女性は筋肉を鍛えると身体全体が引き締まる!
女性はトレーニングを続けてもムキムキにはなりにくい
有酸素運動能力を示す最大酸素摂取量についても女性は男性の75%程度であり(日本体育協会「女性とスポーツ/身体的特徴について」)、このような身体的な特徴が顕著になってくると男性と同じように運動やトレーニングを行っても、相対的な筋肉量は増えるものの、男性のように筋肉がついてムキムキした体になることはあまり考えられません。女性が運動をして筋肉を鍛えると、筋肉が「大きく太くなる」というよりは「身体全体を引き締める」ことにつながると考えられます。
運動習慣のある女性が注意すべき、特徴的な三要素
過度な食事制限の影響によって精神的過食症におちいることも
特に減量などが必要となる、体操、フィギュアスケート、陸上長距離、スキージャンプ、柔道などの競技選手に多くみられ、過度な食事制限を行うことで摂食障害を引き起こし、運動性無月経、骨粗鬆症とあわせてこの3つが相互に関連性をもつことが知られています。一般女性でもダイエットを目的として過度な食事制限をしてしまうとこれに当てはまる場合がありますので、必要最低限の栄養は確保し、運動とあわせて体重管理することが大切です。
■摂食障害
摂食障害には大きく神経性食欲不振症(拒食症)と神経性大食症(過食症)の2つに分けられます。これらは相反する行動のようにみえますが、拒食症から過食症へと移行する場合も多いといわれており、栄養失調、月経異常、低体温症にくわえ、嘔吐を繰り返すことで電解質バランスが崩れ、肝機能や心臓血管系にも悪影響を及ぼします。拒食症が進行すると生命の危険にさらされる場合もあるので注意が必要です。
■運動性無月経
これまでにあった月経(生理)が3ヶ月以上停止した状態である続発性無月経のうち、運動が原因と考えられるものを運動性無月経といいます。運動性無月経が起こる主な理由としては摂食障害などによる栄養不足、精神的・身体的ストレス、体重・体脂肪の減少、ホルモン環境の変化などが挙げられます。栄養不足(体脂肪減少)が続くと身体は視床下部-下垂体-卵巣という軸を介する生殖器系のホルモン分泌を休止させて生命維持に努めようとするため、運動性無月経になってしまうといわれています。
■骨粗鬆症
骨粗鬆症とは骨量が減少し、骨がもろくなって骨折しやすくなった状態をいいます。一般的には閉経後の高齢者に多くみられますが、運動性無月経が長期にわたって続いてしまうと卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンが減少し、骨量の低下が進行して疲労骨折などを起こしやすくなることが知られています。
女性アスリートの三主徴(FAT)がもたらす影響
女性アスリートの三主徴は身体のむくみや疲労感を伴うことも多い
■短期的な影響
- 競技パフォーマンスの低下
- 慢性的な疲労状態(オーバートレーニング)
- 脱水症状
- 血液中の電解質バランスが崩れる
- 競技に対する集中力やモチベーションの低下
- 睡眠不足
- 情緒不安定、うつ症状 等々
■長期的な影響
- 思春期発達の遅れ(10代の低身長)
- 除脂肪体重の減少(脂肪から分泌されるレプチンが不足し無月経を引き起こす)
- オーバーユース(使いすぎ)によるスポーツ障害の完治が遅い
- 疲労骨折
- 本格的な摂食障害(神経性食欲不振症、神経性過食症)
- 栄養欠乏症(鉄欠乏性貧血等)
- 骨粗鬆症の早期発症 等々