1984年の英国の炭鉱の町を舞台に、バレエダンサーになる夢にむかって突き進む少年ビリーと周囲の人々の葛藤を描き、英米をはじめ各国で大ヒットを飛ばしてきた『ビリー・エリオット』が、遂に日本に上陸! 誰もが魅了されずにはいられないその魅力とは? 作品の見どころとともに、ビリー役の少年5人(
2頁目)、ウィルキンソン先生役のお二人(柚希礼音さん=
4頁目、島田歌穂さん=
3頁目)へのインタビューをたっぷりとお届けします!*観劇レポートを
最終頁に追記しました*
ミュージカル『ビリー・エリオット』とは?
『ビリー・エリオット』
2000年の映画『Billy Elliot』(日本公開時のタイトルは“リトル・ダンサー”)を、この作品の脚本家リー・ホール、監督スティーヴン・ダルドリー自らが舞台化。映画版に感銘を受けたポップ・スターのエルトン・ジョンが音楽を担当し、2005年に英国ロンドン、08年にブロードウェイで開幕。英国オリヴィエ賞でも米国トニー賞でも、最優秀作品賞、最優秀主演賞ほか各賞に輝きました。故郷が廃れゆくなか、逆境を乗り越えようとする少年ビリーと周囲の人々の物語は普遍的な感動を呼び、オーストラリア(07年)、韓国(10年初演)など各国で大ヒットしています。
ミュージカル『ビリー・エリオット』の見どころは?
『Billy Elliot』英国版の舞台より、「Electricity」PHOTOS OF LONDON PRODUCTION BY ALASTAIR MUIR
本作最大の特徴は、
主役が少年でありながら、バレエ、タップダンス、器械体操、歌に演技と、多様にして高度な能力を発揮する点。家族にバレエを禁止されての1幕終わりの「Angry Dance(アングリー・ダンス)」、ロイヤル・バレエ・スクールのオーディションで“踊るときはどんな気持ち?”と聞かれ、“体に電気が走るような気分”と歌い踊る2幕の「Electricity(エレクトリシティ)」など、ビリーの熱情迸るナンバーが連続する舞台は“圧巻”の一言です。
この舞台を実現するため、
ビリー役は長期間のトレーニングを経て誕生。ロンドン初演では数千人の応募者の中から選ばれた3人の少年が1年の歳月をかけてレッスンを積み、デビューしましたが、今回の日本版ではまず16年4月に1346名の応募の中から10名が選ばれ、バレエをKバレエスクール、タップをHiguchi Dance Studio、器械体操をコナミスポーツクラブが指導する形で、レッスン形式のオーディションを実施。その中から加藤航世君、木村咲哉君、前田晴翔君、未来和樹君が合格、そして今年6月、山城力君もビリーを演じることが発表されました。1年以上にわたってスキルを磨き、“ビリーの心”を共有して来た5人の演技は必見!
『Billy Elliot』英国版の舞台より。PHOTOS OF LONDON PRODUCTION BY ALASTAIR MUIR
また息子を強く育てたいと思うあまり、はじめはバレエを「女のすることだ!」と全否定するも、ビリーがぶつけてくるバレエへの情熱にほだされ、すべてを投げ打とうとするお父さん、何らかの事情で自身はダンサーの道を諦めていたが、偶然ビリーというとてつもない才能に出会い、彼に何とかチャンスをと奔走するウィルキンソン先生ら、
廃れゆく炭鉱の町の人々にとってビリーが「希望の星」となり、支えて行こうとする様も感動的。ドラマ性を重視した作りであるため、エルトン・ジョンの音楽も“キャッチ―なメロディ”より“台詞の延長線上の歌”を意識し、ナチュラルで芝居部分との違和感がない、
口ずさみやすい曲調となっています。
2月の製作発表でのメインキャスト。この時点ではビリー役は4人でした。(C)Marino Matsushima
今回の日本版では、父親役を吉田鋼太郎さんと益岡徹さん、ウィルキンソン先生役を柚希礼音さんと島田歌穂さん、時々ボケてしまうおばあちゃん役を久野綾希子さんと根岸季衣さん、気骨溢れる兄のトニー役を藤岡正明さんと中河内雅貴さん、ビリーが夢想の中で一緒に踊るオールダー・ビリー役を栗山廉さん(Kバレエカンパニー)と大貫勇輔さんがダブルキャストで演じる予定。いずれ劣らぬ
実力派キャストが、ビリー役の少年とともにどんなドラマを作り出してゆくか、注目が集まります。
*次頁でビリー役5名へのインタビューをお送りします。悪戯っ子だったり素直だったり、それぞれ個性豊かな少年たちは、この難役にどう取り組み、互いのビリーをどう捉えているでしょうか?