他にも素晴らしいチーズがいろいろ…!
回を追うごとに加速度を付けてぐんぐんと美味しくなっている日本のチーズたち。試食したものの中には、受賞は逃したけれども本当に素晴らしいチーズがたくさんありました。審査員の方々も選ぶのはとても悩ましかったと思います。そんな素晴らしいチーズの中から、今回たまたま私が出会ったものをいくつかご紹介します。・山羊のハイジ(三良坂フロマージュ)
珍しい山羊乳製セミハードタイプ。真ん中の黒いラインは炭によるもの。山羊乳なのに、こんな深い旨みが出せるんだ!とびっくり。そのままでも美味でしたが、溶かしてラクレットの様にしても美味しそう。
・大きい 牛鐘(ランラン・ファーム)
直径20cm以上はありそうな大きさとリング状の形が鮮烈な印象を与えてくれた「大きい 牛鐘(カウベル)」。シェーヴルの様ですが、シェーヴルで一般的な酸凝固製法による牛乳製チーズ。シェーヴル作りの第一人者であるランランファームさんだからこその、このチーズ、そしてこの品質です。適度な酸味とミルクのコク、きめ細かな舌触りと繊細な口どけ。シャンパーニュと合わせたいような、そんなエレガントさと上品さがあるチーズでした。
・フロマージュ・ド・シェーブル(古株牧場 湖華舞)
きっちりとした佇まいが目を引いたフロマージュ・ド・シェーブル。真っ白できめ細かくぎゅっと締まった中の生地は、こっくりとしたミルクのコクがとても美味しく、きれいな味。山羊の臭みなんてみじんもありません。「山羊は臭いから嫌い!」という方にこそ食べていただきたいチーズです。シェーヴルが初めてというお子さまでも、きっと「おいしい!」と言ってくれるようなチーズです。
・プチ・プレジール(共働学舎新得農場)
多くのチーズ職人を輩出し、知識・技術を後進に伝えてきた共働学舎さん。ここ無くして日本のナチュラルチーズの今は無かったと言える、国産チーズの父の様な存在で、国際レベルのチーズも沢山作り出してきました。その中から今回試食したのがプチ・プレジール。濃厚なミルク感と複雑さ、とろりと熟成したなめらかな口どけは、さすがです。
・フリル(川瀬チーズ工房)
スイスのチーズ、テット・ド・モアンヌの様に、ジロールでひらひらとフリルの様に削って食べるチーズ。美しい見た目はテット・ド・モアンヌそっくりですが、味わいはあっさりで優しく食べやすい。その違いが良いな、と思ったのですが、生産者さん曰く「もっと本家に寄せたい」そう。色々悩みながら日々試行錯誤な事を感じたチーズでした。
いくつかご紹介しましたが、他にも美味しいチーズは本当にたくさん!全てをご紹介出来ないのが残念です。
日本のチーズは本当にビックリするくらい美味しくなっているのですが、特にブルーチーズやシェーヴルのレベルの高さには目を見張るものがあり(実際、あまりに美味しくて目を見開いちゃったチーズもたくさん!)、本場ヨーロッパにも全く引けを取らないと感じています。
また味の進化だけでなく、ここ数年はよりオリジナリティのあるもの、テロワールを感じるもの、その作り手さんならではのもの、日本ならではのものを多く見かけるようになり、バラエティの豊かさでも進化を感じます。そういった意味でも、消費者としてはチーズを選ぶ楽しみ、チーズとワインや食べ物を合わせる楽しみも充実してきて嬉しいところです。
そうそう、ワインと言えば国産ワインもぐぐっと美味しくなってきていますね。パンも美味しいものが増えました。チーズとワインとパン。この三位一体でのレベルアップは私たちの食生活を豊かにしてくれますので、今後の国産ものにさらに期待を寄せたいと思います。