苦しい老後になる原因とは?退職金の使い方の落とし穴
老後のライフプランについて、ご相談に来る方の中には「老後は、『みじめ』な生活を送りたくないんです」という女性の方が少なくありません。ところが多くの場合、「老後、みじめな生活を送りたくないので、貯蓄を増やしていきたい。今からどのように家計管理をしていったらよいのか」という相談の割には、日常生活での支出を抑える話になると「そんなの無理です~」「贅沢はしていないんですよ。これでもう精一杯、これ以上は切り詰められません」と、話が進まなくなるのです。
「みじめにならないための暮らし」に、必要な資金を計算して、今からそのための貯蓄を始めましょう。そのためには、パートに出て働くことも必要です。また、支出も見直していきましょう。とお伝えしているのですが、支出を削ることが、「消費を我慢する=不満」となるようで、「そこまで我慢しなくてはならないのですか?」と逆に聞かれたりするのです。
「あなたの望む人生を基に一緒に考えて、必要な金額を計算してきた結果です。貯蓄が貯まらなくてもよいでしょうか?」と返事を返すしかありません。こういうケースは、最近多くなりました。
「みじめになりたくない」という人は、
・「お金を使えない=貧乏」は、恥ずかしい
・思うように使えないで我慢することは、大いに不満
・「満足」はお金で得られる
と、思っている人が多いです。
この人たちは、「自分に本当に必要なもの」を見極められないのです。
流行やマスコミの影響を受けやすく、必要なものでもないものも欲しくなります。手に入れるときには、「これが必要だ」と思い込んでいるので、自分は「必要なものしか、買っていない」と思っています。そのため、不要な支出の振り返りができないのです。「贅沢をしていないのに、お金が貯まらない」と嘆くばかり。
皆さんは、大丈夫でしょうか?
同じような嘆きをしてはいないでしょうか?
このような傾向の人は、以下にお伝えする「みじめな老後」になる3つの落とし穴に、他の人よりも陥りやすいので、気を付けてくださいね。
退職金をご褒美だと勘違いする『ご褒美貧乏』
リタイア後の生活は、公的年金だけでは不足しがちで、多くの人が貯蓄の取り崩し生活になります。多くの方が誤解しているようですが、会社員がもらう退職金は、その取り崩し生活の大事な資金であり、決して、人生のご褒美なのではありません。厚生労働省の調べによると、会社員の定年退職金の平均は、大学卒で1941万円。60歳で退職金をもらい、そこから男性の平均寿命である80歳までの20年間、取り崩すとしたら、毎月約8.3万円。公的年金は、会社員のもらえる厚生年金の平均が月約14万円。国民年金が月約6.5万円。会社員の夫に専業主婦の妻という夫婦の場合、年金の合計は月約20.5万円。公的年金では生活費が足りないという人たちのための不足を補うために退職金はある、と考えたほうが良いのではないでしょうか。
ところが、多くの人は、約2000万円というまとまった額の退職金を手にすると気持ちが高揚して「ランナーズ ハイ」ならぬ「退職金 ハイ」になるようです。
「少しは自分や家族をねぎらって、プチ贅沢をしても罰はあたらない」と豪華な旅行に行ったり、前々から欲しかったものを買ってしまったりと、後先考えずパーっと使ってしまう方が多いです。
20年間の取り崩し金額を考えたら、とても、一度にパーっとなんて使えるお金でないことは明らかなはずなのですが、「お金を自由に使える自分に満足する」傾向の人々は、タガが外れたように使ってしまうわけです。
住宅ローンもこの際だから、一気に返してしまおうと、後先考えずに行動に移してしまう人もいますが、そうなったら大変です。退職金のほとんどを住宅ローンの返済に使ってしまったそのあとは、どうなると思います?年金生活が始まるころには、退職金は手元に残っておらず、老後のお金が足らない!という事態に陥ることになりかねません。
年金生活で足りない分は、働いて補いますか?80歳になっても90歳になっても。働けなくなったらどうなるのでしょうか?お金を借りますか?キャッシングで借りるとなったら、金利は?住宅ローンよりもずっと高い可能性がありますね。
80歳になっても働くのは、あなたにとって、「みじめな老後」になるのでしょうか。ぜひ考えていただきたいと思います。
その他の落とし穴は以下の2つです。
・年収が減っても家計を縮小できない『無自覚貧乏』
・子や孫からの『ねだられ貧乏』
以下の記事で解説しますので、興味のある方は続けて読んでみてくださいね。
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