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東急池上線!便利で美味しく住みやすい穴場の沿線

東急池上線沿線の住みやすさについて解説します。大田区蒲田と品川区五反田を結ぶ全長10.9キロの東急池上線。東横線、田園都市線に比べると知名度では劣るものの、昭和の東京の雰囲気を残す同沿線には魅力がいろいろ。知ると住みたくなるかもしれない。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

祝・全線開通90周年!東急池上線沿線の住みやすさに迫る

池上本門寺

日蓮宗大本山である池上本門寺。広大な敷地を持ち、茶室や梅林なども。地域に開かれたイベントなども開かれている(クリックで拡大)

昭和の東京の雰囲気を残す東急池上線。もともとは池上本門寺に参拝客を運ぶために大田区蒲田と池上を結ぶわずか1.8kmの路線として1922年にスタートし、現在は蒲田から品川区五反田までの15駅、全長10.9kmを繋ぐ。

全線開通した1928年から約90年ということで、2017年9月から東急電鉄では池上線沿線を活性化するプロジェクトをスタートさせている。
戸越銀座駅

多摩産材を使ったことで有名になった戸越銀座駅。日本で初めて、商店街に銀座と付けた場所でもある(クリックで拡大)

東急沿線の東横線、田園都市線に比べると知名度では及ばないものの、昭和の東京の雰囲気を残す池上線には独自の魅力がある。沿線全体の特徴に加え、各駅をご紹介していこう。


他路線、他駅に幹線道路、首都高も利用しやすい

池上線の特徴のひとつは駅間が短いこと。最も短い五反田駅と大崎広小路駅は300mしか離れておらず、電車の所要時間はわずかに1分。最も離れている大崎広小路駅と戸越銀座駅の間ですら1.1kmしかなく、所要時間は2分。ちょっと歩けば隣の駅、商店街その他が使える便利さがあるのだ。
蒲田駅

蒲田駅では池上線と多摩川線が並んでおり、終着・始発駅らしい雰囲気(クリックで拡大)

近いのは同じ路線の他駅だけではない。東急目黒線、同大井町線、都営地下鉄浅草線が近接、交差して走っているため、場所によっては複数路線の、複数駅を利用できるのだ。

特に便利なのは浅草線戸越駅と近い戸越銀座駅、都営浅草線中延駅、大井町線中延駅と近い荏原中延駅、大井町線と交差する旗の台駅、目黒線下丸子駅と近い千鳥町駅、目黒線矢口渡駅に近い蓮沼駅など。行く場所によって路線を選べるわけだ。
雪が谷大塚周辺

雪が谷大塚駅近くの中原街道。車、バスでの移動に便利(クリックで拡大)

また、沿線近くには山手通り、環状七号線、中原街道、環状八号線、第二京浜などの幹線道路が走っており、車での移動に便利。こうした幹線道路を利用、バス路線も多数走っている。

戸越、荏原と首都高速2号目黒線の出入り口が2カ所あるが、目黒線は都心環状線以外と接続していないため、交通量が少なく、渋滞も滅多に発生しない。交通利便性ではかなり便利な池上線なのだ。


商店街が充実、買い物も、中食も、外食も楽しい

久が原

久が原には昔っぽい市場も健在。八百屋の商品名にすべて産地、食べ方などが手書きで添えられているのにびっくりした(クリックで拡大)

東急池上線周辺には商店街が充実しているのもうれしいポイント。ターミナル駅蒲田、五反田は別格として、戸越銀座駅、荏原中延駅、旗の台駅、久が原駅、池上駅周辺には多くの個人商店が集積しており、物価も安ければ、品揃えも豊富。お弁当その他の持ち帰り食、「中食」もいろいろ選べるので忙しい人には手頃で便利。もちろん、外食にも、飲みに行くにも事欠かない。
御嶽山

御嶽山駅前の大型店。すぐ隣に神社がある(クリックで拡大)

