2018年版『アニー』観劇レポート
さらに滑らかな運びの中で、
各キャラクターが生き生きと活躍する舞台
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『アニー』2018年 アニー役・宮城弥榮(wキャスト チーム・モップ)(C)Marino Matsushima
明るく機転のきくアニーを気に入ったウォーバックスは、彼女を養子にと望むも、彼女の本当の夢が本当の両親との再会であることを知り、莫大な懸賞金をかけて捜索を開始。そのニュースを聞いたハニガンの弟で詐欺師のルースターは、よからぬアイデアをひらめかせる……。
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『アニー』2018年(wキャスト チーム・モップ)(C)Marino Matsushima
いっぽう大人キャストも各キャラクターを鮮やかに演じ、前回から続投のウォーバックス役・藤本隆宏さんはいっそうの“ブルドーザー”ぶりで、登場からしばらくはまるでトランプ大統領のような風情。成功のためにはかなり強引な手法も使ってきたのだろうと想像させ、後半との落差が際立ちます。
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『アニー』2018年(C)Marino Matsushima
ハニガン役の辺見えみりさんは、(ほぼ)どの衣裳のスリットからものぞく脚線美が女性性をもてあますハニガンの雰囲気を醸し出し、鬱積したものがとげとげしさとなって表れてしまうことがナチュラルな台詞からよく伝わってきます。
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『アニー』2018年(C)Marino Matsushima
特にアニーの(偽の)親としてウォーバックスに近付く際、へつらっているように見せても抜け目なく何かを狙う、山本さん演じるリリーが絶品。賞金のことを知らずに来たという設定だったのにウォーバックスから“5万ドル”という言葉を聞いたとたん、欲深い二人が反射的に“おーーっ”とアニメーションのような動きで吸い寄せられるさまも捧腹絶倒。続投コンビならではの成果と言えるかもしれません。
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『アニー』2018年(C)Marino Matsushima