スキューバダイビングのライセンスの種類とは?
ライセンスにはさまざまなランクがあり、例えばダイビング指導団体PADIの場合、ダイバーとしての最初のステップとなる「オープンウォーター・ダイバー」、ダイバーとしての楽しみの幅をさらに広げる「アドヴァンスド・オープンウォーター・ダイバー」、トラブルの対処法を身につける「レスキュー・ダイバー」、さまざまなスタイルのダイビングについて詳しく学ぶ「スペシャルティ・ダイバー」などのランクがあります(各ダイビング指導団体によって名称は異なります)。今回は、ダイバーとして最初のステップとなる「オープンウォーター・ダイバー」のライセンスを取得するにはどうすればいいのか、安心してチャレンジできるように、その流れを詳しく紹介します。
スキューバダイビングのライセンスを取得するためには、講習を受けてダイビングを楽しむのに必要な知識とスキルを身につける必要があります
【ステップ1】自分のダイビング適性をチェックする
まずは自分のダイビング適性(ダイビングを楽しむのに適した健康状態であるか)をチェックしましょう。ダイビングは幅広い年齢層が楽しめるレジャーですが、水中という特別な環境での活動となるため、医学的なリスクをきちんと認識しておく必要があります。ダイビングライセンス取得のための講習に申し込む際には、病歴などを確認し、必要な場合は医師の診断書を求められることも。どのような項目に注意すべきかは、DAN JAPANの「メディカルチェック/メディカルチェックガイドライン」や各ダイビング指導団体の「病歴/診断書」(例:PADIの病歴/診断書)などで確認できますので、事前にチェックしておくことがおすすめです。
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■泳げない、水が苦手な人はダイビングNGなの?
また、「泳げない」または「水が苦手」という人でもダイビングを始めることはできますが、ライセンス取得のためには必要最低限の泳力が必要となります。そのぶん、講習に時間がかかる可能性があることをあらかじめ承知しておきましょう。
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【ステップ2】どの指導団体のライセンスを取るか決める
ダイバーとして海を楽しむにはライセンス(正式にはCertification Card。通称Cカード)が必要となるため、まずはそのライセンスを取得するための講習を受けることになります。ライセンスは、ダイビング指導団体(教育機関)によって決められたプログラムを、その指導団体に所属するダイビングインストラクターによる講習で修了することによって発行されます。■ライセンスが認められないケースもある!?
世界で6割以上のシェアを占めるPADIのCカード
世界中の海でダイビングを楽しもうと思うなら、国際的に知名度のある指導団体のライセンスを選ぶことがおすすめです。
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【ステップ3】講習を受けるダイビングショップを選ぶ
どのダイビング指導団体のライセンスを取得するかを決めたら、その指導団体に登録しているダイビングショップの中から、自分に適したショップを選びましょう。それぞれの指導団体のウェブサイトでは、各地のダイビングショップの情報が掲載されており(例:PADI「日本全国ダイビングショップ情報」)、家/会社の近くにあるショップや旅行先にあるショップを探すことができます。同じ指導団体に登録しているショップでも、それぞれに特徴があり、提供しているサービスの内容やショップの雰囲気もさまざまなので、いくつかを見比べて(できれば実際に訪問して)自分に最も合っていそうなショップを選ぶことが大切。
■ショップ選びは“ライセンス取得後のケア”も考えて
ダイビングショップは、ライセンス取得のための講習を開催するだけでなく、器材の販売・メンテナンス、ステップアップコースやファンダイビングツアーの開催など、実にさまざまなサービスを提供しており、ダイビングを楽しむうえで大きな助けとなってくれます。
単に講習料金の安さや日程の短さで選ぶのではなく、「どれくらい内容の充実した講習を提供してくれるのか」、「ライセンス取得後もしっかりとケアしてくれるのか」といった点も考慮して選ぶようにしましょう。
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【ステップ4】講習のプランを選ぶ
