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夏のボーナスは、ロボアドバイザーで投資に挑戦

「夏のボーナス、そろそろ、投資を始めようか!」と思っても、株や投資信託など、たくさん種類があって、「何から手をつけたらよいのかわからない」、という人も多いのではないでしょうか。そんな人にお勧めなのが、最近、注目されている「ロボアドバイザー」による投資です。今回は、ロボアドバイザーについて解説します。

平野 泰嗣

執筆者:平野 泰嗣

ふたりで学ぶマネー術ガイド

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はじめての投資は、ロボアドバイザーにお任せ?

ボーナス出たけど、そろそろ貯蓄オンリーを卒業しようか

ボーナス出たけど、そろそろ貯蓄オンリーを卒業しようか

経団連が発表した2017年夏のボーナス(第1次集計)によると、社員500名以上の上場企業の夏のボーナスの平均支給額は約91.8万円で、昨年実績に比べ、4.56%減少したとのこと。

また、みずほ総合研究所「2017年夏季ボーナス予測」によると、民間企業の一人当たりのボーナス支給額は約36.9万円で、前年対比1.1%の増加が予測されるものの、上昇率は昨年の2.3%から鈍化する見通しだそうです。株価上昇や2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設ラッシュなどで、景気が良さそうな雰囲気ですが、企業の財布の紐は、やや堅くなっているようです。

ところで、夏のボーナス、皆さんはどのように使いますか。さまざまなアンケート調査を見ると、「1位=貯蓄」が鉄板ですが、皆さんも、やはり貯蓄でしょうか。銀行の定期預金の金利を調べてみると、メガバンクでは、100万円をどの期間預けても0.01%、一部のネット専用定期でも0.2%程度(探せば、もっと金利の高いものはありますが……)で、将来に向けて資産を形成していくための金融商品としては、心もとない金利水準です。では、「そろそろ、投資を始めようか!」と思っても、株や投資信託など、たくさん種類があって、「何から手をつけたらよいのかわからない」、という人も多いのではないでしょうか。そんな人にお勧めなのが、最近、注目されている「ロボアドバイザー」による投資です。

自分に変わって運用してくれる、ロボアドバイザーとは

ロボアドバイザー(Robot Adviser)とは、人工知能(AI)を利用した資産運用サービスの総称です。いくつかの質問に回答すると、その人に合った運用方針(資産配分)を提示し、その運用方針に基づいて、自動的に運用してくれる(あるいは、金融商品の買い付けを行う)というものです。

以前、「無料Webツール活用で、自分流の投資を始めよう!」というコラムを書いた際に、国際分散投資を前提とした投資を行う手順として、(1) 投資スタイル(リスク許容度)を知る、(2) ポートフォリオ(資産配分)を組む、シミュレーションをする、(3)ポートフォリオに合わせた金融商品(株や投資信託など)を購入する、という流れを紹介しました。この一連の流れをロボアドバイザーが全て行ってくれるのです。

■代表的なロボアドバイザー
ロボアドバイザーには、大きく2種類あって、投資運用業者や証券会社などの金融機関と投資一任契約を締結して、運用を全て任せるタイプのものと、ホームページ等で診断ツールを提供し、モデルポートフォリオを提示すると同時に、それに合った自社の扱うファンドを提案し、最終的な購入の判断を顧客が行うタイプのものです。前者は、運用の全てを業者に丸投げするもので、後者は、投資信託などの金融商品選びをサポートするものと捉えることができるでしょう。

【参考】投資一任契約
「当事者の一方が、相手方から、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づき、当該相手方のために投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約」(金融商品取引法)。

THEO(テオ)
5つの質問から、その人に合った最適なポートフォリオを提案します。診断結果をもとに、海外ETF(上場投資信託)用いて、「新興国株」「先進国国債」「リート・不動産」など9つのアセットクラスに分散投資をします。アルゴリズムによって自動化されたポートフォリオのメンテナンス機能によって、常に最新・最適なポートフォリオを実現するのが特徴です。最低投資金額は10万円で、毎月1万円から1,000円単位で積立の設定ができます。手数料は、投資一任報酬1.0%(3,000万円を超えた部分は0.5%)です。運用対象となる海外ETFには、別途、管理コストがかかります。

WealthNavi(ウェルスナビ)
6つの質問から、その人に合った運用プランと最適なポートフォリオを提案します。ナビゲーション機能を使用して、資産運用のゴールとなる目標金額と、運用方針となるリスク許容度を決定します。ロボアドバイザーがリスク許容度に応じた最適なポートフォリオを自動構築し、リバランスも自動で行います。運用対象は、海外ETFで、7つのアセットクラスに分散投資します。最低投資金額は100万円で、毎月1万円から積立設定ができます。なお、SBI証券に口座を持っている場合、WealthNavi for SBI証券により、最低投資金額が30万円で利用できます。手数料は、投資一任報酬1.0%(3,000万円を超えた部分は0.5%)です。運用対象となる海外ETFに別途、管理コストがかかります。

