて絵本を読むと、どうしていいの?
- 1 入学までを楽しく過ごそう! 『一年生になるんだもん』
- 2 一年生になることを改めて実感する『ランドセルがやってきた』
- 3 小学校ってどんなところ? 心の準備に『小学校の生活』
- 4 写真でリアルに小学校をイメージできる『1ねん1くみの1にち』
- 5 入学が待ち遠しくなる物語『くんちゃんのはじめてのがっこう』
- 6 一年生の頭の中をのぞき見る『いちねんせい』
- 7 交通ルールを再確認『たろうのおでかけ』
- 8 読むと涙があふれる卒園の定番絵本『みんなともだち』
- 9 「好き」が緊張をほぐす『どんなにきみがすきだかあててごらん』
- 10 自分を大切にしてほしい『わたしとなかよし』
入学に向けて絵本を読むと、どうしていいの?
【入学後の生活がイメージできる】小学校での生活が紹介されている絵本を読むことで、子どもたちも、小学校がどんなところなのか、自分を待っているのがどういう生活なのかがイメージできます。それだけでも安心できますし、心配なことを話すきっかけにもなります。
【生活のリズムを整えてくれる】
何かと慌ただしい時期ですが、いつものペースで絵本を読むことは、生活のリズムを整えてくれる(乱さない)効果があります。また、身体の調子がよくなり疲れがたまりにくくなることで、心も落ち着きます。
【入学してからも楽しめる】
自分の学校との違いを楽しんだり、卒園・入学の頃を思い出したり― 入学がテーマの絵本は、入学前だけでなく意外なほど長く楽しめます。入学祝いのプチギフトとしてもおすすめです。
1 入学までを楽しく過ごそう! 『一年生になるんだもん』
『一年生になるんだもん』
入学前の健康診断に入学式のお知らせ、かわいいアップリケのついた手提げ袋と、もちろんランドセル。入学までの流れや準備するものが、子どもにも実によくわかります。
「わーい わーい」と、1年生になるのを心から楽しみにしているさっちゃんの喜びがあふれ出してくるので、入学が待ち遠しい子も、なんとなく不安な子も、はつらつとしたさっちゃんにつられるように笑顔になります。
明るく弾むような、未来への期待のたくさん詰まった絵本。入学式前日にもぜひお読みください。
【書籍データ】
書名 『一年生になるんだもん』
文 角野栄子
絵 大島妙子
出版社 文化出版局
2 一年生になることを改めて実感する『ランドセルがやってきた』
『ランドセルがやってきた』
「やったー! ランドセル! うゎおー! あお!」うれしくてたまらず、本や家計簿(!)や新聞をせっせとランドセルにつめて外に出かけていくうみひこくん。「新一年生あるある」エピソードに笑いながら、子どもたちは、初めてランドセルを背負ったときの、うれしくて、誇らしくて、少しおもはゆいような気分を味わいます。
6年を共に過ごす相棒の到着は、子どもにとっても大人にとっても感慨深いもの。いよいよ新しい生活が始まる…… そんな実感が湧いてくるのではないでしょうか。ここまでの成長と新たな出発が、ほのぼのとうれしくなる、そんな絵本です。
さて、うみひこくん、最後に大事なことを思い出して、あわてて家に帰りました。そんなうみひこくんに目を細めるおじいちゃんの顔が、目に浮かぶようです。
【書籍データ】
書名 『ランドセルがやってきた』
文 中川ひろたか
絵 村上康成
出版社 徳間書店
3 小学校ってどんなところ? 心の準備に『小学校の生活』
『小学校の生活』
小学校入学前夜のけんたくん、ランドセルを背負って名前を呼ばれたときのお返事の練習です。さて、小学校はどんなところかな? これから、どんな生活が待っているのでしょうか?