ライセンスを取得するための講習には、さまざまなプランが用意されています。PADIの「オープンウォーター・ダイバー」になるための講習は、「学科講習」+「プール(限定水域)講習」+「海洋実習」で計4日間というのが一般的。短期集中でまとめて受講する「合宿」スタイルのプラン、いくつかの週末に分けて受講するスタイルのプラン、平日を利用して受講するプランなど、スケジュールに応じて選べるほか、ダイビングショップによっては、体力やスキルに自信のないシニアや女性向けに、講習の時間に余裕を持ったプランや、マンツーマンなどの少人数制での講習プランを用意しているところも。
ダイビングショップのスタッフに相談して、自分にとって無理のないペースで受けられるプランを選ぶといいでしょう。
■講習料金の相場は7万円、安すぎる場合は要確認
気になる講習料金は、プランの内容によっても異なりますが、およそ7万円が相場。広告などでとても安い料金を掲示しているダイビングショップもありますが、料金に含まれていない項目が多ければ結果として割高になってしまう可能性もありますし、器材購入が義務づけられている場合もあります。
講習料金には何が含まれており、「ライセンスを取得するまでに総額でいくらかかるのか」をしっかりと確認しておきましょう。
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また、ダイビングショップによっては、講習とダイビング器材の料金をセットにしたプランを用意しているところもあり、最初から自分の器材を使ってダイビングをしたいという人にはおすすめです。
もちろん、「まだダイビングを続けていけるかわからない」という時点で高額の器材を購入するのは抵抗があるという人は、レンタル器材で講習を受けることができます。自分の器材を購入すれば、ぴったりと体にフィットするためダイビング中のストレスが減り、より快適にダイビングが楽しめるといったメリットがありますが、あまりに強引に器材購入を勧めてくるようなダイビングショップは避けたいところです。
【ステップ5】学科講習を受ける
学科講習はダイビングに必要な知識を身につける場。水中と陸上では環境がまったく違うので、安全にダイビングを楽しむうえで覚えておかなければならないことがたくさんあります。とはいえ、レベルは中学生でも理解できる程度のものですし、ビデオやマニュアルを使ってわかりやすく学習することができるので、「勉強が苦手」という人でも大丈夫。最近では、PADIの「Eラーニング」をはじめ、ダイビング指導団体によってはデジタル教材が用意され、学科講習を受けるためにダイビングショップに足を運ばなくても、自分の好きな時に好きな場所で学習することができるので、効率的に知識を身につけたい人におすすめです。
なお、学科講習の最後には簡単なテストがあり、知識がきちんと身についているか確認されるので、しっかりと学習しておきましょう。
いつでもどこでも自分のペースで学習できるデジタル教材。写真はタブレットやスマホでも学習できる「PADI Touch」
【ステップ6】プール(限定水域)講習を受ける
プール(限定水域)講習では、ダイビングに必要となるスキルを練習します。いきなり深い海に潜るのではなく、プールや海の浅場などコンディションの安定した場所での練習なので安心。まずは足のつく浅いところで、水に慣れるところからスタートし、マスクに水が入った時の対処法などのスキルの練習をしたら、深いところに移動するというのが一般的なパターンで、そこでは水中での浮力コントロールや緊急時の浮上方法といった実践的なスキルを練習します。
■練習は納得いくまで時間をかけるのがおすすめ
決められた時間内ですべてのスキルをマスターできればベストですが、もし不安が残るようなら、納得いくまで時間をかけて練習することがおすすめ。
不安を抱えたまま海洋実習に進んでも、余計なストレスがかかってダイビングを十分に楽しめません。ダイビングショップによっては補習料金が無料だったり、講習時間が無制限といったサービスを実施しているところもあるので、有効に利用しましょう。
プール(限定水域)講習では、ダイビングを快適に楽しむために必要なスキルを数多く身につけることができます
【ステップ7】海洋実習を受ける
いよいよ海でのダイビング。通常2日間かけて行なわれる海洋実習は、プール(限定水域)講習で身につけたスキルが海でも実践できるかを確認する場。落ち着いてやれば、まず問題ないはずです。それさえクリアすれば、あとは水中世界を楽しむだけ。講習とはいえ、目の前を通り過ぎる魚や、水面から差し込む光など、ダイビングの魅力を十分に味わうことができます。海洋実習が終わって申請書に記入をし、しばらくするとライセンスが手元に届きます。これでダイバーの仲間入り。
ここからスタートするダイビングライフをトコトン楽しみましょう!