楽ラップ(楽天証券・ラップ口座)
15前後の質問から、その人に合った最適なポートフォリオ(運用コース)を提案します。運用コースにごとに専用の投資信託によって、7つのアセットクラスに分散投資します。運用コースに従って、投資信託の買い付けを行いますが、本人が、運用状況を見ながら、「増額」「減額」、「運用コース見直し」を行います。THEOやWealthNaviを完全丸投げ方式とすると、楽ラップは、少し自分の投資判断を加えることができる作りになっていると言えます。手数料は、固定報酬型(投資顧問料+運用管理手数料)と、成功報酬併用型(投資顧問料+運用管理手数料+成功報酬)の2タイプがあり、資産残高や成功報酬にもよりますが、1%未満を謳っています。運用対象となる専用の投資信託には別途、管理コストがかかります。一般的な投資信託よりも、かなり低い信託報酬になっています。

ロボアドバイザー活用の注意点

●ロボアドバイザーによって、診断結果は異なる
運用を任せるロボアドバイザーって、どんなもの?

運用を任せるロボアドバイザーって、どんなもの?

実際に各ロボアドバイザーの質問に従って診断を行うと、WealthNaviでは、リスク5段階のうち、「5」になりましたが、楽ラップは、9つある運用コースのうち、リスク度合いが下から2番目となりました。その結果、WealthNaviでは、国内外の株式への投資割合は80%で、楽ラップの場合は40%でした。その結果、提案されたモデルポートフォリオによる、将来予想されるリスクとリターンも大きく異なります。

楽ラップの場合、他のロボアドバイザーによる一般的な投資資金やリスクに対する考え方に加え、お金に対する考え方や、行動様式に対する考え方が質問項目に入っているのが特徴です。診断は、直感的に回答するのですが、1週間前の診断結果と今時点の診断結果が異なることもあるのです。

従って、複数のロボアドバイザーを診断して、その結果を見たり、そもそもの運用方針や運用手法などを比較した上で、最終的に、「このロボアドバイザーにしよう!」と決めなければなりません。

●相場の良し悪しを見て、ダイナミックに運用しているものではない
ロボアドバイザー、AI(人工知能)による運用というと、なんとなく、相場の状況に合わせて、臨機応変に、損失が出ないように運用して貰えるように思ってしまいますが、診断結果に合わせた運用方針(モデルポートフォリオ)に基づく運用を根気よく続けるのが基本になっています。従って、相場の状況によって、運用資産が増えたり、減ったりします。もちろん、そのことも折り込み済みで、ポートフォリオが組まれています。

従って、始めた時期によって、途端に元本割れが生じたとしても、「このロボアドバイザーはダメだ」とすぐに判断して、投資を止めないことが大切です。これは、ロボアドバイザーに限らずに投資全般に言えることです。

●自分で運用できる方がやっぱりお得
投資一任契約を締結するロボアドバイザーの場合、資産残高の1%程度(各社及び資産残高による)の手数料がかかります。海外ETFの管理コストは0.2%を切っていますが、合計すると1.2%程度のコストがかかっていることになります。一般的なアクティブ型の投資信託と比較すると、十分低コストと言えるかもしれませんが、自分でETFやインデックス型のファンドを使って、ポートフォリオを組むのであれば、コスト面を見れば、軍配が上がります。ただし、ポートフォリオに合わせてリバランスをする手間暇を考えると、ロボアドバイザーの手数料は安いと考えられるかもしれません。

●ロボアドバイザーに合わせた投資信託も誕生
これまでは、投資一任契約を締結するロボアドバイザーを見てきましたが、5つのリスク許容度に合わせたバランス型の投資信託を活用するという方法もあります。

低コストでノーロード型のファンドとして定評のある、eMAXISシリーズに、5つのeMAXIS最適化バランスが誕生しました。リスク度の高い方がら順番に、マイゴールキーパー、マイディフェンダー、マイミッドフィルダー、マイフォワード、マイストライカーと名付けられています。

東海東京証券が提供するロボアドバイザー「カライス(KALAIS)」では、7つの質問に答えると、リスク許容度に合わせて、5つのeMAXIS最適化バランス中から最適なものを提案してもらえます。投資信託なので、ファンドの中でリバランスが行われ、また、信託報酬も0.5%前後と低く設定されています(投資対象のマザーファンド等にかかるコストは除く、別途信託財産留保額のあるファンドも有り)。

人生の節目で運用方針の見直しを

任せきりという訳にはいかない、定期的な見直しを

任せきりという訳にはいかない、定期的な見直しを

ロボアドバイザーのリスク許容度診断では、年齢や年収、保有する金融資産や投資に対する考え方などが質問されます。30代、40代、50代と年齢を重ねると、それらの要素も十分に変わってきます。日々の投資判断・リバランスは、ロボアドバイザーに任せるとしても、ライフイベントなど人生の節目を迎えるごとに、リスク許容度の診断を行い、運用方針の見直しを行うことは重要です。

「これから、投資を始めよう!」という方は、ぜひ、ロボアドバイザーをチェックしてみてください。

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