小学校の絵図鑑のような、『小学校の生活』。集団登校から始まって、朝礼、授業、給食、そうじと、けんたくんの1日を追いかけます。いろいろな教室や学校行事の紹介もあるので、小学校がどんなところかが1冊でイメージできるようになります。
入学を控えた子どもたちは、「これなあに?」「何をしているの?」と興味津々。柔らかいタッチで細かなところまでしっかりと描き込まれた絵を、すみずみまで見逃さず、絵本の先にキラキラした夢を見ているような、実にいい表情をしてくれます。
1年生だけでなく、中学年、高学年そしてなんとけんたくんが卒業するまでが描かれているのも面白いところ。最後のページでは、1年生から6年生までのけんたくんが勢ぞろい。きっと、「えーっ!」と声があがりますよ。
【書籍データ】
書名 『小学校の生活』
絵 はまのゆか
出版社 学研プラス
4 写真でリアルに小学校をイメージできる『1ねん1くみの1にち』
『1ねん1くみの1にち』
運動会の練習も佳境に入った頃の1年1組の児童たちは、フレッシュながらも学校生活にもすっかり慣れた様子。忘れ物もおしゃべりもいたずらも、ばっちり写っていて、臨場感は抜群。ひと月分の給食や、カバンの中身、筆箱などは必見です。
ご注意いただきたいのは、大勢への読み聞かせ向きではないということ。細かな書き込みが多く、そこがこの絵本の楽しさなのですが、クラス単位で読むのは難しいでしょう。けれど、年長さんだけでなく、小学校に入ってからも、小学生と幼稚園・保育園生のきょうだいでも、この絵本を挟むと、会話がどんどん広がります。
また、日直の進行でつまずいてしまう場面や夜の教室や理科室の様子に、不安になる子もいるので、『小学校の生活』と上手に使い分けてくださいね。
【書籍データ】
書名 『1ねん1くみの1にち』
写真・文 川島敏生
出版社 アリス館
■遊びながら小学校を体験できる! 『しょうがっこうへ いこう』もおすすめ
迷路や間違い探しなど、遊びながら小学校を体験できる絵本。絵本を集中してみるのが難しいお子さんや、絵本を見ながら会話するのが苦手な大人の方には、こちらもおすすめです。
5 入学が待ち遠しくなる物語『くんちゃんのはじめてのがっこう』
『くんちゃんのはじめてのがっこう』
スキップしながら学校へ行ったくんちゃんですが、お母さんとは離れがたく、立派な上級生を見ては不安になり、とうとう、開いていた戸口からさっと外へ飛び出してしまいました。
学校までの道々、「ぼく がっこうへ いくんだよ」と出会った動物たちに言わずにはいられない喜びと、椅子に座っていても押しつぶされそうに小さくなってしまう心細さ。子どもたちは「がんばれー」と手に汗握ってくんちゃんを見守ります。
先生は、くんちゃんたち新一年生ができることから始めてくれました。そんな先生のあたたかさに包まれて、くんちゃんは自信を取り戻し、安心して家に帰ることができました。次の日の朝の、くんちゃんの笑顔のまぶしいこと!
「くんちゃんよかったね」「こんな先生だったらいいな」― 子どもたちも、そして大人も、そう思わずにはいられない、素敵な学校生活のスタートです。
【書籍データ】
書名 『くんちゃんのはじめてのがっこう』
さく ドロシー・マリノ
やく まさきるりこ
出版社 ペンギン社 ■くんちゃんシリーズ(ほか多数)
※どの作品から読み始めても大丈夫! 子どもたちが次から次へと読んでいく、人気シリーズです。
6 一年生の頭の中をのぞき見る『いちねんせい』
『いちねんせい』
『いちねんせい』は、谷川俊太郎さんと和田誠さんの詩の絵本。そこに描かれているのは、「がちゃらめちゃら」「どうして?」「もしもあたまが おしりだったら」― どれもが谷川さんにつかまえられた、一年生の頭の中です。
掲載された詩を、子どもたちはあっという間に覚えてしまい、パンを食べながら「むかし わたしは こむぎでした」、大きな声で「ござまりでべれけぶん」!― 笑いながらそんなふうに唱えると、身体がぐーんと外に向けて開くような気がします。
日本語の響きやリズムの美しさ・面白さは、元気をくれる魔法のようですね。
「せんせいは / なかよくしようと いいました / せんせいも / ともだちが ほしいのかな」
【書籍データ】
書名 『いちねんせい』
詩 谷川俊太郎
絵 和田誠
出版社 小学館
※引用の詩は「せんせい」の一節です。
