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新築vs中古、決めた理由は?中古住宅の注意点は?

マイホームを検討している皆さんは、新築と中古、どちらを希望していますか? 最近は、新築と中古を同時に検討している方が増えています。今回は、新築と中古、それぞれどこを見て決断したのか、また、中古住宅を選ぶ際の注意点についてご紹介します。

平野 直子

執筆者:平野 直子

ふたりで学ぶマネー術ガイド

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比較検討した住宅はどれ?

中古でも、気に入った物件ならOK!?

中古でも、気に入った物件ならOK!?

ガイド平野がお受けする住宅資金相談では、新築と中古を同時に検討している方も多くいらっしゃいます。以前は、どちらかというと新築派が多く、「中古も視野に入れている」という方は少なめでした。

けれども最近は、リフォーム技術もどんどん発達しているので、中古を買って自分たちの好きなようにリフォームした方が良い、と考える方も増えているようです。

国土交通省「平成28年度住宅市場動向調査」によると、マイホーム取得にあたり、同時に検討した住宅の種類としては、「注文住宅か分譲戸建て」や「分譲戸建てか中古戸建て」、または「分譲マンションか中古マンション」など、戸建系かマンション系という括りで検討しているとのこと。検討している人の割合は、例えば、「注文住宅を取得した人のうち、約20%の人が分譲戸建て、約15%の人が中古戸建ても検討した」「分譲マンションを取得した人のうち、約30%の人が中古マンションも検討した」などで、選択肢を拡げて検討している人も意外と多いのだな、と感じました。

新築住宅にした理由は?

やっぱり新築が欲しいかな?

やっぱり新築が欲しいかな?

新築住宅にした人に、新築を選んだ理由を尋ねてみると、注文住宅を建てた人は「信頼できる住宅メーカーだったから」が最も多く、次に「一戸建てだから」「新築だから」「住宅の立地環境が良かったから」を挙げていました。

分譲戸建てを取得した人は、「一戸建てだから」が最も多く、次に「新築だから」「住宅の立地環境が良かったから」「価格が適切だったから」を挙げています。一方、分譲マンションを取得した人は、「住宅の立地環境が良かったから」が最も多く、次いで「新築だから」「マンションだったから」「価格が適切だったから」の他「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」も挙げていました。

やはり、同じ新築戸建てでも、注文住宅の人は住宅メーカーの信頼度を重視していることが分かります。また、戸建が欲しいけれども、立地や価格も気になる、という方は分譲戸建て、立地を優先したい、デザインや設備等を重視したいという方は、分譲マンションなんだな……と改めて感じました。

中古住宅を選ばなかったワケは?

戸建(注文住宅、分譲戸建)、マンションともに、新築を選んだ方が、中古住宅にしなかった理由は何でしょうか? 圧倒的に多いのは「新築の方が気持ち良いから」でした。その次は、「リフォーム費用などで割高になる」「隠れた不具合が心配だった」となっています。

国土交通省平成28年度住宅市場動向調査を元にガイド平野が図表作成(クリックすると拡大表示されます)

国土交通省平成28年度住宅市場動向調査を元にガイド平野が図表作成(クリックすると拡大表示されます)


また、注文住宅を建てた方は、「耐震性や断熱性など品質が低そう」と回答した割合が高く、住宅に対する性能も重視していることが分かります。この他、分譲マンションを取得した方は、「給排水管などの設備の老朽化が懸念」と回答した割合が高くなっていました。

中古住宅を選んだ人の理由は?

予算を考えると……

予算を考えると……

一方、戸建・マンションともに、中古住宅を選んだ方の選択理由を見てみると、75%前後の方が「予算的にみて中古住宅が手頃だったから」を挙げていました。また、45%前後の方が「新築住宅にこだわらなかった」と回答しています。この他、「リフォームで快適に住める」「間取りや設備・広さが気に入った」という方もいました。

国土交通省平成28年度住宅市場動向調査を元にガイド平野が図表作成(クリックすると拡大表示されます)

国土交通省平成28年度住宅市場動向調査を元にガイド平野が図表作成(クリックすると拡大表示されます)


相談にいらっしゃる方と話していると、「希望のエリアでは、なかなか土地が売りに出されない」「いいな、と思うマンションは、とても高すぎて予算オーバー」という方も多いです。中古に対する考え方を伺うと「物件にもよるけれども、気に入ったのがあれば、中古でもかまわない」という方が増えてきました。

中古住宅を選ぶ時の注意点

中古住宅は、水周りも気になります。

中古住宅は、水周りも気になります。

中古住宅を選ぶ際は、いくつか注意する必要があります。例えば、建物の状況(給排水管を含む)、住宅設備、修繕の状態(マンションであれば、修繕計画や管理費・修繕積立金の運営状況)、アフターサービスなどです。

前出の調査「中古住宅にしなかった理由」でも、「隠れた不具合が心配」「給排水管などの設備の老朽化が懸念」が挙げられていました。外壁や屋根、室内などがリフォームされて、一見きれいそうに見える建物でも、表面に見えにくい部分が傷んでいた、という場合もあります。

●瑕疵担保責任
住宅を購入した人を保護する法律として、引き渡しの際に分からなかった雨漏りなど、隠れた瑕疵(かし)があった場合、売主に修理してもらえる「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」というものがあります。現在、新築住宅を取得した場合は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により、「基本構造部分(柱、梁など住宅の構造耐力上主要な部分等)の瑕疵担保責任を10年間義務づける。」とされています。けれども、中古住宅には、このような制度がありません。売主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合は、瑕疵担保責任が2年以上ありますが、個人から買う場合は、瑕疵担保責任の期間が2年以下の場合もあるそうです。瑕疵担保責任の期間がどれくらいあるのか、契約書などでしっかり確認することをお勧めします。

●アフターサービス
瑕疵担保責任とは別で、売主がアフターサービスを行う場合があります。新築だけでなく、中古住宅の場合でも、実施している業者がありますので、検討している不動産会社等が、アフターサービスを実施しているかどうか、その内容や対象期間などを確認してみましょう。

私事ですが、ガイド平野は、結婚当初は、築30年超の賃貸マンションに住んでいました。築古でも室内はしっかりリフォームされて、とてもきれいでしたし、駅近で間取りも気に入っていました。けれども、住み始めてすぐ、水道から出る水が茶色く、鉄が錆びたようなにおいが強いことが分かりました。すぐに不動産会社に相談したところ、早急に対応してくれた記憶があります。賃貸住まいではありましたが、アフターサービスや業者の対応って大切だな……と痛感しました。

気になる物件をしっかりチェック!

気になる物件をしっかりチェック!

●ホームインスペクション(住宅診断)
有料にはなりますが、専門家に頼んで中古住宅の「ホームインスペクション(住宅診断)」を行い、どこか欠陥がないかどうか、どのようなリフォームをする必要があるか、などを調べてもらう方法があります。生活の基盤になる大切な住まいです。安心を買う、という意味で検討してみても良いでしょう。
NPO法人日本ホームインスペクターズ協会

住宅は、2つとして同じ物がありません。立地や間取り、建物の状況、価格など、気に入った物件と出会えると、他の人に先に買われてしまうかも、と焦ることがあるかもしれません。けれども、人生の中での大きな買い物です。建物の状況や契約内容などもしっかり確認して、安心して住めるマイホームを手に入れていただければと思います。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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