これら3駅には負けるものの、長原駅周辺には庶民的でありながらもレベルの高いイタリアンデリや魚屋さんがあり、雪が谷大塚駅、御嶽山駅周辺には大型店も。古くから開発されてきた、規模の大きな一戸建て中心の住宅街が広がっているためか、鰻屋さん、和菓子屋さんが多いのも目についた。安く、質の良い食を楽しめる沿線ということである。

銭湯充実、桜の名所も点在

黒湯

蒲田駅近くのビジネスホテル。黒湯が売りでもあり、入浴だけを楽しむこともできる(クリックで拡大)

大田区、品川区といえば銭湯の多いエリア。しかも、このエリアでは黒湯を銭湯料金で楽しめる場所も多い上に、露天風呂、宴会場などを備えた施設もあり、遠くに行かずに温泉気分、行楽気分が楽しめる。
くず餅

駅近くにある浅野家。風情のある建物で、門前町らしさが漂う(クリックで拡大)

洗足池公園、池上本門寺、呑川沿いなど桜の名所も点在しており、季節には街中のあちこちでも花を楽しめる。池上本門寺は梅林でも知られている。ちなみに池上名物はくず餅で御三家と言われる老舗がある。本門寺は10月に行われるお会式でも有名で、特に万灯練供養というイベントが行われる日には30万人もの参拝者が集まるそうだ。
洗足池

洗足池。池のほとりには区立図書館もあり、子どもたちの姿が多い(クリックで拡大)

ただし、洗足池公園、東調布公園(最寄り駅は御嶽山駅)など広い公園もあるものの、沿線全体でみると公園自体は多いとはいえない。子どものいる世帯であれば周辺の遊び場などは調べたほうが良いだろう。

個人的には沿線のあちこちで立ち話をしている人の姿を多く見かけたのが印象的だった。人間関係があるまちと言っても良い。ご近所さんや商店主などとの会話のある暮らしを望んでいる人なら楽しいだろう。しかし、踏切内での立ち話姿多々にはびっくりした。


坂が多いという難も

石川台の坂道

石川台の駅近く、線路沿いの坂道。急な上に長い(クリックで拡大)

注意したいのは蒲田駅、五反田駅周辺を除けば高低差の多い地域だという点。その分、眺望、採光、通風などには恵まれた住宅が多いものの、場所によってはかなりの急坂も。ベビーカーや自転車利用、高齢者などにはやっかいな場面も想定できるので、住まい選びの際には実際に歩いてみて大丈夫かどうか確認したい。

久が原の住宅街

一戸建て中心のエリアが多く、区画も広い。静かで良いが、その分、利便性にはやや欠ける地域もある(クリックで拡大)

また、駅周辺には商業施設その他が揃っているものの、住宅街の中にはコンビニエンスストアなどがない地域も多いので、その辺りにも注意が必要。もちろん、その分、静かではある。

長原駅

駅の前は普通の道というコンパクトさ。だが、駅と直交するように商店街が広がっている(クリックで拡大)

駅前はどこもコンパクトで、そのせいもあるのだろう、パチンコ店やファストフード店などは少ない。駅を降りた時の印象としては「え、こんなに狭いの?」と思われるかもしれないが、周辺を歩いて見ると意外にいろいろある。駅前だけの印象で決めないようにしたい。

もうひとつ、沿線は大田区と品川区にまたがっている。当然、公共サービスはそれぞれに異なるので、その点は住みたいエリアの状況を調べて見てほしい。


和室中心の古い物件が現役

古くから開発されてきた上に、これまであまり大きな開発が行われてこなかったこともあり、沿線には築年数の古い物件が数多い。特に賃貸では和室2室の2DKのような物件も。和室を嫌う人もいるが、この沿線にしては比較的安く借りられるので、場合によっては検討してみる価値はある。

続いては東急池上線の各駅を簡単に紹介していこう。
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