子育て/子育てに役立つ最新心理学

心配性の親や祖父母が子どもに与えるマイナスの影響

子どもを心配しすぎる親・祖父母になっていませんか? 親から見ると、子どもはいつまでたっても危なっかしく感じるもの。心配するのは、子どものことが大切だからです。でも、心配しすぎる親や祖父母がついつい出してしまう「転ばぬ先の杖」は、子どもにネガティブな影響を与えてしまいます。

福田 由紀子

執筆者:福田 由紀子

臨床心理士/メンタルケア・子育てガイド

子どもの心配をしすぎていませんか? 「転ばぬ先の杖」には注意!

走る子ども

伸び伸びと育ってほしい。でも、心配だから危いことはしないでほしい。それが親の正直な気持ちですよね。

親から見ると、子どもはいつまでたっても危なっかしく感じるものですよね。

寝返りを始めた時、お座りができるようになった時、ハイハイで動き始めた時は危険なものを口に入れはしないかと床に転がっている小さなものを片付けましたよね。立ち上がり、最初の一歩を踏み出し、階段を上り走り出す。

子どもの成長をハラハラしながら見守っていましたね。

でも、大きくなり活動の範囲が広がってくると親がついて回るわけにもいかなくなります。そして、つい言ってしまうわけです。「そんなことをしたら危ない!」「気をつけなさい!」

心配するのは、子どものことが大切だからです。かわいい子どもには、なるべくケガも病気もしてほしくないと思うもの。でも、心配しすぎる親や祖父母がついつい出してしまう「転ばぬ先の杖」は、子どもにネガティブな影響を与えてしまいがちです。
 

 

親の心配性が子どもに与える影響……チャレンジすることに臆病になる

「いってらっしゃい。車に気をつけてね」……見送る時になにげなくつけ加えた言葉が、子どもを危険から守ってくれることもあるでしょう。ただ、行きすぎた心配は、子どもをしんどくさせてしまうかもしれません。

「あれもダメ、これもダメ。あなたが心配だから」

そうやって制限されると、子どもは新しいことにチャレンジすることをあきらめてしまうようになるかもしれません。たくさんの愛情を自分に与えてくれていると感じている大好きな人を悲しませたくない。そんな気持ちが強い優しい子ほど「親に心配をかけてはいけない」「親に心配をかけるのは申し訳ない」と思って弱音を吐けなくなるかもしれません。

また、ひとりでお留守番する、お遣いに行く、電車に乗る、など、周りのお友だちが先にクリアしているスゴイこと、「自分もできる!」と密かに思っていることを「あなたにはまだ無理。今のあなたでは心配よ」と言われてしまうと、悔しかったり、自信をなくしたりするかもしれません。

 

親の心配しすぎは、子どもを支配してしまう

自分がつらい時、誰かに心配してもらうとうれしいものですよね。でも、「あなたが心配だから、帰ったら電話してね」「いつも心配ばかりかけて!」「あなたって本当に心配な子ね」……これ、毎日言われたらどうでしょう? うんざりしませんか?

「あなたが心配」という言葉には、自分の不安や不満を吐き出している側面がないでしょうか。子どもの行動を、自分の思い通りにしたいという気持ちがないでしょうか。「私って心配性なの」と言う時、自分の愛情深さをアピールしたい気持ちはないでしょうか。

心配はなるべく黙ってしましょう。十分に愛されて育った子なら、自分のことを親が心配してくれているのは織り込み済みですので、ふとした目線や振る舞いから、親の気持ちを感じ取るものです。また、うまくできるかどうか一番心配しているのはその子自身だったりしますから「大丈夫。あなたを信じているよ」と言われたほうが勇気が出ることもあるのではないでしょうか。

 

親が心配するのは子どもが成長している証拠! 見守ることも大切

子どもは親の自分への評価を「期待」と受け取ることがあります。「あなたなら、きっと大丈夫」とポジティブな期待をされ続けるのもしんどいものがあるでしょうが、「あなたは心配」と言われ続けると、そういう自分でいたほうがいいのかな、と思ってしまうかもしれません。「心配」するのは、愛情や関心があるからこそ、というのは子どももわかっていますから、親の愛情を「心配」として受け取ろうとするかもしれません。

でも、物事は案外、想像した通りに進んでいきます。「きっとうまくいく」と信じられたら、うまくいっていることを探せますが、「きっとうまくいかない」と思ってしまうと、うまくいっていないことにばかり焦点が向きがちになり、うまくいかない方法を選んでしまい、「やっぱりうまくいかなかった」となりがちです。それはもったいないですよね。

子どもは、私たち大人が思うよりはるかに早いスピードで、ぐんぐん力をつけていきます。親がハラハラしながら「心配」する時期は、子どもが大きく成長している時期なのかもしれません。子どもの育ちを信じて、ゆったりと見守りたいものですね。
 

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