需要、希少性、利用価値の3要素が重要! ワークプレイスの有無がマンション価値を左右
将来のマンション価格を左右する大きな要素として「需要」が挙げられます。5年後、10年後、20年後にそのマンションの購入を検討する層がどのくらい存在するかは、将来価値を左右します。築40年超の郊外の団地タイプのマンションで、60平米以上の3LDKが数百万で売られているケースがあるのは、職住接近ニーズが高まる中で通勤アクセスが良好で機能的な住まいが求められるようになったから。こうした傾向は、今後ますます強まると思います。人口増加率の上位を見ると、都心3区をはじめとする都心のビジネスゾーンへのアクセスが良いエリア。首都圏では、その中でも今後の開発が進む東京・大手町へのアクセスは重要な要素となるでしょう。また、車社会の浸透した地方中核都市でも、駅アクセスの重要性がさらに増してくると考えます。
2つ目が「希少性」です。都心部に限らず駅周辺部の好立地のマンションは、2017年の売れ行きを見ても堅調です。駅を中心とした同心円を書くと、距離が倍になれば面積は4倍、3倍になれば面積は9倍です。確率的には、駅近いマンションの方が競争優位性が高くなります。その中でも、第一種市街地再開発事業であるとか、総合設計制度採用であるとか、商業・住宅一体の再開発であれば希少性は増します。また、同じタワーマンション内でも運河や公園ビューなのか隣にマンションが建っているのかでは、大きく価値が変わってきます。将来的にそのマンションだけでなく、その住戸の希少性が維持されるかどうかは、資産価格にも影響します。
3つ目は、「利用価値」です。築年数の古いマンションが価格が低いのには、耐震性という大きな不安要素(中には、補強などによって一定水準の耐震性のあるマンションもあります)があるからです。古い団地型マンションに見られるエレベーターの無い5階建てのマンションでは、1~3階の住戸と4・5階の住戸の中古流通価格が大きく異なります(4・5階が安い)。建物の利用価値は、将来の価格に影響する要素です。住宅性能表示制度が施行された2000年以降に建てられたマンションは、一定の住宅性能水準を保有しており旧耐震のマンションほど築年数による価格低下は少ないと考えます。一方で、医療機関やスーパーなどの買い物施設、教育施設などが身近にあるかどうかは、マンション選びの重要な要素です。地方都市を訪ねると、中には商店街の4割近くのお店が閉店している街も見受けますが、首都圏でも百貨店の撤退が報じられるように利便施設が稼働する需要が将来にわたってあるかどうかも見極めたいポイントです。
東京以外にも根強い人気を誇るマンションも。マンションを起点に生まれる未来の「ものがたり」も重要に
築10年超で、リセールバリューの高いマンションは、都心エリア以外でも目につきます。例えば、川崎市では、武蔵小杉駅前の「レジデンス・ザ・武蔵小杉」や川崎駅前の再開発「ラゾーナ川崎レジデンス」、新百合ヶ丘の「ガーデンアリーナ新百合ヶ丘」「シーズンアリーナ新百合ヶ丘」などが挙げられます。共通点は、再開発や街の整備が進んでいるエリアで、都心アクセスが良好で大規模マンションであること。前述の「需要」「希少性」「利用価値」を満たしたマンションでもあります。
リセールバリューを期待するのであれば、割安であることも重要ですが販売時点で割安なマンションには滅多に出会うことはありません。そこでのマンションの暮らしが将来どう変わっていくのかも重要なことだと思います。そのマンションが生まれる街や完成したマンションでの暮らしがどんな「ものがたり」を紡ぐのかは価値を左右する要素だと思います。
「スカイズ タワー&ガーデン」や「パークタワー東雲」のように経過築年数が浅くてもリセールバリューが高いのは、多彩な共用施設やランドスケープデザイン、特徴的なロケーションから得られる景色などで実際に現地を訪ねるとそこで暮らす価値のイメージが湧きやすい事もあるでしょう。長期にわたって快適な暮らしが実現しそうな街やマンション、住戸なら資産価値は下がりにくいと考えられます。暮らしの価値が上がるためには、街が成長するための「余白」が必要で、今後開発が進みそうな遊休地や低利用地、再開発の動向や機運があるかどうかなども重要です。
誰もが良いと思うマンションには、お買い得価格はつかない。自分にとっての価値を意識することも重要
リーマンショックのような、市況が一気に冷え込むようなことが起きない限りは、誰もが良いと思う物件に、お買い得価格がつくことはありません。しかし、今年のマンション市場を見ても売れ行きの好調な物件とそうでないマンションがあるように、価格設定によって値頃感に差があるのは事実です。値頃感の一つの目安として、マンションの売れ行きが挙げられます。短期間でマンションが完売するためには、価格の納得感が必要です。タイミングによっても販売ペースは、変化しますが売れ行きが好調な物件は、値頃感を感じている人が多いということ。今の旬な物件とも言えるでしょう。また、来場数に対する申込者の割合(通常、来場歩留まりといいます)が高い物件は、それだけマンションに対する価格の納得感が高いということ。中心価格が5,000万円を超えているのに申込率が20%近くになっているような物件は、値ごろ感が高いと言えるでしょう。また、良い住まい選びには、資産価値を意識しすぎないことも大切なことだと思います。郊外の大規模マンションで近年目立つのが、親との近居を実現するために中古マンションを購入してリフォームやリノベーションして住む動き。広い住まいをリーズナブルに購入でき子育てに対して親のサポートも得やすい。共働き夫婦にとっては、賢い選択の一つと言えるでしょう。家に予算を掛けすぎない分、教育資金の準備もしやすいでしょう。こうした自分にとっての価値を考えてマンションを選ぶことも重要ではないでしょうか。
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