宇宙・天体/星空にまつわる豆知識、トリビア

1光年は何キロメートル (km)? 宇宙の距離を表す単位

「●光年先に天体が発見された!」こんなニュースが飛び込んできても、1光年が何キロメートル(km)か、その距離をイメージするのは難しいですよね。そこで、天文ニュース・プラネタリウムの解説・星空ツアーのガイドでも使われる「光年」についてわかりやすく解説します。

執筆者:景山 えりか

宇宙で距離を測る単位は3つ! 天文単位・光年・パーセク

1光年は何キロメートル (km)? 宇宙の距離を表す単位

1光年は何キロ?

広大な宇宙の中で距離を測るとき、私たちが普段使っている単位「km」を用いると、とてつもない桁になってしまいます。そのため、天文学独自の単位を使います。それは以下の3つです。
 
  • 天文単位(AU)
  • 光年(ly)
  • パーセク(pc)
なかでも、私たちに馴染みがあるのは「光年」でしょう。天文ニュースはもちろん、プラネタリウムの解説や、星空ツアーなどのガイドでもよく使われています。光年が表す距離がイメージできるようになると、夜空に輝く星が身近な存在に感じられ、今よりもっと親しみがわいてくるかもしれません。

<目次>  

1光年は何キロメートル (km)?

「年」という漢字が時間をイメージさせますが、光年は距離の単位です。光が進む速さは、毎秒約30万km。地球1周が約4万kmなので、光は1秒間に地球を7周半します。1光年とは、光が1年間に進む距離のことで、kmに換算すると約9兆5000億kmです。
 
「天文単位」は、太陽系の中を測るのに便利な単位。

「天文単位」は、太陽系の中を測るのに便利な単位。


ちなみに、冒頭で紹介した宇宙の距離を表す単位のひとつ「天文単位(AU)」は、太陽系の中を測るのに都合がいい単位です。

太陽から地球までの平均距離を1天文単位(1AU)とします。その距離は、約1億5000万km。太陽から土星までの距離は、約10天文単位(約10AU)です。

また、「パーセク(pc)」は、暮らしの中で星空を楽しむ上では、ほとんど使わない単位です。1パーセクは約3.26光年ということだけ覚えておけば十分でしょう。

以上を整理すると、次のようになります。

・1天文単位=約1億5000万km(太陽から地球までの平均距離)
・1光年=約9兆5000億km(光が1年間に進む距離)
・1パーセク=約3.26光年
 

地球から宇宙までの距離はどのくらい?

ところで、私たちがいる場所(地表)から宇宙までは、どのくらいの距離があると思いますか? 空と宇宙の境目はどこにあるのか……実は「ここからが宇宙です」という、明確な(天文学的な)境目はありません。なぜなら、地表から宇宙までは無段階につながっているからです。また、地球は宇宙空間に存在する天体ですから、私たちはすでに宇宙にいるといえます。

ただし一般的には、大気(空気)がほとんどなくなる上空100kmから先を宇宙としています。ちなみに、飛行機は地上から約10km上空を飛び、国際宇宙ステーション(ISS)は高度約400kmを飛行しています。地球から月までの距離は約38万kmです。これらの距離を比較すると、宇宙の入り口(上空100km)は、案外近いといえるのかもしれません。

なお、国際航空連盟というスカイスポーツの国際組織では高度100kmより上空を宇宙と定め、アメリカ空軍は上空80kmより先を宇宙とみなしています。
 

宇宙の大きさはどのくらい?137億光年という偉大な距離

それでは、宇宙の大きさはどのくらいなのでしょうか……最先端の科学をもってしても、その答えはまだ出ていません。

宇宙は、137億年前に誕生したといわれています。ということは、世の中には光より速く進むものはないので、光が137億年かかって進む距離(137億光年)しか観測できないということになります。ですが、実際の宇宙は137億光年よりも、かなり大きいという説もあります。なんにせよ、137億光年という距離は、私たちには想像もつかない数値です。それほど、宇宙は大きいということでしょう。
 

40光年は近いのか、遠いのか?

以前、地球から約40光年離れた恒星のまわりを、地球に似た7つの惑星が回っていることが発表され、日本でも話題になりました。このとき、筆者(ガイド)の友人知人から「40光年って、近いの? それとも遠いの?」と、よく聞かれたものです。

1光年は約9兆5000億kmですから、40×9兆5000億と計算すると……40光年という距離は、ものすごく遠くに感じられます。

それでは太陽(太陽系)が属している銀河系を例にあげて、比較してみましょう。
私たちにとって、もっとも身近な星(恒星)である太陽は、銀河系を構成する星のひとつです。銀河系は、およそ2000億個の星の集団で、その形は薄い凸レンズを2枚重ね合わせたような、真横から見ると中央が少し膨らんだ円盤状をしています。端から端までは、約10万光年。太陽の位置は、銀河系の中心から約2万8000光年離れたところです。
アンドロメダ銀河の光は、230万年の時を超えて私たちの目に届く。

アンドロメダ銀河の光は、230万年の時を超えて私たちの目に届く。


また、肉眼で見られる天体の中で、もっとも遠くにあるアンドロメダ銀河は、地球から約230万光年も離れています。つまり、銀河系の外側にあるということです。

そう考えると、地球から40光年は銀河系の中ですし、けっこう近いと感じませんか? もちろん、個人の感覚によって遠近のとらえ方は様々です。けれど前述の通り、宇宙はとても大きいです。それを思えば、40光年は「意外と近い」と感じられるのではないでしょうか。
 

時を超えて届く星の光

「光年」とは宇宙の距離を表す単位だと、繰り返し述べてきました。ですが不思議なことに、時間にまったく関係ないというわけではありません。

たとえば、地球から100光年の距離にある星の光は、100年前にその星から発せられた光だと言い換えることができるからです。

夜空に輝く星の光が、何光年、何千光年、何万光年という長い時を超えて、自分の目に届いている。光年の意味がわかると、ひとつひとつの星の輝きが愛おしく感じられると同時に、宇宙の壮大さを目の当たりにできます。

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