そもそも、「人の名前は覚えにくい」

握手するビジネスマン

「えーと、名前が出てこない…」

私は受験生の個別指導・講座だけでなく、企業研修の場で記憶術を教える機会も増えてきました。参加者の方と研修がはじまる前にお話しすると、よく出てくるのがこの悩み。

「記憶力が悪くて……、特に人の名前が思い出せないんです」

あなたも、「そうそう、そうなんです!」とうなずいているかもしれません。

ただ、最初にお伝えしたいのは、名前はもともと覚えにくいものだということです。あなただけでなく、誰もがなかなか覚えられない、思い出せないものなんです。

なぜ覚えられないかというと、理由は2つ。

1)名前(名字)に「意味がない」から
2)名前を「使っていない(繰り返していない)」から

簡単にそれぞれを説明していきましょう。

名前には「意味がない」

名前には意味がないと言われて、ムッとしたかもしれません。確かに自分にとってはとても大きな意味がありますが、相手にとってはどうでしょう?

相手にしてみれば、あなたが「山田」であっても「田中」であっても構わないのです。特に「山田」でなければならない理由、意味はないですよね。なので、名前には「意味がない」のです。

じゃあ、何が「意味がある」かというと、たとえば「出身地」や「職業」。

関東出身か関西出身かなど、そこには何らかの意味が生じますよね。「職業」も同じです。自分と同じ仕事だとか、近い仕事・遠い仕事だとか、何かしらの意味が生じます。

このように「意味がある」と何が起こるかというと、自分の持っている情報、つまり、「記憶」ですが、それと結びつきやすいのです。

「ああ、あの人は自分と同じ東北の出身だ」とか、「あの人は○○さんと同じ関西出身だ」などなど。

記憶とは結びつきによって強化されますから、「意味がある」ということは記憶に残りやすい、つまり思い出しやすいのです。

逆に、意味がない「名前」という情報は、自分の持っている記憶と結びつきにくく、思い出しにくいのです。これが第一の理由です。

名前をほとんど「使っていない(繰り返していない)」

ただ、「名前」はもちろん本人にとっては大事な意味ある情報であり、忘れると大変なことになる場合も多くあります。しかも、中途半端に覚えていても、「山田さんでしたっけ? 山中さんでしたっけ?」なんて聞くのはかなり失礼ですから、正確に覚えておく必要があります。

こんなにも大事な情報な「名前」ですが、あなたはどれだけ「名前」を使っているでしょうか? 口に出しているでしょうか?

あなた自身の「名前」ではないですよ。相手の「名前」です。

たとえば、初対面のとき、どれだけ相手の「名前」を使っているでしょう? つまり、会話の中に出していますか?

おそらく、多くの人がほとんど使っていないと思います。日本語の場合、相手の名前を言わなくても会話が成立するので、ついつい使っていないのです。

記憶するために最も大事なのは「繰り返し」。繰り返すことで、脳はその情報は大事な情報だと認識し、記憶に残し、思い出しやすくなるのです。

しかし、「名前」について多くの人がほとんど使わず、繰り返していません。これでは、ただでさえ覚えにくい「名前」が覚えられないのも無理はありません。なかなか思い出せないのは当たり前のことなのです。

>>名前を覚えるためのコツとは?