朝夏まなと 宙組トップスターに
宙組トップスターお披露目公演は『TOP HAT』。ショーの要素が多いこの名作で、朝夏さんの最大の魅力である明るさや華やかさ、定評のあるダンスを存分に発揮しました。花組時代にも組んだ経験のある実咲凜音さんとの相性も良く、偉大な新トップスターの誕生となりました。(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ
コスチューム・プレイの多い朝夏さんにとって久々のスーツ物が『メランコリック・ジゴロ』。ジゴロで詐欺師のダニエルを、リラックス、かつ誠実に演じました。男役二番手(真風涼帆)との芝居が多いのも、ファンを楽しませました。
トップになって初のオリジナル作品『Shakespeare~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~』では、文豪、ウィリアム・シェイクスピアを演じました。シェイクスピアの芝居に賭ける人生、苦悩や喜びを、生き生きと爽やかに熱演しました。
(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ
これまでにトートを演じたトップスターは8名。威厳と自信に充ち溢れ、孤高の権力者という印象が多い中、朝夏さんのトートは、力強くも、純粋でたおやかな若きプリンス。艶のある自然な声、手をはじめしなやかな一つ一つの動き、エリザベート(実咲凜音)に拒絶された時に見せる弱さ。ダイナミックなフィナーレ・ナンバー。一瞬たりとも目が離せない豊かな表現力。豹のように妖しく鳥のように優雅で、美しく魅惑的な「黄泉の帝王」となりました。
『バレンシアの熱い花』では、身分違いの恋や復讐を共にする同志との友情を軸に、復讐に燃えるフェルナンドを熱演。情熱的なスパニッシュダンスも素敵でした。
浅田次郎氏原作の現代劇『王妃の館-Château de la Reine-』の小説家・北白川右京役では「こんな役もしっくりくるんだ……」と新しい顔に驚かされました。個性的な人物たちが織りなすコメディで、朝夏さんのはじけた演技は客席を大いに沸かせました。
コンサート『A Motion』では、J POPSのコーナーで、新たな朝夏まなとを見せ、宝塚の名曲コーナーでは、これまでの集大成を。レベルの高い歌とダンスに、楽しいトークも交え、朝夏まなとさんの魅力満載のステージでした。
そして最後の作品『神々の土地』で、ロマノフ王朝のために翻弄したドミトリー・パブロヴィチ・ロマノフを演じました。皇族であるがゆえの苦悩や、忘れられない女性への想いを繊細に表現し、翳りのある成熟した男の魅力で、男役の有終の美を飾りました。