ヒアリとは……ヒアリの画像・大きさ・見分け方

ヒアリ

赤茶色の身体で腹部が黒っぽいアリには要注意です(引用元:United States Department of Agriculture Agricultural Research Service)

ヒアリとは何か、まずは環境省のデータにに基づいて、解説したいと思います。

ヒアリはの学名はSolenopsis invicta。別名アカヒアリとも呼ばれますが、漢字では「火蟻」と表記されます。名前の通り、赤茶色をしており、体長は2.5~6mm程度。腹部は濃い黒に近い赤色をしています。お尻に毒針を持っているのですが、攻撃的な性格のため、この毒針で積極的に刺してきます。

ヒアリは、巣としてドーム状の形をした直径25~60cm、高さ15~50cmの土で作られたアリ塚を作ります。このアリ塚は、開放的な土地に多く、農耕地、公園、草地などで多く見られるようです。

ヒアリは元々は南米中部原産のアリだったようですが、1942年にアメリカ南部で侵入が報告されてから徐々に拡大し、現時点では環太平洋諸国に定着し、カリブ海の島々、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、中国にも分布しています。日本でも、2017年6月に上陸が初めて確認され、報道されました。

以下は、環境省のページに公開されているヒアリの画像です。

■環境省によるヒアリ画像…国内初確認時の報道発表資料より
ヒアリ画像・写真

全体的に赤茶色で、腹部が黒っぽい赤色をしています(出典:環境省ホームページ


■神戸港で確認・採取されたヒアリ画像
ヒアリ画像・写真

神戸港で採取されたヒアリ。ヒアリの特徴である「頭循前縁中央の小突起、10節で先端2節が大きい触角」が確認できます。(出典:環境省ホームページ


外来生物法指定のヒアリが及ぼす健康被害とは

外来生物法にも指定されているヒアリですが、そもそも「外来生物法」とは何でしょうか。正式名は、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」と言います。

日本の生態系の中で日本固有種の減少を招くことになったり、人の生命や身体に対する毒性を持っていたり、農作物に影響して、その収穫などが減ったりするような被害を及ぼす、または及ぼす恐れのある生物を、「特定外来生物」として指定して、日本への侵入、取り扱いを規制する法律です。

国立環境研究所の「新入生物データベース」にも、ヒアリは「捕食、競合、駆逐、農業被害、刺傷による人の健康被害等」により、「侵入・定着した場合は甚大な被害をもたらすと考えられる」と記述されています。

現在、特定外来生物として指定されているものは、哺乳類25種類、鳥類5種類、爬虫類21種類、両生類15種類、魚類24種類、クモ・サソリ7種類、甲殻類5種類、昆虫類9種類、軟体動物など5種類、植物16種類。アリ科として指定されているのは、今回問題となっているヒアリを含め、アルゼンチンアリ、アカカミアリ、コカミアリの4種です。

これらのアリを生きたまま持ち運んだり、飼育することは禁止されています(ちなみに国内での定着や繁殖を防ぐためのものなので、本物のヒアリであっても死んだ状態であれば外来生物法の対象外になります)。

ヒアリ毒の危険性・アナフィラキシーで死亡する可能性も

少し専門的になりますが、ヒアリの毒は、窒素元素を含む塩基性の有機化合物であるアルカロイド系の毒素、「ソレノプシン」というものが主成分です。

この毒素で刺された場合、激しい痛みと、刺された部分が水を持ったような感じになる水疱が生じます。

ヒアリ毒には、この他にも様々なたんぱく質が含まれていて、ハチ毒に共通する成分であるホスホリパーゼ、ヒアルロニダーゼなども含まれています。このたんぱく質に対して、アレルギー反応を起こしてしまった場合、全身のアレルギー反応であるアナフィラキシーが起こります。ハチアレルギーがある場合、ハチに刺された場合と同様、適切な処置が速やかに行われなければ、死に至ることがあります。ハチ毒アレルギーのある人は、特に注意が必要です。米国では、年間1500件ほど、ヒアリの毒に対するアレルギー反応が報告されています。

ヒアリに刺されたときの対処法・治療法

ヒアリの毒に対する反応は人それぞれです。前述の通り、ハチアレルギーのある人は要注意です。刺された場合は、まずは動き回らず安静にして、体調に変化がないかどうか観察してください。

ヒアリに刺された瞬間は、熱いと感じたり、激しい痛みが走ったりすることが多く、次第に刺された部分に痛みやかゆみが出てくるようです。半日もすると虫刺されの膿が出てきます。

少し症状が強くなると、刺された部分から腫れが広がり、全身に盛り上がったかゆみを伴うじんましんが出てきます。

重症のケースでは、刺されて数分から数十分で、じんましんだけでなく、息苦しさ、声がかれるなどの呼吸困難、動悸、めまいなどの血圧低下、さらに意識を失う意識障害を起こします。いわゆるアナフィラキシーおよび血圧低下があれば、アナフィラキシーショックです。速やかな処置が必要になります。「アナフィラキシー 」に関するその他の詳細記事をご覧ください。

今までアナフィラキシーの症状のあった人には、血圧を上げる薬を自己注射できるアドレナリン自己注射キットであるアドレナリン(商品名「エピペン」)がありますので、常備しておくのがよいでしょう。保険診療ですが、処方される医師が限定されますので、事前に医療機関に確認しましょう。

ヒアリの駆除方法・アリ塚ごと退治する方法

ヒアリの駆除方法は以下の3つです。
  • 熱湯をかける……他の虫と同じく、熱湯を直接かければアリは死にますが、アリ塚の深い部分にいるヒアリまでは駆除できません。
  • 殺虫剤などの液剤をまく……アリ塚に液剤をまけば、液剤が浸透した部分のヒアリは死にます。しかし、うまく液剤を使用しないとヒアリが駆除できなかいばかりか、他の昆虫への影響も出てくるため、使用には注意が必要です。
  • 顆粒やゼリー状の毒餌を設置する……時間がかかりますが、アリ塚にいるものも含めて駆除はしやすくなります。

ヒアリを見つけたときの対処法……地方環境事務所に通報を

もしヒアリを見つけた場合、まず大切なのはとにかく刺されないようにすることです。そして、そのまま定着してしまうのを防ぐために、地方環境事務所などに通報するのがよいでしょう。

駆除方法について解説しましたが、いずれにしても本当にヒアリなのかを、専門機関に確認してもらう必要があります。決して刺されないように、素手で触らず、熱湯や殺虫剤で処理した上で、セロテープを貼りあわせた中に閉じ込めたり、ピンセットで軽くつまんでアルコールの入った小瓶に入れたりして、専門機関に送りましょう。

いずれにしても、無理をして刺されると非常に危険です。ヒアリを発見したら、まずは、熱湯や殺虫剤で確実に死んだ状態にすること。それから地方環境事務所などに連絡するのがよいかと思います。
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