*3月の注目!ミュージカル
『エルコスの祈り』3月18日初日←観劇レポートUP!
『キューティ・ブロンド』3月21日初日 演出家インタビュー&稽古場レポート&観劇レポートUP!
*注目のミュージカル・イベント
ミュージカル・スペシャルトークショー『大劇場/小劇場ミュージカル それぞれの魅力』3月26日開催←イベント・レポートUP!
*4月の注目!ミュージカル
『王家の紋章』4月8日初日←工藤広夢さんインタビュー&観劇レポートUP!
『きみはいい人 チャーリー・ブラウン』4月9日初日←稽古場&観劇レポートUP!
*AllAboutミュージカルで特集した(予定の)ミュージカル
『刀剣乱舞』上演中 見どころ&出演・太田基裕さんインタビューを掲載!
『グーテンバーグ!ザ・ミュージカル!』3月17日初日 出演・福井晶一さんインタビュー&稽古場レポートを掲載!
『オペラ座の怪人』3月25日初日 稽古場レポート&佐野正幸さん・山本紗衣さん合同インタビューを掲載!
『紳士のための愛と殺人の手引き』4月8日初日 出演・ウエンツ瑛士さんインタビューを掲載!
『アニー』4月22日初日 作品ガイド&稽古場レポートを掲載予定
『レ・ミゼラブル』海宝直人さんインタビューを掲載予定
『王家の紋章』
4月8日~5月7日=帝国劇場『王家の紋章』前回公演より 写真提供:東宝演劇部
1976年から現在に至るまで連載中の、日本を代表する少女漫画の一つ『王家の紋章』。現代からタイムスリップした少女と古代エジプトの少年王の、時空を超えた愛の物語が昨年舞台化、連日大入り満員を達成してたちまち再演が決定しました。帝国劇場の規模にぴったりの壮大なスケールの物語と、『エリザベート』のシルベスター・リーヴァイによる、ポップスからクラシカルまで曲調の幅広い楽曲、そして原作漫画の世界を美しく、また生身ならではの情感を加えて体現するキャストが魅力。今回は単に初演をなぞるのではなく、細部まで再検討し、新曲も登場予定。初演とは一味異なる印象の舞台となっているかもしれません。
【セチ役・工藤広夢さんインタビュー】
工藤広夢 96年宮城県出身。仙台でミュージカルを始め、TOURSミュージカル『赤毛のアン』全国ツアーを機にプロを目指す。『葉っぱのフレディ』『sign』等の舞台やDVD「Heart Beat Singing」に出演後、16年『王家の紋章』で大作ミュージカルにデビュー。同年『わたしは真悟』にも出演。(C)Marino Matsushima
――昨年の初演は、オーディションを経て?
「はい、歌とダンスを審査していただき、アンサンブルで合格したのですが、その後セチ役になり、台本を読んだら台詞もたくさんあって。はじめは稽古場で自分がどう居たらいいかわからず、すごく緊張しました」
――少女漫画の世界には、以前から親しんでいらっしゃいましたか?
『王家の紋章』前回公演より、セチとその母がキャロルを発見するシーン 写真提供:東宝演劇部
――古代エジプトが舞台ですが、どの程度時代考証をされていますか?
「人間が演じる分、リアルさを出そうということで、原作に描かれていない部分もみんなで調べ、演技に取り入れたりしています。例えば、奴隷が王に対して両手を胸に(バツ印にして)重ねてお辞儀をする仕草とか。そういう部分が今回の再演はちょこっとずつ深くなってきて、楽しいです」
――ほかに今回の再演で変化している部分はありますか?
「セットががらりと変わるのと、上演時間が少し短くなるのと、新曲の登場ですね。2幕でキャロルが初めてテーベの町に行くシーンがあるのですが、そこのナンバーがとてもハッピーな曲調です。それと、圧倒的に違うのがフィナーレです。重きを置くところが変わっていますので、楽しみにしていてください」
――お稽古も終盤かと思いますが、どんなご様子ですか?
