L役・小池徹平インタビュー
「“人生で初めて”の体験をさせてくれた特異な役に、
新たな声を開拓しながら再挑戦しています」

小池徹平undefined大阪府出身。01年、第14回ジュノンスーパーボーイコンテストでグランプリ受賞。TVドラマ、映画、ウエンツ瑛士との音楽ユニットWaTと多彩に活動、『メリリー・ウィー・ロール・アロング』でミュージカルに進出。(C)Marino Matsushima

小池徹平 大阪府出身。01年、第14回ジュノンスーパーボーイコンテストでグランプリ受賞。TVドラマ、映画、ウエンツ瑛士との音楽ユニットWaTと多彩に活動、『メリリー・ウィー・ロール・アロング』でミュージカルに進出。(C)Marino Matsushima

――本作について、小池さんはどんな思い入れをお持ちでしたか?

「もちろん昔から読んでいた漫画で、ファンでしたし、映画も観ていました。それがミュージカルになると聞いて、どうなるんだろうと思ったらこういう、原作世界からさらに広がったエンタテインメントになっていて。栗山(民也)さんが演出に入られたことで芝居の部分がしっかりしているし、僕にとっても、よりミュージカルに濃くなるきっかけになった作品なので、本当に大好きです」

――小池さん演じるLは本当に特異なキャラクターですよね。そもそもなぜ、ああいう前傾姿勢なのでしょう?
『デスノート』2015年の舞台より。写真提供:ホリプロ

『デスノート』2015年の舞台より。写真提供:ホリプロ

「逆に、めちゃめちゃ姿勢のいい人もいますものね(笑)。でもLとしては、別に無理してああいう姿勢になっているわけじゃないんですよ。ちょっと変わった天才肌で、人の何十倍も頭脳を使う人だから、ああいう姿勢だったり目の下のクマだったりするけれど、それは彼がふつうに日常を積み重ねてきた結果なんだろうと思います。でも初演の時にはLの人物像を考え過ぎて、“役に呑まれる”ということを人生で初めて感じました。どんどん暗くなっていくというか、人と会うのが嫌になってきたり、ずっと部屋にこもって明るいと嫌だなと思ったり、自分が侵食されてゆく感覚があったり。キャラクターの力というものを身に染みて感じた役でした」

――その感覚が今回再び、でしょうか。

「それを演じきって2年の歳月を経て、またこの役に出会ったとき、2年前に作ったLが自分の中にいたんですよね、落とし込んでいたというか。出来上がったものがあったので、今回は準備期間をより“どういう人物像なんだろう”というのを膨らませていく時間に充てることが出来て、また全然違うブラッシュアップの仕方というか、ちょっと人間味を増したLを作れたかなという気がしています」

――初演では、食べ物を持っている時に小指がピンとしている姿などから相当、神経質な人なのかなと感じられましたが、そういう部分は同じでしょうか?

「そうですね(笑)。基本的な所作は変えていませんが、初演では、人に対する目線などで、ちょっと機械的な面が多かったと思うんです。再演では自分が思ってることがより表情に出ている気がしますね。2年経ってそうやりたくなったというのもあるんですけど」

――彼の内面の変化を推測するに、はじめはあくまで“ゲーム”として大量殺人事件の捜査に関わり始めたけれど、いつしか“真実は何?”とどんどん沼にはまっていって……というようなことでしょうか。

「Lはこれまで科学的な思考で、グレーゾーンの手段を使ってでも事件を解決してきたのに、今回は“死神”という存在にぶちあたって、そんなものが本当にいるのか、いるわけないだろうと真剣に考えて悩む。それはLが歌う歌詞のなかで表現されています。あんまり感情を表に出す役ではないと自分では思っているけど、それが歌の場面では思い切り出すことが出来る。それによって、原作とはまた違う感情の表現の仕方が出来るので、歌う場面はすごく楽しいですね」

――素朴な疑問ですが、初演を拝見していて、あの前傾姿勢でどうやってあの強い声が出るのだろうと驚嘆してしまったのですが。
『デスノート』2015年の舞台より。写真提供:ホリプロ

『デスノート』2015年の舞台より。写真提供:ホリプロ

「そうですよね(笑)。それも今回、自分の中で課題だったんですけど、自分の歌い方もこの2年間で日々変わってきたので、前回とまた(体の)違う部分を使っています。喉の上の部分というか。(前傾姿勢で)体全部を使えないので、響かせるのも難しいし、微妙な位置に慣れるまでにはすごく時間がかかりましたね。今もすごく苦労してます。ワイルドホーンさんの楽曲自体、ご本人が“歌い終わると倒れるくらいの馬力が要るから”とおっしゃっていて、1日2公演という日もあるし、スタミナが必要です。一日に二人の夜神月ががっと攻めてくるわけですから(笑)。でも疲れるは疲れるけど、一日にこんな二人を相手にできるのは贅沢だなという気持ちの方が勝ってて、疲れの中にも楽しんじゃってる自分がいますね」

――浦井健治さんと柿澤勇人さん、二人の月は違いますか?

