七夕は、7月7日の夜に星を祭る年中行事です。七夕の物語によれば、天の川の両岸に離れ離れとなってしまった織姫と彦星が、年に一度会える日とされていますが、実際の星空ではどうでしょうか。

織姫と彦星の距離は16光年!

まずは、七夕の星を確認しておきましょう。
七夕の星座

織姫星も彦星も、実存する星。夏の宵に美しく輝きます


織姫星(織女星)はこと座の「ベガ」、彦星(牽牛星)はわし座の「アルタイル」のこと。毎年七夕の頃には、21時頃に東の空に見えています。どちらの星も、中国や日本で古くから親しまれてきた、夏の夜空で明るく輝く1等星です。とても目立っているので、市街地でも見つけることができるでしょう。

ベガとアルタイルは、七夕の物語と同じように、天の川を真ん中に挟んで、離れ離れに輝いています。その距離は、約16光年! 「光年」とは、光が1年間に進む距離の単位で、1光年は約9兆4600億kmです。
ということは、

16×9兆4600億km……

織姫と彦星は、そうとうな遠距離結婚ですね!

仮に、光の速さで通信できたとしましょう。彦星が「織姫、元気?」とメールを送ると、織姫のもとに届くまで16年かかります。また、織姫がメールを受けとってから瞬時に返信したとしても、彦星が返事を受けとれるのは、自分がメールを送ってから32年後ということ。宇宙で愛をはぐくむのは、並大抵のことではありません。

七夕の夜、織姫と彦星は近づかない

ところで、地上から星空を見上げたとき、天体と天体が接近して見えることがあります。たとえば、月と金星が大接近したり、いくつかの惑星が集合しているように見えたり。ですが、織姫星と彦星が近づいて見えるということはありません。七夕の物語では織姫と彦星が会えるとされているので、7月7日の夜に2つの星が近づくと思っている人が少なくないかもしれませんが、実際のところは離れ離れのままです。

七夕の星をたらいに映す

織姫星と彦星が合うことを「星合い」といいます。なんだかロマンチックですね

昔の人たちも、そのことをわかっていたのでしょう。江戸時代の日本人は、盥(たらい)に張った水に織姫星と彦星を映して、手で盥を揺らして波を起こし、星と星をくっつけようとしたのだとか。なんとも粋なことをしたものです。

七夕の物語では、カササギという鳥が天の川に橋をかけ、織姫を彦星のところへ渡してくれますが、星空にも橋渡し役がちゃんといます。それは、天の川に沿うように位置している、はくちょう座。織姫星(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)の間で大きな翼を広げています。

はくちょうの尻尾に輝く1等星「デネブ」と、七夕の2つの星を結んでできた大きな三角形を「夏の大三角」と呼び、夏の夜空に星座を探すガイド役になってくれます。

七夕にまつわる星座の見つけ方

7月7日の21時頃、東の低空に夏の大三角を見つけることができます。
七夕の夜の星々

七夕の星々が形作る「夏の大三角」は、市街地でも見つけることができます


夏の大三角の頂点に輝く3つの星のうち、1番明るく見えるのが織姫星(ベガ)、2番目に明るいのが彦星(アルタイル)、もっとも暗く見えるのがデネブです。

これらの星が見つけられれば、「こと座」「わし座」「はくちょう座」の位置を知ることができます。星座早見盤などを使って星の並びを確認しながら、星と星を結んで夜空に星座の形を描いてみましょう。

街灯りの影響がない暗い夜空では、天の川も横たわっているように見えるはずです。時間の経過とともに、夏の大三角も天の川も空高く昇っていき、日付が変わる頃には南の空に見えるようになります。

最近の研究結果によると、天の川が肉眼で見られるのは日本の人口のたった3割なのだそう。夜間照明で夜空が明るくなる「光害(ひかりがい)」の影響が深刻になってきています。七夕行事に欠かせない天の川が、日本から消えてなくなることがないように。7月7日の夜、織姫星と彦星の美しい輝きは、灯りによる安全で便利な暮らしと星空の共存を考えてほしいという、私たちへのメッセージかもしれません。

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