『王家の紋章』前回公演より 写真提供:東宝演劇部
個人的な課題としては、出番が1幕に集中しているので、そこでキャロルを守ろうとするキャラクターをはっきり出さないと、2幕で感動していただけないと思っています。原作には描かれていないけど、僕の中では、セチはキャロルを発見した時にその美しさに感動し、彼女にひと目ぼれしたのだと思う。11、12歳くらいの役だから初恋かもしれないですよね。その思いの強さがあるから奴隷から兵士に取り立てられるわけで、キャロルを思う気持ちは大切にしています」
――プロフィールについても少し伺いますが、工藤さんは仙台でミュージカルを始めたのですね。
「はい、小学校の入学式で名前を言えなかったのを心配した両親に、無理やりミュージカル・スクールに入れられまして(笑)。水泳もやっていたのですが、そちらでは東北大会で金メダルをいくつもとるほど成績が良かったので、当初は自分も含めて皆、ミュージカルはそのうちやめるだろうと思っていたけど、中学3年で出た『赤毛のアン』という作品が楽しく、そのすぐ後に帝劇で観た『レ・ミゼラブル』に衝撃を受けまして。コーチに「水泳はやめます」と言ったら、絶句されました(笑)。
その後、日本大学芸術学部に進学したのは、それまでミュージカルをやってきたので、お芝居を学んでみたいと思ったからです。入ってみると周りはミュージカルに興味のない人が多くて、チラシを渡すと“こんなのに出てるの?”と言われたりして、びっくりしました(笑)。ダンスも歌もない演劇の授業は、僕にとっては武器をとられたようなものだったけど、演技をつきつめることができて勉強になりました。声の使い方ひとつとっても、それまで台詞は“いい声”で言うものだと思っていたけど、唐十郎さんの赤テントの芝居などでは、声帯をつぶすぎりぎりまで叫んでいたりして、声を出すポジションはいろいろでいいんだと思えるようになりました。今回の『王家の紋章』でも、この経験が無ければ拷問シーンで汗をかくほど叫ぶことは無かったろうなと思います」
――どんな表現者を目指していらっしゃいますか?
「僕は小柄ということもあって、『王家の紋章』を含め、ここ1年ほどずっと子どもの役を演じてきました。昔は自分の身長が物凄いコンプレックスでしたが、『わたしは真悟』で、大柄ではないのに舞台上ではとても大きく見える成河さんとご一緒して、たくさんお話をさせていただく中で、とても影響を受けました。身長であったり、体が動くことであったり、そうした自分の特性を生かせる役にこれからも出会えていけたら幸せだな、と思っています」
【観劇レポート】
古代エジプトと現代の邂逅のドラマに
“愛が歴史を変えてゆく”希望を含ませた
2017年版『王家の紋章』
『王家の紋章』2017年公演より。写真提供:東宝演劇部
『王家の紋章』2017年公演より。写真提供:東宝演劇部
『王家の紋章』2017年公演より。写真提供:東宝演劇部
『王家の紋章』2017年公演より。写真提供:東宝演劇部
『王家の紋章』2017年公演より。写真提供:東宝演劇部
『王家の紋章』2017年公演より。写真提供:東宝演劇部
*以下の段落ではいわゆる「ネタバレ」を含みますので、未見の方はご注意下さい。*
『王家の紋章』2017年公演より。写真提供:東宝演劇部
『王家の紋章』2017年公演より。写真提供:東宝演劇部
『キューティ・ブロンド』
3月21日~4月3日=シアタークリエ、その後4月30日まで愛知、高松、大分、福岡、広島、静岡、福井、大阪を巡演『キューティ・ブロンド』
おしゃれな女の子が恋人に振られ、一念発起して弁護士を目指すさまを描いて大ヒットしたハリウッド映画『キューティ・ブロンド』を舞台化、07年にブロードウェイで初演されたミュージカルが本邦初演。主人公エルを神田沙也加さんが演じるほか、佐藤隆紀さん、植原卓也さん、樹里咲穂さん、長谷川初範さんらが出演します。
ローレンス・オキーフ&ネル・ベンジャミンによる軽快な音楽に乗せテンポよく進むストーリーは、とにかくポジティブ! はじめは恋のために、途中からは“法律で人を救う”使命感を持って頑張るヒロイン、そして彼女に巻き込まれてゆく周囲の人々の姿に、観ている側は鼓舞されること受け合いです。神田さんはもちろん、『エリザベート』での重厚な役どころから一転、朴訥な青年を演じる佐藤さんからアンサンブルまで、キャスト一人一人のチャーミングな演技もお見逃しなく!
【演出家・上田一豪さんインタビュー】
上田一豪 84年熊本県生まれ。早稲田大学在学中にミュージカル研究会に所属。劇団TipTapを旗揚げ、オリジナル作品を作・演出。東宝演劇部契約社員として様々な大作にも携わる。(C)Marino Matsushima
「何本か候補があって、最終的に2本に絞ったところで、神田沙也加さんがこの期間、出演していただけるかもと聞き、“それなら『キューティ・ブロンド』しかないでしょう!”ということになりました」
――ヒロインのエル役が神田さんにぴったり、と?