「全然違います。役者としてのタイプが違うし、役に対するアプローチも違うし。二人とも2年前より歌も芝居も格段に素晴らしくなってるし、僕も変わってるし、より洗練された境地に辿り着いているのかな。二人とも同じ熱さなんだけど沸点が違うというか、ここで沸騰するんだというポイントが違ったり、台詞の言い回しも違うし、会話の後に何か残してくものが違いますね。一つの台詞を言われた時に、一人の場合は冷静に対応しようと思うけど、もう一人から言われるとなんかむかつくなとか(笑)。攻撃的になったり受け身になったり、それは日によっても違います」

――演技者として刺激を受けますか。

「受けますよね。もちろん油断もしてないです。この二人と対決してるんだなと思うと楽しいですよ」

――話は音楽に戻りますが、ワイルドホーンは歌う人の声質にあわせてメロディを変えることもあるそうですが、Lの楽曲についてはいかがでしたか?

「確かに柔軟に考えて下さる部分はありましたね。僕の声質を聞いて、Lの曲はキーが高いけど、僕のキーにあわせてくれた部分もありました。(wキャストではなく)全公演一人で演じるので、その分、同じ目線で考えてくださっているのかな、と感じました。本作で好きな曲ですか? 衝撃的だったのはLの『ゲームの始まり』ですね。なんて複雑なメロディなんだ、と思いました。シンプルに歌わせてくれない。他にも難しいなという旋律がけっこうあって、決して気持ちよく歌えるわけではないけど、でもそれが彼の複雑さをあらわしていたり、感情に繋がっていて。キャラクターとのフィット感は絶対にありますね」

――今回は一部のキャストが替わっています。

「本当に素晴らしい役者さんが新たに入ってくださったなと思っています。まず、石井(一孝)さんのリュークが大好きですね。本当にいいリュークに仕上げてくださっているし、人間的にもすごく好きで、本当に真面目で真っすぐで努力家で、僕、カズさん大好きです。(父役の)別所(哲也)さんは栗山さんとお話されているのを聞いていて、すごく頭のいい方なんだなと感じました。自分に対して納得できないものは納得いくまで自分の頭にちゃんと落とし込んでいて、凄いなと。だからこそものすごく説得力のある夜神総一郎になっていて、歌もぐっとくるんですよ。自分の息子が(大量殺人犯の)キラだったら、どう正義を貫き通せるのかというのが、2年経って僕も年をとって考え方が変わったからかもしれないけど、よりあの歌が響いてくるものがあって。(妹の)粧裕(さゆ)を演じる(高橋 ※高は梯子高)果鈴ちゃんもものすごくフレッシュでかわいらしくて、歌声も透明感があってきれいだし。どんどん黒くなっていく作品の世界観のなかで、いてくれるだけですごく救われる、あの真っ白な空気の出し方、居方、栗山さんの演出もあるのかもしれないけど、すごく果鈴ちゃんのまっすぐさがこの作品で効いてるんじゃないかな。すべてがうまくはまってる気がします」

――再演にあたって、ご自身でテーマにされていることは?

「進化ですね。僕は再演が初めてなんですよ。再演された舞台に出たことはあったけど、オリジナル・キャストとして出た作品を再演するというのが初めてなので、いかに自分が変化しているかを冷静に見ることができて、どうパワーアップして、前回とはまた違う面白みを出せるかを追究しています。より研磨する時間が増えましたね。“完全版”ですか? うーん、再再演があるかもしれないのでわからないけど、今できるベストの形を追究しています」

*(最近のご出演作の感想、現時点での俳優としてのビジョン等のお話はこちらの記事へ)

*次頁で死神リューク役・石井一孝さんインタビューをお送りします!本作の音楽についての解説も丁寧にしてくださっています!