小池徹平undefined86年大阪府出身。TVドラマ『シバトラ』『ちかえもん』映画『ホームレス中学生』等俳優として活躍するほか、ウエンツ瑛士とのデュオWaTで音楽活動も展開、NHK紅白歌合戦にも出場(16年に解散)。初舞台は『シダの群れundefined純情巡礼編』。undefinedヘアメイク:水谷さやか、スタイリスト:松下洋介 (C)Marino Matsushima

小池徹平 86年大阪府出身。TVドラマ『シバトラ』『ちかえもん』映画『ホームレス中学生』等俳優として活躍するほか、ウエンツ瑛士とのデュオWaTで音楽活動も展開、NHK紅白歌合戦にも出場(16年に解散)。初舞台は『シダの群れ 純情巡礼編』。 ヘアメイク:水谷さやか、スタイリスト:松下洋介 (C)Marino Matsushima

*最終ページに観劇レポートを掲載しました*

小池徹平さんと言えばTVドラマや映画、そしてウエンツ瑛士さんと組んだデュオWaT(今年解散)での音楽活動を通して知られていますが、13年に宮本亜門さん演出の『メリリー・ウィー・ロール・アロング』で、遂にミュージカルに進出。以来『デスノート』『1789』『キンキーブーツ』と立て続けに話題の舞台に主演、それぞれ異なるタイプの役柄を力強く演じ分け、にわかに“ミュージカル俳優”としての存在感も高めてきています。

2017年初春にはカンダ―&エブの名作ミュージカル『キャバレー』に、長澤まさみさん、石丸幹二さんとともに主演予定。ここ数年の活躍を見る限り、小池さん自身“ミュージカルをさらに極めてみたい”という思いが溢れていそうですが、実際はいかに? 彼の“現在、過去、未来”をたっぷりとうかがいました。

シリアスなテーマを猥雑に描く名作ミュージカルでヒロインに振り回される若者を演じる

――小池さんにとって、ミュージカルとはどういう存在でしょうか?

「今は、僕にとって“無くてはならないもの”というか、本当に刺激をいただく仕事ですね。ミュージカルはとりわけ“頑張らないとできない仕事”だと思います。とどまることを許されない感じがあって、自分のやるべきことがどんどん見つかってきます」

――“とどまることを許されない”というのは?

「千秋楽を迎えれば、もちろん一つの作品が終わった達成感はあるんですけど、そこで終わりではない感じがするというか。一つの作品を通して得るものが、技術的なものを含めてたくさんあるので、そこで終わりにするのではなく、次に“つなげたい”という気持ちが残るんですよ。どのミュージカルでも、“もうちょっと行きたいな”という課題が見つかって、今後再演されることがあればその再演で、再演がなくとも似たような作品や役柄に出会ったときに、チャレンジしてみたいと思えるんです」

――今、稽古を控えているのがライザ・ミネリ主演の映画版も有名な名作ミュージカル『キャバレー』。出演を決めたポイントは?
『キャバレー』(左から)小池徹平、長澤まさみ、石丸幹二

『キャバレー』(左から)小池徹平、長澤まさみ、石丸幹二

「『キャバレー』という作品のことはもちろん知っていましたが、今回演出をされる松尾スズキさんが、直接連絡をくださったことも大きかったです。松尾さんの舞台には以前にも『キレイ 神様と待ち合わせした女』で出演したことがあって、大好きな方なのですが、突然“今から、小池くんにやってもらいたい役があるから事務所に相談するけど、断らないでね”というお電話をいただきまして。その時点では詳細不明だったけど、松尾さんに声をかけていただいたのが嬉しくて、すぐにマネジャーにスケジュール確認しました。めっちゃテンションが上がった状態で、正式なオファーを楽しみにしていましたね(笑)」

――松尾さんはどんな演出家ですか?

