自殺サイトから仲間集めの場はSNS(X)へ
2017年10月、座間市で9人の男女が殺害された事件が話題となりました。この事件で加害者と被害者が会うきっかけとなったのが、X(旧Twitter)だったといいます。自殺サイトの規制が強化された結果、Xに場が移っている
SNSと自殺の関係性、IT企業各社の対策などについて見ていきましょう。
自殺の仲間集めは自殺サイトからXへ
過去、自殺サイトは社会問題化しています。2003年には、自殺サイトで知り合った男女が集団自殺する事件が起きました。さらに2005年8月には、自殺サイトで知り合った女性を殺害した容疑で逮捕された大阪府の男が、同様の手口で男子中学生や男子大学生も殺害していたことが分かり、死刑が求刑され2009年7月に刑が執行されています。そこで、警察庁から外部委託を受けた民間団体の「インターネット・ホットラインセンター」がネット事業者にそのような自殺サイトの削除依頼を行いました。自殺サイトの規制が強化された結果、自殺サイトの多くは閉鎖しました。その代わりに、自殺サイトに書き込まれていたことはXなどのSNSに場を変えています。
Xは匿名で複数アカウントが作れ、設定を変えない限り検索したり、誰とでもつながることができます。またXは10代20代の若者の利用率が高いため若者の自殺志願者も多数おり、自殺志願者に狙いをつけた悪い人間もXを狙っているというわけです。
自殺対策を急ぐITサービス各社
IT企業各社は自殺対策を急いでいます。GoogleやYahoo!Japanなどの検索サービスでは、「自殺」「死にたい」などで検索した人に対して、相談先の電話番号や相談機関を検索結果画面トップに表示しています。 Facebookでは、アメリカで自殺志願の14才の少女が生中継などをしたことを重く受け止め、ユーザーの自殺を防止するために対策を始めています。たとえば支援・サポートを提供したり、友だちに相談したり、専門家に相談することもできるようになっているのです。同時に自殺しようとしている本人には、「あなたを心配している人がいます」というメッセージがログイン時に表示されます。Xの利用規約の中で、あるユーザーに自殺や自傷行為の兆候があると報告を受けた場合、支援することがあるとしています。たとえば、その人物に他のXユーザーが心配していることを伝えたり、Xのメンタルヘルスパートナーの連絡先情報を伝えたりするなどをしています。ただし、投稿自体はできる状態であり、他のユーザーから報告がなければ止める手段はありません。
自殺をほのめかす投稿をSNSで見つけたら
今後、各社がさらに対策を強化してくれることを期待しています。しかし、それまで我々にもできることがあります。自殺関連ハッシュタグのポストで本気で自殺しようとしている人を見かけたら、積極的に運営会社に報告しましょう。緊急性が高いと思われる場合は警察に通報するなどすると、食い止めることもできるかもしれません。【関連記事】