7 交通ルールを再確認『たろうのおでかけ』
『たろうのおでかけ』
たろうと動物たちは、仲良しのまみちゃんの誕生日に、贈りものを持って出かけます。「うれしいな、うれしくって たまらない!」あまりにうれしくてはねながら歩くたろうに、お母さんは「そんなに ふざけちゃ、だめ だめ だめ……」
まみちゃんの家に着くまで、黄色の信号で渡ろうとしたり、ななめ横断をしようとしたり、たろうたちは交通ルールを何度も破ろうとしますが、その度に大人たちは「だめ だめ だめ!」と止めてくれます。
たろうたちのうれしさがあふれる、元気でリズミカルな絵とことばが、気持ちのいい絵本。「だめ!」さえも不思議と明るいこの絵本で、交通ルールを再確認してみてくださいね。
【書籍データ】
書名 『たろうのおでかけ』
さく 村山桂子
え 堀内誠一
出版社 福音館書店 ■たろうシリーズ
8 読むと涙があふれる卒園の定番絵本『みんなともだち』
『みんなともだち』
「がっこういっても ずっとともだち」「みんなともだち ずっとずっとともだち」素直なことばが胸に響きます
それに比べると、子どもたちの反応は意外とあっさりしたものかもしれません。「今」が全ての子どもですから、それは当たり前のこと。とはいえ、何も感じていないということではないのです。
一緒に過ごしてきた友だちとの別れは、6歳だってやっぱり寂しい。卒園式で「ずっとともだち」と言いたくなる友だちとの輝くような日々は、子どもたちをあたため続けてくれるでしょう。
そしてまた、入学したら、そんなふうに思える友だちとの出会いが、きっと待っているはずです。
【書籍データ】
書名 『みんなともだち』(ピーマン村の絵本たち)
文 中川ひろたか
絵 村上康成
出版社 童心社
※後ろ見返し(裏表紙を開いたところ)に楽譜つき ■ピーマン村シリーズ(ほか多数)
9 「好き」が緊張をほぐす『どんなにきみがすきだかあててごらん』
『どんなにきみがすきだかあててごらん』(児童図書館・絵本の部屋)
「どんなに、きみがすきだかあててごらん」「こんなにさ」― チビウサギとデカウサギは、腕をぐんと伸ばしたり飛び上がったりして、お互いに相手をどんなに好きかを言い合います。
『どんなにきみがすきだかあててごらん』は、世界中で読まれているベストセラー。たっぷりの余白や淡い色遣いは心地良く、穏やかに物語の世界に誘ってくれます。ウサギたちと自分を重ねて、親子で「好き」の伝え合いっこをして楽しく遊んでいるうちに、ポカポカ心があたたまってくるような、そんな絵本です。
実は、ウサギたちは、親子とも、友だちとも恋人とも書かれておらず、絵からは性別すら特定できません。一緒に読む人、読むタイミングによって味わいが変わるので、きっと長くそばに置いておきたくなりますよ。プレゼントにもおすすめです。
【書籍データ】
書名 『どんなにきみがすきだかあててごらん』(児童図書館・絵本の部屋)
ぶん サム・マクブラットニィ
え アニタ・ジェラーム
やく 小川仁央
出版社 評論社 ■シリーズ4冊セットもあります
■同じ作者でこちらもおすすめ!
10 自分を大切にしてほしい『わたしとなかよし』
『わたしとなかよし』
小学校という新しい世界へ踏み出していく子どもたちが抱えているのは、期待と不安、両方の気持ち。「小学生になるまでにできるようにならないと」と強く思ってしまったり、入学後にほかの子と比べて落ち込んでしまったりする子もいます。
そんなときに、大丈夫! とにっこり笑いかけてくれるのが、プリプリかわいいこぶたの女の子です。
「わたし」はいつも、素敵な「わたし」と一緒だよ。できるからいいんじゃなくて、「わたし」なのがいいんだよ― 伝わってくるのは、そんな前向きなメッセージ。自己肯定感なんて難しいことばを使わなくても、「わたし」でいることがどれだけ素晴らしいかや、自分を大切にすることの幸せを教えてくれます。
「しっぱい したって だいじょうぶ」「おちついて…… もういっぺん やれば…… きっと うまくいく!」
自分で自分を励ませる、しなやかな強さ。 お子さんだけでなく、大人の方へも贈りたい、折に触れて読み返したくなる1冊です。
【書籍データ】
書名 『わたしとなかよし』
さく ナンシー・カールソン
やく なかがわちひろ
出版社 瑞雲舎
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