「初めてお会いした時の松尾さんは“役者さん”だったので、『キレイ』の時に“ここはもっとこうして”とか、いろいろ言っていただいたのが新鮮でした。役者から引き出すことも大切にされていて、その人の芝居を観ながら“それちょっとやってみて”とその場で生まれたものを取り入れることもあれば、誰かのアドリブをさんざん笑って、これに変えるのかな~と思うと、“やっぱりそれはやめといて、元に戻します”とおっしゃることもある(笑)。そういう中から、最後には松尾さんのテイストにまとまっていくんですよね。自由に役者魂が試せて、楽しかったです」

――今回の『キャバレー』は、第二次大戦前夜のベルリンが舞台。小説の題材を求めてやってきたアメリカ人作家クリフが、スター志望の英国人歌手サリーに出会い、ナチスが台頭し時代が大きくうねる中で翻弄されてゆく物語。小池さんはクリフを演じます。

「アメリカ人を演じるのは初めてではないので、その点で“どうしよう”というのは無いですね。クリフはミュージカルにしては曲数が少なくて、メインストーリーを進めて行く“お芝居担当”だと思うので、芝居の部分をすごく楽しみにしています。時代の流れとともに自分の気持ちも揺れ動くし、その中でサリーという“自分を変える人”との出会いがあります。あとは、翻訳ものではあってもちょっとしたところで松尾さん独特のせりふ回しがあると思いますし、クリフは意外に“それは違うよ”みたいな“つっこみ”が多い役なんですよ。アメリカ人がつっこみするって、どういう感じなんでしょう。まだ想像もつかないけれど、文化の融合というか、不思議な世界観が生まれるのかな、という気がしています」

――『キャバレー』のクリフというと、私自身は90年代に演じた草刈正雄さんの印象が強いのですが、今回は“ダンディな大人の男性”というより、“若者”という設定なのですね。

「設定としては20代後半で、なおかつ“詩的な感じ”となっています」

――クリフはそもそも、何を求めてアメリカからベルリンまで来たのでしょうか?

「小説を書くためというのが根本にあるのですが……。書かないんですよね、あの人、なかなか(笑)。まあ、駆け出しでもあるし、既に手をつけているものがあるのかもしれないんですが、キャバレーに行ったり、サリーに振り回される日々なんですよ。

でも彼の姿にはちょっと共感する部分があって、僕も“書く書く”といって曲をかけない時がすごくあって、“すべてが勉強だ”と言いながら遊びに行ったり(笑)。で、締め切りぎりぎりになっちゃって、追い込まれてやる、みたいなことがあるので、クリフの気持ちはちょっとわかるなぁ(笑)」

――それにしてもあの時代にベルリンへというのは、彼はよほどの好奇心を持っているのですね。

「台詞の中で政治に興味があるようなことも言っているので、僕の空想でしかないけど、そういうことをテーマに小説を書こうとしていたのかなと思いますね。けれど実際のベルリンは、彼の想像を遥かに超えた世界だったわけですが。

僕は、クリフという人は“変わり者”というより、普通の常識を持った人だと思っています。でもずっと真面目というわけでもなくて、ちょっと面白い人になっちゃうシーンもあるんですよ。サリーが妊娠したとわかって、(嬉しさのあまり)唐突に“パスタゆでようか”と言ったり、クリフにもこういう部分があるんだなと、僕も台本を読んでて面白くなっちゃいましたね」

――サリー役は長澤まさみさん、キャバレー「キット・カット・クラブ」の司会者で作品の狂言回し的な存在でもあるMC役は石丸幹二さんです。
『キャバレー』長澤まさみ

『キャバレー』長澤まさみ

「長澤さんは10年以上前にTVで共演したことはありますが、ミュージカルという場でがっつり共演するのは初めて。器用そうなイメージで何でもできちゃいそうだから、初ミュージカルとは言っても、何も心配していません。彼女は今回が“最初で最後のミュージカル”と言っているらしいんですけど、それだけ気合が入っているということだと思います。石丸さんも今回が初めての共演で、素敵な楽曲をどういうふうに歌い上げるか、お客さん目線で(笑)楽しみです。稽古が始まったら飲み会も絶対あるでしょうから(笑)、そういう場でのコミュニケーションも楽しみながら、新しい『キャバレー』を作っていきたいですね」

――どんな舞台になりそうでしょうか?

「この作品には強烈な政治的メッセージが含まれているけど、そういう作品が再演され続けるのは、どの世代、どの時代の人々も知るべきことだからでしょう。でもテーマ的には重くても、ストーリーは面白くまとまっているし、楽曲もほとんどが下品で(笑)、エンタテインメント性が高いミュージカルとして作られていると思います。そこに今回は松尾さんワールドが重なるわけで、きっと面白い舞台に仕上がるんじゃないかと思います」

*次頁では小池さんの“これまで”を伺います。“あのスター”に憧れていた徹平少年は、コンテストに優勝して上京。少しずつ自身の可能性に挑み、フィールドを広げてゆく中で出会ったのがミュージカルでした。