「チャーミングなところはもちろんですが、何より、生き方がぴったり。これまで(演出部スタッフとして関わった)『ダンス オブ ヴァンパイア』などの現場で彼女を見てきて、ひたむきに、誰よりも努力する、という印象がありました。演出家が求める以上の地点にどうやったら辿り着けるかを常に考えている神田さんなら、きっと作品を引っ張ってくれると思えたのです。実際、開放的で一生懸命すぎて一見おバカに見えるけど、実はすごく賢いエルを、彼女は非常にわかりやすく演じてくれています。演出家としてはご一緒していて楽しくて、頼もしいです。」
――『キューティ・ブロンド』ブロードウェイ版は、アメリカのティーンエイジャー向けのコメディ番組のノリというか、観客の歓声を想定した間合いで作られていますね。
『キューティ・ブロンド』稽古より。写真提供:東宝演劇部
――“マジヤバイ”とかですね。
「台本が書かれた時代と今とでは若干のタイムラグがあるので、時代的にちょっとだけふくらみを持たせ、10代から30代くらいの女性が“分かるなあ”と思っていただける言葉をあてるようにしています」
――アイリッシュ・ダンスにチアリーディングと、アメリカの白人社会ではお馴染みの要素が盛り込まれた作品でもあります。
「おそらくアメリカのお客さんは、あそこで突然チアリーディングが出てきただけで盛り上がるのだと思うけど、僕らが見ると一瞬、“ど、どうした?!”と思う。でもその“どうした!?”が面白いんだと思うんです。
『キューティ・ブロンド』稽古より。写真提供:東宝演劇部
――女性やゲイへのキワどいジョークもアメリカ的ですね。
「作者自身もブロンドの女性だし、実際にゲイのお友達がいる“当事者だから言える自虐ジョーク”だと思うんです。対象への愛がベースにある。そもそも本作の原題“Legally Blonde”はLegally Blind(法律上の失明)という言葉をもじったもので、非常にアイロニック。でもすべてに愛があるから(ジョークも)言い合えるし、(排他的ではなく)ポジティブ。そんな愛に溢れたコメディなんです」
――エルを見守る先輩弁護士エメット役は佐藤隆紀さん。ちょっと意外な配役でした。
「このキャラクターって、(貧しい境遇に生まれて)ずっと努力をしてきたけど、不器用で(弁護士事務所への就職など)次のステップに進めない。一歩踏み出せない男なんだけど、そういう人って、見てて“しっかりしろ!”と思っちゃう(笑)。でもそれで嫌われるのではなく、応援したいと思わせる人がほしかった。あったかさとか、情けなさがキュートに見えるものを持ってる人と考えた時、すぐ佐藤さんがいい、と思ったんです。『エリザベート』の稽古場で彼を見ていたので、彼が本来持っている、人に対する優しさ、素朴さがぴったりだな、と」
――どんな舞台が期待できそうですか?
「とにかくスピーディーで、深く考えずに楽しめると思います。心が疲れていたり、仕事がうまくいってない方が御覧になっても“楽しかった!”と笑顔で帰ってくれるといいな、と思っています」
【稽古場レポート】
『キューティ・ブロンド』稽古より。写真提供:東宝演劇部
『キューティ・ブロンド』稽古より。写真提供:東宝演劇部
『キューティ・ブロンド』稽古より。写真提供:東宝演劇部
主人公役からベテラン、そして若手に至るまで、それぞれに輝く出演者たち。このカンパニーなら、本番では飛び切りの舞台を見せてくれるのでは。浮き立つような心をおさえ、稽古場を後にしました。
【『キューティ・ブロンド』観劇レポート
一人一人が躍動し、スピーディーにして
“ポジティブさ”と“愛”が溢れるサクセスストーリー】
『キューティ・ブロンド』写真提供:東宝演劇部
『キューティ・ブロンド』写真提供:東宝演劇部
『キューティ・ブロンド』写真提供:東宝演劇部
『キューティ・ブロンド』写真提供:東宝演劇部
『キューティ・ブロンド』写真提供:東宝演劇部
『キューティ・ブロンド』写真提供:東宝演劇部
『キューティ・ブロンド』写真提供:東宝演劇部
『キューティ・ブロンド』写真提供:東宝演劇部