アドバイス1 年間120万円の貯蓄ペースが必要
必要な教育資金について、まずは試算してみます。ご希望の学校名が明記されていましたので、その学費を調べてみました。中学、高校とも3年間で150万円ほど。また、大学の費用は志望されている国立であれば卒業までの4年間で約240万円。トータルで、お子さん2人分の、備えるべき教育資金は1080万円となります。
一方、用意できる教育費ですが、学資保険の満期金の合計額は300万円。現状、今ある貯蓄を教育資金に充てることはできませんので、不足分は780万円となります。
単純に計算すれば、19年後(下のお子さんが大学4年時)までにそれだけ用意できれば、教育費はカバーできます。年間の貯蓄ペースは40万円強。しかし、実際はもっと高い貯蓄ペースが、あやパパさんの家計には必要と考えます。
具体的には、毎月は少なくとも児童手当の2万円、できれば5万円はしたいところ。あとはボーナスからの貯蓄も加え、トータルで年間120万円をひとつの目安にしてほしいと思います。
アドバイス2 いろいろな状況に対応できる資金づくりを
仮に120万円の貯蓄が19年間(下のお子さんが大学4年時)継続できたとすると、2280万円。先の試算では、必要な教育費が1080万円ですから、手元に残るのは1200万円。これは老後資金に回すことができます。しかし、大学が私立となった場合、しかも理系であれば2人で560万円(平均額)、かかる学費が増えます。また、自宅から通えない、県外等の大学に進学した場合は、仕送り費用が発生します。どの程度、仕送りするかは世帯によってそれぞれですが、平均は年間100万円ほど。お子さん2人分となると、800万円が必要ということになります。
また、教育資金とともに家計で気になるのが、住宅ローンです。借入額は大きくないですが、完済はあやパパさん70歳のとき。60歳の定年後にまだ10年間続く支払いは、考えている以上に大きな家計負担になる恐れがあります。
対策としては、住宅ローンの繰上返済になりますが、教育資金で余った分をそれに充てることもできるわけです。かかる教育資金によっては、定年までに完済することも可能かもしれません。
そう考えれば、年間120万円の貯蓄ペースは、いろいろな状況に対応するためには妥当な目標ということがいえるのです。
アドバイス3 妻が収入を得ることも選択肢のひとつ
では、どう貯蓄をしていくべきか。まずは、家計支出の見直しですが、効率的なのは保険となります。一度見直せば、その後、ずっと支出を下げられるからです。ご主人の終身保険、養老保険ともに払済保険に。夫婦ともに加入している三大疾病保障保険も不要。こちらは解約でいいかと思います。これで年間51万円ほど保険料コストを下げることができます。
現状を考えれば、確保すべき保障は必要最小限の死亡保障と医療保障。それ以外については、教育資金が優先されます。
他の支出費目については、基本的には優先順位の低いものから削っていくことになりますが、あやパパさんの世帯は食費、趣味娯楽費、小遣い、雑費といった費目が候補になりそうです。削りたいのは、月額5万~6万円。費目ごとに予算を決めて、それ以上は支出しないといったルールづくりが有効でしょう。また、ボーナスは、昨年の「家具家電の購入」と「レジャー費」で計70万円となっていますが、今後は半分程度に下げる工夫が必要です。
年間120万円の貯蓄を実現するには、この程度の支出削減が必要です。ハードルは高さそうに見えますが、本気で見直せば可能ではないでしょうか。
しかし、実際にそれが難しいとなると、やはり奥様が収入を得るしかありません。数年後には働く予定とのことですので、月6万円程度の収入で構いませんので、そうされることをおススメします。また、収入のアップ分は老後資金づくりに回すことも可能ですから、ライフプランにもより余裕が生まれます。
最後に投資について。まずは教育資金づくりが急務ですから、しばらくはリスクは取れません。しっかり貯蓄習慣ができ、教育資金に目処が立ってきたら、個人型の確定拠出年金(iDeCo)を始めてはどうでしょう。公務員の場合に、掛け金の上限は1万2000円。掛け金が全額、所得控除されますから、所得税や住民税の節税となります。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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