犬のあくびに込められている気持ちとは?
犬のあくびに込められている意味とは?
あくびを理解すると、犬の気持ちを感じ取れるようになるでしょう。愛犬とより良い関係を築くために、また双方向のコミュニケーションを図るために、ぜひ「あくびに込められている意味」を知って下さい。きっと、愛犬のあくび仕草を見つけることが楽しくなるでしょう。
犬があくびをする4つの理由
犬があくびをするのには理由があります。「なぜ今、愛犬があくびをしたのか?」その理由を知ることで、愛犬が抱いている気持ちや状況を把握できるようになります。犬があくびをする4つの理由を心の片隅において、彼らの日常を見守ってあげて下さい。きっと、愛犬が伝えようとしている想いに気付くことができるでしょう。≪犬があくびをする4つの理由≫
- 自分や相手を落ち着かせるため(カーミングシグナル)
- 病気や不調のサイン
- 生理的な反応
- 人間のあくびへの反応(伝染性のあくび)
カーミングシグナルとしてのあくび
犬たちは不要な争いを避けるためにカーミングシグナルというボディランゲージを使います。カーミングシグナルとは、犬が自分自身だけでなく周囲の人や犬を落ち着かせるために使う合図です。カーミングシグナルを提唱したノルウェーの動物学者であるテゥーリッド・ルーガス氏は、「あくびは犬の気持ちを表す重要なシグナルである」と伝えています。また、ルーガス氏は、「同じカーミングシグナルであっても状況によって意味が異なる場合がある」とも言っています。犬たちが、どんな状況下にいて、どんな気持ちを抱いているかを理解するために、カーミングシグナルとしてのあくびの種類と意味をご紹介します。
カーミングシグナル1:緊張・不安・不満を表すあくび
人間の気持ちで表現するならば、「やめて欲しいな。嫌だな。帰りたいな。いい加減にして欲しいな」そのような想いに近いあくびです。≪緊張・不安・不満のあくびが出るときとは≫
- 苦手な人や見知らぬ人に会ったとき、また近い距離で接しなくてはならないとき
- 苦手な動物や見知らぬ動物に会ったとき、また近い距離で接しなくてはならないとき
- 見知らぬ場所や苦手な場所に行ったとき
- 苦手なことをしなければいけないとき
- 怒られているとき
- ストレスが強くかかっているとき
- しつこい行為をされたとき
カーミングシグナル2:服従・謝罪を表すあくび
人間の気持ちで表現するならば、「争う気持ちはないよ。ごめんなさい」そのような想いに近いあくびです。≪服従・謝罪のあくびが出るときとは≫
- じっと見つめられているとき
- 怒られているとき
カーミングシグナル3:疑問・不安を表すあくび
≪状況が読めないことによる疑問・不安のあくびが出るときとは≫- 何をすれば良いのか分からないとき
- 何が起こるか分からないとき
カーミングシグナル4:自分や周囲を落ちつけたいあくび
人間の気持ちで表現するならば、「落ち着こうよ。そんなに怒らないで。仲良くしよう」そのような想いに近いあくびです。≪興奮した状態を落ちつけるためのあくびが出るときとは≫
- 嬉しいとき、楽しいとき、喜んでいるとき
- 他の動物同士が争っているとき
- 周囲で喧嘩が起こっているとき
- 怒られているとき
病気や体調不良のサインとしてのあくび
愛犬が普段よりあくびを頻繁にしたり、生あくびの回数が増える場合は、強いストレスや体調不良のサインである可能性もあります。そのようなときは、犬がリラックスできる環境を出来る限り整えることが大切です。強いストレスにより、体が蝕まれることは犬も人間も同じです。犬の目線になって周囲を見渡してあげて下さい。また、歯石が溜まって不快に感じたり、歯の奥が痛むときなどにいつもと違うあくびをすることがあるようです。あくびの仕方にも注意をしてあげて下さい。
そして、あくびをしているときに舌の色をチェックすることもおすすめします。舌は健康状態が見てとれる場所です。日頃から愛犬の舌の状態(色・しこりの有無)を把握していると、健康を害したときに早めに対処できるので、日常的に観察しましょう。
生理的な反応としてのあくび
犬も人間と同様に眠いときにあくびをする
≪生理的な反応としてのあくびが出るときとは≫
- リラックスしているとき
- 眠いとき
- 疲れているとき
伝染性のあくび
私たち人間は、見知らぬ人のあくびよりも親しい人のあくびの方がうつりやすいことが知られています。この伝染性のあくびについて、東京大学の研究チームが『人と犬の絆が強いほど、あくびがうつりやすい』との研究結果を発表しています。実験は、一般家庭で暮らす犬25匹とその飼い主を対象に行われました。その結果、伝染性のあくびが犬にもみられ、更にその行動が単なる不安やストレス反応(カーミングシグナル)ではなく、共感に関連した行動であることが明らかになったとのことです。この研究結果は、「PLOS ONE」という雑誌にて報告されました。
散歩中のあくびの意味とは?
