MBWAは、リンカーン大統領からはじまった
MBWA、ぶらぶら総務が成果を上げる
古くは、南北戦争時にリンカーン大統領が前線の現場に足を運び、最前線の状況を自らの目で把握していた、という史実から生まれた言葉だと言われています。
現場最前線を自らの目で見て感じることの重要性は、仕事の現場でも同じです。上層部、あるいは支部長が机上の空論を振りかざし、現場から「現場のことを知らないくせに」という言葉とともに反発を買う、というのはよく見られる光景です。
現場に依頼することの多い総務ほど、この言葉は重要かもしれません。その理由を今からお話しましょう。
総務の役割=働く場の環境整備
私の関わる専門誌『月刊総務』で行った、全国総務部門アンケート。その中で、「今後の総務部門の役割」を聞いたところ、「働く場の環境整備」と答えた企業が最も多くありました。端的に言えば、働きやすいオフィスづくりをする、ということでしょう。働き方改革全盛の今の時代であれば、それは効率良く仕事ができるオフィスであり、創造性が向上するレイアウトとなるでしょう。ここで大事なことは、「誰のための環境整備か」ということです。もちろん、現場の社員のための環境整備であることに違いありません。その場合、「お客さま」は社員、となるわけです。「お客さま」が本業に専念できるために、総務部としては、さまざまなサポートをしていかなければなりません。
本業に専念し、売上拡大を実現するため、あるいは、次の商売の元となる技術革新を実現するため。そのように社員が会社に貢献できるよう、総務部は現場社員の生産性向上に貢献していくわけです。
社内マーケティングの必要性
現場に出向く総務が成果を上げる
しかし、総務部のメンバーは、往々にして、椅子に座ったまま仕事をするケースが多いように感じます。確かに膨大な仕事を抱えている総務としては、いかに早く処理するか奮闘するあまり、自席を離れることは難しいかもしれません。メールを駆使し、電話を駆使し、自席で仕事をしていきます。
かつて、「ぶらぶら社員」という言葉がありました。現場に出向き、ぶらぶらと歩くことで、現場の雰囲気、現場の空気を掴み、そして施策に反映する役割を負った社員を指します。
この役割の重要性は今も変わりありません。出向かなくても仕事は進む環境の整った今だからこそ、メールのやり取りだけでなく、ちょっとした頼まれごとでも、現場に出向いて解決していく。そのようにして、極力現場とのリアルな接点を増やし、社員の状況を知ることに努めるべきなのです。
従業員3000人規模企業に勤めるある総務部長は、メールや電話でのやり取りで済むところ、あえて現場に出向いて社員とコミュニケーションをとるようにしているそうです。
要件が終わっても、しばらく現場に佇んで周囲を観察し、現場の課題や動き、空気感に触れるそうです。頼まれごとをよいきっかけにして、積極的に現場に出向いているのです。
現場を知り、現場に知られる総務を目指す
現場を知り、現場に知られる総務を目指す
現場に出向く。そうなると、どうなるか?
総務部で働く個々の社員が現場の社員に知られるようになります。総務部の仕事は、総務が決めたことを現場に依頼する、総務が導入したサービスを現場に使ってもらう、そのような「依頼仕事」が多いかと思います。依頼される側としては、全く知らない人から依頼されるよりも、良く知った人からの依頼の方が、快く指示に従えるものです。
「何を言うか」よりも、「誰が言うか」が大切です。同じことを発言するにしても、現場の苦労や状況を良く知っている人から言われた方が、現場も納得するのではないでしょうか?
「多少不満はあるけれど、私たちのことを良く知っている◯◯さんが判断したのであれば、仕方ない」
一方、現場で見たことのない、誰とも知らない人の依頼であれば、反感を買うこともあるでしょう。
「誰だか知らないけれど、私たちの苦労も知らないくせに、こんなこと依頼して!」
総務におけるMBWA=「ぶらぶら総務」とは、現場を知ることの大切さと同時に、あなた自身が現場に知られることの大切さにも触れているのです。
さらに、名前と顔を覚えてもらえたら、自分の想いや目指すべきことも、現場に知ってもらえるとよいですね。
「さらに会社を良くしたいから、この施策を実行しています」
「みなさんが自社に誇りを持ち、楽しく仕事ができるよう、この依頼しています」
「現場でイノベーションを起こすために、このレイアウトにしました」
「何がしたいのか」を明確にした上で施策とつなげれば、現場の人の納得感もさらに高まることでしょう。
総務の地位向上は、そういう地道な活動から実現されるのです。
忙しくても、メールで済むことでも、MBWAを実践し、現場に出向いてはみましょう。そうすることで、社内からの協力が得られ、社内から応援されるようになり、結果の出る仕事がしやすくなるではなるのです。
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