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好機を活かそう!2017年の中古マンション売却戦略

2016年の首都圏中古マンション成約件数が新築マンションの年間供給戸数を上回ったように、着実にフローからストックの流れは進んでいます。また、成約平米単価も対前年度比で上昇していることや新築マンション価格が高止まりしていることから、今を中古マンションの売り時と考えている人もいるようです。今回は、中古マンションの売却戦略を紹介します。

岡本 郁雄

執筆者:岡本 郁雄

マンショントレンド情報ガイド

中古マンションの販売戦略を左右する、売主・物件・マーケットの状況

マンションに入ってくるチラシを見て「おやっ」と思う人も多いのではないでしょうか?新築マンション価格が上昇トレンドが続く中、中古マンションの注目度がアップ。首都圏では、平成28年過去最大の成約件数となり新築マンションの供給戸数を上回りました。

成約価格も上昇トレンドが続き首都圏の1平米あたりの成約単価は、前年比5.9%上昇の47.92万円となっています。こうした背景もあって2016年は、売り出し物件数も増加し、販売在庫も高水準で推移しています。資産の組み換えとして、保有マンションの売却を検討する方も目立っています。

とはいえ、多くの人が不動産の売却に関しても初心者です。「せめて相場ぐらいでは売りたい」とは誰もが思うこと。よりスムーズに納得できる価格で売るためのポイントを考えてみたいと思います。

首都圏中古マンション成約平米単価の推移(出典:東日本レインズ)

首都圏中古マンション成約平米単価の推移(出典:東日本レインズ)


売却プランを立てる際には、売主の状況、物件の状況、マーケットの状況をまず整理しておくことが大切です。売却期間を一定期間取れるのか、現状のままで使えるもしくは修理が必要か、価格が上昇トレンドなのかそれとも横ばいか、などなど。

状況によって売却戦略も異なってきます。買い替えなどで売却期間が限られるケースや未利用で設備が故障している、マーケットが下落している状況では、打ち手も限られてきます。

販売期間の猶予はどのくらいあるのか?中古は、わかりやすさが重要

売主の状況でどれくらいの販売期間が取れるかは重要なポイントです。一定の期間が取れれば、物件認知の期間を長めにとったり、リフォームして売却するなどいろんな選択肢がとれます。

しかし、資金的な事情で短期間で売却する必要がある場合は、価格を抑えめに設定することや不動産業者に買い取ってもらうことになります。半年ぐらいの猶予があるのであれば市場価格を踏まえつつ販売活動を行うことができるでしょう。

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新築マンションとの大きな違いは、建物や専有部の状態に開きがあること。例えば、新築で未入居のマンションなど室内の状態が良ければ買い手の印象は良くなります。

一方、築年数を経た数年未利用のマンションでは室内の状態で売りやすさも異なります。見た目の印象は、成約率に関わり売却価格も左右します。一部のクロスの剥がれや目立つ傷などある場合は、補修をした上で販売する方が当然売却しやすいでしょう。

また、クロスの張替えなどリフォームする効果はマンションの価格帯にもよります。高価格帯のマンションの場合は、買い手の好みに委ね現状のままで売却する方が良いケースが多いと思います。相場が1000万円~2000万円の低価格帯の場合は、リフォームをして状態を良くした方が競合物件との差別化を促し、高く売りやすいと思います。

新居で気持ち良く生活をスタートしたいとは、誰もが思うこと。コストとのバランスを考えつつより魅力的な部屋に仕上げることが売却成功の鍵になります。

市場価格が不透明な時に意識したい「構え・打て・狙え」

マーケットの状況を踏まえた価格設定も重要です。ただ、中古マンションの場合は成約事例も限られるため、その時の適正価格が判断しにくいのも事実。新築マンションの販売と異なるのは、予告広告での事前の価格リサーチができないこと。最初の価格設定が重要になります。特に1億を超えるような高価格帯のマンションで角部屋や最上階、ルーフバルコニー付きなどの特徴ある住戸の場合、特定ユーザーのニーズが強い場合もあります。

販売期間の余裕がある場合は、当初販売価格をやや高めに設定して販売活動をスタートし、市場性を見極めることも大切です。数週間の案内状況や見学者の属性、マンションの評価を見極めて思わしくなければ価格設定を改めて市場価格を探る方法も検討しましょう。この際注意すべきは、販売状況が思わしくない場合はすぐに価格改定などの打ち手を考えること。販売が長期化すると市況も変化します。マーケットとはケンカをしないことが大切です。

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「構え・打て・狙え」の順番で販売活動を行いつつ、早めに市場価格を探ることも重要です。市場価格の想定は、仲介会社のコンサルティング力によって決まってきます。単にマーケットにエントリーしているだけでなく、広告量や業者からの問合せ、来場件数や見学時の物件評価など総合的な判断が必要になります。そういう意味では、仲介会社の力量も重要だと言えます。

買い手の立場に立つことが、不動産を高く売る秘訣

不動産を高く売るためには、単に価格を高めに設定すればよいというわけではありません。その時の売却環境を把握して、「買い手の立場を考えて」適切な販売活動を行うことが重要です。例えば、使用年数の短いエアコンやカーテンなどは、そのまま残置することで、買い手の負担を軽減します。転居先に持っていく必要が無いものなら、こうした設備を残していくことも販売促進につながります。

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不動産を高値で売るためには、タイミングも重要です。マンションなら同条件の部屋の売り出しが無い方が販売活動はしやすいでしょう。また、新築マンションの供給動向も需給面を考えると重要です。新築マンションの販売価格が大きく上昇していれば、中古マンションを並行して検討する方も増えてくるでしょう。不動産の価格を決めるのは、マーケットであることは、留意しておきたいポイントです。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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