仕事で落ち込んだ時、気分が沈んだ時の対処方法は?
落ち込んだときの立ち直り方
「なぜあの人は、あんなひどい態度をとるんだろう……」
誰しも、そんなふうに落ち込んだ経験があるでしょう。
相手の物言いや態度に「人として信じられない」「もうこれ以上つきあっていけない」と思うことも。
最近では、SNS上で「さほど親しくない人からネガティブなコメントされた」「顔を合わせたこともない人から辛辣なメッセージを受けた」といった経験をする人もいます。こんなとき、「なぜ、私の領域に踏み込んできて文句を言うの?」と思うことでしょう。
最近、私はよくこんな質問を受けます。
「落ち込んでしまって、どうしても立ち直れないときは、どうすればいいですか?」
一度落ち込んでしまうとなかなか立ち直ることができない、という人のために、その「処方箋」についてお伝えしたいと思います。
<目次>
仕事で落ち込んだ時の対処法1. 自分の「落ち込み方」を知っておく
最初に、質問です。あなたは、一度落ち込むと、回復までにどれぐらい時間がかかりますか?
数日間、2週間、1ヶ月、半年……?
内容や状況で変わるでしょうが、回復までの期間が長ければ長いほど、心に負担がかかりますから、なるべく短い期間で立ち直れるほうがいいでしょう。
次に、あなたは、どちらのタイプでしょうか?
・ひどい仕打ちを受けた時、「目には目を、歯には歯を」と、相手に応戦することに力を注ぐ
・「相手と同じ土俵に立たない」と心に決め、相手の様子を見ながら、今後の対処の仕方をじっくり考える
ひどい目にあった時に、自分はどのように反応するのか……。
落ち込んだ時、自分はどんな感情をもちやすく、どんな状態になるのか。気分が回復するまでにどのぐらい必要なのか……。
そうした「自分の感情とのつきあい方」を知っておくことが大切です。
すべてのことは、身体が資本です。心のつらさが続いて身体が言うことを聞かなくなってからでは手遅れです。自分のことを知った上で、一人で抱えこまず、本当につらい時は、SOSを出す勇気をもちましょう。
仕事で落ち込んだ時の対処法2. 自分なりの「立ち直り方」を知る
一人の時間を大切にしましょう
私の場合、ひとことで言えば、「冬眠」します。
ショックが大きすぎて回復までに時間がかかりそうな場合には、寒い冬にクマが冬眠するように、静かに一人で「自分の時間」に入るのです。なるべく一人になる時間をもち、とことん「落ち込む」ようにします。
そして、自然の中に身を置き、好きな場所で好きなことに没頭していると、少しずつ心がラクになってきます。
このように、落ち込んだ時の「自分なりの立ち直り方」を知っておくことが大切です。
職場で深く落ち込むことがあったら、ランチの時間を活用しましょう。ひとりで好きなものを食べたり、好きなレストランへ行ったりするだけでも、ホッと気が休まるものです。
仕事で落ち込んだ時の対処法3. 「同じ土俵に立たない」という防御策を知る
――大変な事態が発生した時、決して、相手と同じ土俵に立ってはいけない――これは、私がエグゼクティブの補佐役として働いていた時に、よく上司から言われていた言葉です。
「土俵」というと、日本の国技である相撲を思い出す人も多いでしょう。
大相撲では、「横綱」という階級が番付の最高峰です。その下に、「大関」「関脇」「小結」「前頭」と続きます。一方、番付に載らない階級の力士たちもいます。新弟子として入門してから番付に載るまでの「前相撲(まえずもう)」と呼ばれる階級にあたる力士たちです。
同じ力士であっても、番付の最高峰である「横綱」の経験値と、番付に載らない「前相撲」の経験値には、当然ながら大きな隔たりがあります。「横綱」になれる人は、ほんの一握りです。
「同じ土俵に立たない」というのは、わかりやすく言うと、「『横綱』は『前相撲』と同じトーナメントでは戦わない」という意味です。
人生も相撲と同じです。
誰かから裏切られた時やひどいことをされた時には、「許せない!」「なんてひどい人なの!」と思うものです。
ですが、そんな気持ちとうまく折り合いをつけ、あなたは「裏切った人」や「ひどいことをした人」と、同じ土俵に立ってはいけません。
「同じ土俵に立たない」という点を、もう少し説明しましょう。
たとえば、あなたが誰かから騙された、とします。
相手を「許せない」と思う気持ちが膨張し、腸が煮えたぎるぐらいに相手を恨み憎んだ時、あなたは「相手と同じ土俵に立っている」ことになります。
「同じ土俵に立つ」というのは、相手があなたを騙したようにあなたも相手を騙すという世界にいる、ということです。そんな「騙し合いの世界」では、いつになっても心休まることがないでしょう。そんな世界に、いつまでも身を置きたいですか?
仕事で落ち込んだ時の対処法4. 人としての器を大きくする
もっと高い視点に立ってみましょう
ですが、「相手と同じ土俵に立たない=同じ視点で物事を考えない」ということが、大切です。
たとえば、職場で先輩から些細なことで言いがかりをつけられた時、「今、先輩がイライラしているのは、昨日上司からこっぴどく叱られていたせいだろう。だから、きっとストレスがたまっているはず」と推測して、真正面から先輩に言い返さない、というのも「高い視点」をもって対応したことになります。
ビジネスの環境だけではなく、日常生活においても、「どの”視点”で考えるのか」「どの”視座”で物事をとらえるのか」を把握することが、非常に重要です。
何か大きな問題が起きた時、相手に対してある程度の距離を置きつつ、同時により大きな視点で物事をとらえることに力を注いでみる。
「なかなかそうはできない」と思われがちですが、落ち込む出来事があった直後は無理でも、時間が経過して心が癒され、自身に起きたことを客観視する心の余裕ができた頃に、そんな考え方が役に立つことでしょう。
問題そのものや、問題が起きるきっかけとなった相手と同じ視点で物事を考えず、もっと大きな、かつ異なる視点でその問題をとらえ、解決策を見出すことに時間を使う……。
そんな視点を持ち、自身の「人間としての器」を大きくしていくことが、何よりも大切なのです。
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