犬にキウイを与えると健康に期待できることと注意点
<目次>
キウイは犬に食べさせても大丈夫!
健康な犬であればキウイを与えても大丈夫
グリーンキウイとゴールデンキウイのエネルギーの差はあまりありません。ですが、βカロテンはグリーンキウイが多く、ビタミンCはゴールデンキウイが多く含まれる。というような、栄養素の一部には差があります。皮は口当たりがいいものではないので、取り除いてから与えましょう。
犬がキウイを食べることで健康に期待できること4つ
キウイに含まれる栄養素は?
1:消化吸収を助ける
キウイに含まれる消化酵素アクチニジンには、タンパク質(肉、魚、大豆、乳タンパク)を分解する働きがあるので、消化吸収を助けることが期待できます。ただし、消化酵素は熱に弱い性質があります。
駒沢女子大学 キウイフルーツ研究室の西山一朗 教授のお話によると
「キウイに含まれる消化酵素アクチニジンは胃酸に弱いので、空腹時に食べるとタンパク質分解の働きは期待できません。食べ物が胃の中にある状態だと胃酸が薄まるので、胃や小腸でタンパク質を分解し、吸収しやすい状態にしてくれます。キウイを食事と一緒または食後に食べることで、消化酵素が効率よく働いてくれます。
空腹時にキウイを食べても胃でのタンパク質分解の働きは期待できませんが、小腸までたどり着くと消化液の影響でタンパク質を分解する働きを見せる場合もあります。
アクチニジンはミキサーにかけてジュース状にしても、働きに特に差はありません。」
実験上のデータではありますが、消化吸収のサポートをキウイに期待する場合、食事に混ぜるか食後に生の状態で与える方法がおすすめです。
2:犬のエイジングケアに
キウイには抗酸化作用のあるビタミンA、C、Eの3種類がどれも含まれています。
また、ゴールデンキウイはグリーンキウイより約2倍多いビタミンCが含まれています。犬の体内では通常ビタミンCを作ることができますが、ストレスでも失われることがあります。ビタミンCは体内に貯めておけない成分なので、ごはんやおやつで補ってあげてもいいでしょう。
3:炎症をおさえる働き
キウイの中心部にある種には、食事から必ず摂る必要のある必須脂肪酸の、オメガ3脂肪酸が含まれています。オメガ3脂肪酸は、炎症を抑えたり血液をサラサラにする作用があります。
ただ、キウイの種はとても硬く消化もしづらいので、キウイの種からオメガ3脂肪酸の働きを取り入れたい場合は、よくすりつぶして与えてください。
4:目を健やかに保つ
グリーンキウイに特に豊富に含まれるルテインには、目の網膜の健康維持に必要な抗酸化作用があります。キウイには同じく目の健康維持に欠かせない成分ビタミンCやビタミンEも含まれているので、食事でサポートすることも目を健やかに保つ方法のひとつです。
キウイを食べない方がいい犬や、薬や病気との食べあわせ
アレルギーとの関係にも注意を
「ヒトに対する研究ではありますが、キウイは抗酸化作用が高く、遺伝子(DNA)のダメージから保護する作用があるといわれています。
これはキウイが癌のリスクを低くする可能性があるという事を意味します。
キウイに含まれるビタミンEは目に対しても有効とされており、”ヒトの加齢性黄斑変性(網膜に障害が生じ、視力が低下する病気)に対してはサプリメントの摂取よりも生のキウイを摂った方が効果があった”という研究結果も出ています。
また、尿路結石の原因のひとつであるシュウ酸がキウイにも含まれています。その量は食品の中でシュウ酸を含む量が上位である、生のほうれん草の40分の1~50分の1程度ですが、過去にシュウ酸カルシウム結晶を作ったことがある犬、シュウ酸カルシウム結晶が出来やすい犬は、避けた方が安心です。
キウイをミキサーにかけることでシュウ酸の細胞が砕かれ、舌や口の中に刺激を感じる可能性が高くなります。食感に敏感な犬は、ミキサーにかけるよりも小さく切ってあげることで食べやすくなることもあるかもしれません。
カバノキとニンジンに対してアレルギーを持っている犬は交差反応(※)を起こす可能性があるので、与える時は少量ずつにして、犬の体調に変化がないかよく観察するようにしましょう。」
(※交差反応:アレルギー反応が出る対象物と分子構造が似ているまたは同じという理由で、別の食材や植物などにもアレルギー反応が出てしまうこと)
犬の間食として取り入れる場合、1日に与えていい量の目安
上記の表を参考にして、与えすぎないように注意してください。食物アレルギーはどのような食材でも反応する可能性があります。初めての食材を与える時は必ず少量ずつ与え、体調に変化がないか様子を見てくださいね。
人間向けに加工されたキウイフルーツは犬に与えないこと
人間用に加工されたものは、避けるようにしましょう
キウイを使った加工食品は意外と少ないものですが、人間向けに加工された食品を犬に与えることは避けましょう。
キウイの加工品で見かけることも多いドライフルーツは、基本的に表面に砂糖がまぶしてあり、保存料や香料が使われている商品が多いです。食べ過ぎることで肥満に繋がりやすくなります。
砂糖不使用でただキウイを干しただけのドライキウイであっても、一度に大量に与えすぎると胃の中で水分を吸って膨張し、吐き気をもよおす可能性もあるので注意が必要です。
犬にキウイを食べさせる時のポイントまとめ
- 犬にキウイを与えても大丈夫
- 消化吸収を助けたり、エイジングケアが期待できる
- シュウ酸カルシウム結晶が出来やすい犬は避けたほうが安心
- カバノキとニンジンに対してアレルギーを持っている犬は注意して与える
【執筆協力】
丸田香緒里 獣医師
日本大学卒。動物病院勤務後、飼い主様にもっと近い存在になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士など様々な資格を取得し、病院での診療や往診の他、セミナー講師やカウンセリング、企業との製品開発など活動は多岐にわたる。
ホームページ:http://animallifepartner.com/
西山一朗 教授
名古屋大学大学院理学研究科博士課程を修了後、帝京大学医学部助手、駒沢女子大学人文学部講師等を経て、平成21年より現職となり、管理栄養士養成教育に従事。
キウイフルーツやサルナシの果実成分に関する研究論文や学会発表多数。
ホームページ:http://kiwi.main.jp/(キウイフルーツ研究室)
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