総合パフォーマンスにラゲージというエクストラ空間が融合
セダンとステーションワゴン共に、ミドルクラスのベンチマークとなるメルセデス・ベンツCクラス。メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、VWといったジャーマンブランドが、ステーションワゴンでも人気を独占する
とはいえ、ステーションワゴンそのものに魅力がなくなったかというと、そうでは決してない。特に輸入車の場合、以前にも増して、スタイリッシュなデザインが出揃ってきた。プレミアムブランドにおけるシューティングブレークブームなどは、その際たるものだろう。
セダンスタイルが根本的に有する高い走りの総合パフォーマンスに、ラゲージルームというエクストラ空間が融合したステーションワゴンは、細分化するであろう、これからのカーライフにおいて、もういちど、積極的な選択肢として注目されてもいいのでは?
ボルボのフラッグシップとなる90シリーズのステーションワゴンがV90。昨今のボルボは、安全性や環境性といったこれまでの特徴を生かしつつ、デザイン性やパフォーマンスにおいてもドイツ勢に匹敵するモデルを用意する
定番から個性派まで コンパクトクラス
コンパクトクラスの定番は、何といってもVWゴルフヴァリアントだろう。ゴルフの安心・安定の走りの性能はそのままに、上級クラスにも匹敵する実用的なワゴンスペースを組み合わせた。昔からのベストセラーワゴンで、まずはオールマイティにオススメの一台である。もっとも、猫も杓子もゴルフじゃツマラナイ、という方も輸入車好きには多いず。そもそも、人とは違う“何か”が光るクルマを選びたいという方も多いだろうから、「なのにゴルフじゃ、ねぇ」という向きもあるだろう。ゴルフに真っ向勝負するモデルとしては、プジョー308SWを挙げたいところだが、日ごろから運転を楽しんでいたいという方には、サイズアップでワゴンとしての使い勝手も向上したミニ クラブマンもいい。
M・ベンツのFFプラットフォームを用いたコンパクトなCLAクラスのシューティングブレーク。セダンバージョンより後席居住性が向上、実用性の高い流麗なスタイリングのワゴンモデルに。価格は415万~555万円。ハイパフォーマンスモデルのAMG(789万円)も用意される
ワゴンライフの定番 ミドルクラス
1973年の初代から8代目となる、ミドルクラスセダン&ステーションワゴン(ヴァリアント)のVWパサート。質実剛健というドイツ車への賛辞が似合う、正しくVWらしさを体現した一台。プラグインハイブリッド(GTE)も用意し、価格は349.9万~602.9万円となる
Dセグメントのベンチマーク、メルセデス・ベンツCクラスのステーションワゴン。上級車並みの安全装備を採用、セグメント初となるエアサスペンションを用意するなど“実用的なスペシャリティ”モデルに。価格は460万~798万円、ハイパフォーマンスモデルのAMG(962万~1433万円)もラインナップ
BMWの大黒柱、Dセグメントのスポーティなセダン&ステーションワゴン(ツーリング)が3シリーズ。内外装にそれぞれの個性をもたせた3つのデザインラインを用意するなどバリエーションも豊富。価格は441万~854万円
アウディの基幹モデル、A4のステーションワゴン(アバント)。ライバル(Cクラス、3シリーズ)より少し大きく、FFとアウディ自慢の4WD(クワトロ)を用意している。価格は476万~653万円、ハイパフォーマンスモデルのS4(868万円)と“頂点”のRS4(1317万円)をラインナップした
3シリーズはモデル末期で、“完熟”という意味では太鼓判を捺したいところ、なのだけれども、「すぐにモデルが代わったじゃないか! 」と、文句のひとつも言われそうだ。Cクラスの完成度の高さを取るか、A4の軽やかな走りを取るか、悩ましいところだが、ここは、モダンでスマートなイメージのA4アバントを推しておく。
すべての要求に応える アッパーミドルクラス
プレミアムセダン&ステーションワゴンのメルセデス・ベンツEクラス。セダンは乗用車のグローバルスタンダードに位置づけられる。自動運転に近づく安全運転支援システム、ドライブパイロットなど安全・快適装備も充実。価格は719万~1076万円、AMGモデル(1176万~1838万円)もラインナップ
スポーティなアッパーミドルクラスのBMW5シリーズ ツーリング。正常進化したスタイルに、モジュラー・エンジン・コンセプトに基づく高効率ターボを搭載した。部分自動運転を可能とする運転支援システムを搭載、価格は650万~1072万円
アウディのアッパーミドルワゴン、A6アバント。現行モデルはライバル(Eクラス、5シリーズ)の中では最も古い。アルミを多用した軽量ボディを採用、1.8Lターボ搭載モデル以外は4WD(クワトロ)が備わる。価格は666万~926万円、こちらもハイパフォーマンスモデルのS6(1346万円)とRS6(1729万~1829万円)をラインナップ
V70の後継モデルとなるボルボV90。新世代プラットフォームに自社開発エンジンを搭載、15種類以上の安全・運転支援システム(インテリセーフ)を採用し、パイロット・アシスト(自動運転レベル2)も備わった。プラグインハイブリッドも用意され、価格は669万~929万円
昨今のボルボは、安全性や環境性といったこれまでの特徴を生かしつつ、デザイン性やパフォーマンスにおいてもドイツ勢に匹敵するモデルを精力的にリリースしている。なかでもV90と同クロスカントリーは、その完成度の高さからしてジャーマンプレミアム3に優るとも劣らない。特にデザイン性の高さは素晴らしい。ベンツやビーエムにはもう飽きた、という向きには最良の選択になるはず。
メルセデス・ベンツ初のクロスオーバーモデル、E220d 4マチック オールテレイン。最低地上高をワゴン比+25mm、車高を変更できる電子制御式エアサスペンションを備え、ホイールアーチカバーやアンダーガードなどを備えたSUVテイストのスタイルをもつ。2Lディーゼルターボのみで、価格は861万円
ラグジュアリーならシューティングブレークも
ステーションワゴンというカテゴリーは、アメリカと日本で人気を失くしてしまっている。それゆえ、オススメモデルはヨーロピアン、しかもドイツ勢に偏ってしまった。ジャガーなどもまたワゴンを提案しているが、日本への輸入は未定である。今後、ステーションワゴンの選択肢が今まで以上に増えるという兆しは今のところないので、ドイツ勢中心のワゴン選びとなるのは致し方無しだろう。流麗な“スポーツクーペツアラー”、メルセデス・ベンツCLSシューティングブレーク。ラゲージには高級素材を手作業で組み立てたウッドフロアもオプションで用意するなど、上質感も高められている。価格は807万~1327万円、こちらもAMGモデル(1956万円)がラインナップされる
パナメーラのワゴンバージョンとなる、ポルシェパナメーラスポーツツーリスモ。Bピラーから後ろを流れるようなデザインに、高いルーフラインで後席居住性も高められた。後席は3座式を採用、ラゲージ容量も520Lと実用性が高められている。価格は1297.3万~2907.3万円