散歩中に見知らぬ犬と出会ったときに、犬があくびをすることがあります。これは、あくびをすることで自分自身を落ち着かせると同時に相手に「喧嘩するつもりはない」ことを伝えているカーミングシグナルなのです。そのようなときは、無理に近づけることなく、犬が保っている距離感を大切にしてあげましょう。
頭を撫でられてあくびをする意味とは?
見知らぬ人や苦手な人に「可愛いわね」と頭を撫でられたときに、犬があくびをすることがあります。これは、見知らぬ人への不安感や触られることに対する緊張感を表すカーミングシグナルです。そのようなときは、立ち話は控えめにして、犬が安心できるように声かけをしてあげましょう。
抱っこしたときのあくびの意味とは?
抱っこをされるとあくびをする意味とは
また、成犬であっても、抱っこが苦手な犬は、抱き上げられるとあくびをする場合があります。これも、緊張や不安、ストレスから自分を落ちつけようとしているカーミングシグナルです。無理強いすることなく、抱かれることに対して短時間から徐々に慣らしてあげて下さい。
動物病院やお風呂場へ行くときのあくびの意味とは?
動物病院やお風呂場を嫌う犬は非常に多いです。怖いこと、痛いこと、苦手なことをされた記憶があるのでしょう。そのため、動物病院へ行くことが分かったとき、またお風呂場へ連れて行かれるときに犬があくびをすることがあります。これは、そこへ行くことが嫌で不快感を示しているカーミングシグナルです。また、緊張や不安、ストレスから自分を落ち着かせようとしているサインでもあります。犬の苦手な場所が徐々にでも好きになるように、おやつなどで工夫をし、その場に慣らしてあげて下さい。
犬を叱ったときのあくびはどんな意味があるの?
飼い主の方が犬を叱っている最中に、犬があくびをすることがあります。このあくびは、退屈や眠くなった表れでは決してありません。犬たちにとって、謝罪の表れなのです。「ごめんなさい。そんなに怒らないで」との想いがあくびに込められているのです。このようなときは、いつまでも怒り続けるのは止めましょう。犬は十分に怒られていることを理解していますから。叱り過ぎには注意をして下さい。
音を聞いてあくびをする意味とは?
例えば、花火や雷、サイレン、工事の騒音、掃除機、インターホンの音など、個体にもよりますが、これらの音を苦手とする犬たちが多いです。犬は苦手な音や不快な音を聞いたとき、驚いたり、不安を感じてあくびをすることがあります。あくびをすることで、不快な音から落ち着こうとしているのです。まさにカーミングシグナルです。生活音の中には避けては通れないものも多いです。少しずつ音に慣れさせてあげましょう。
震えながらするあくびの意味とは?
あくびと同時に犬が体をブルブルと震わせることがあります。これは緊張や不安をほぐして自分を落ち着けようとしているサインです。このような状況を目にしたら、何が緊張の原因になっているのか、不安の原因になっているのか探してあげて下さい。犬たちが抱えている不安に気づいてあげることで、ストレスを抑えることが可能となります。
車に乗っているときのあくびの意味とは?
車に乗せたとき、犬があくびをすることがあります。これは何らかの理由で車が嫌いな場合や、車酔いを起こして体調がすぐれないことが考えられます。あくびをすることで、リフレッシュを図ろうとしているのです。車酔いは、車嫌いを強くする原因となるので、こまめに休憩をとり、リフレッシュさせてあげて下さい。最後に
あくびという仕草に犬たちはたくさんの想いを込めています。愛犬は大切なパートナーだからこそ、彼らが発している小さなサインに気づき、受け止めてあげたいと私も改めて感じました。言葉ではなく、仕草で想いを伝える犬たちに私たちがどれだけ想像力を働かせ、寄り添うことができるかが大きなポイントとなるのでしょう。参考資料 【関連記事】