ドクメンタに宗教改革500周年 ビッグイベントが目白押しのドイツ!

documenta1

現代アート展「ドクメンタ」(C)documenta und Museum Fridericianum Veranstaltungs-GmbH

ドイツには日本人旅行者にも人気のオクトーバーフェストやクリスマスマーケットをはじめ一年中各地で様々なお祭りが開かれます。それにくわえて2017年は数年に一度開催されるビッグイベントがいくつも同時開催されるというイベントの当たり年。今年のドイツはいつにも増して注目を集めています。

とくにアート関連では、カッセルで5年毎に開催される現代美術展「ドクメンタ」と、ミュンスターで10年毎に開催される「ミュンスター彫刻プロジェクト」の2大ビッグイベントが同じ時期に開催。つまりこの組み合わせでアート展を楽しめるのは10年に一度のチャンスという、 アートファンが興奮必至のスペシャルイヤーなのです。これらの展覧会は美術館だけでなく、公共空間を含む街全体を会場として長期間にわたって開催されるのが特徴。美術愛好家はもちろん、家族連れも観光客も誰もが気軽に、いろんな角度から自由にアートを感じることができます。現代アートって難解で解りにくい……と思っている人はぜひ体験してみてください。

luther

宗教改革500周年の記念グッズもいろいろ。ルターの限定プレイモービルは大ヒット商品

2017年は、欧州のみならず世界を大きく変えた出来事、マルティン・ルターの宗教改革500周年という記念すべき年でもあり、ゆかりの地を中心にドイツ各地で特別展覧会やコンサートが開かれます。

さらに、ベルリンでは10年に一度開催される世界最大級のガーデンショー「IGA」が開催。園芸や花好きなら見逃せない一大イベントです。

とにかく今年は注目のビッグイベントが目白押しのドイツ。人生でそうそう巡ってこないこの貴重な機会に、ドイツを旅してみませんか。

世界最大の現代アート展「ドクメンタ 14」2017

kassel6

メイン会場フリデリチアヌムの文字が「BEING SAFE IS SCARY」に変わっていることに注目! その前には禁書で築かれた実物大パルテノン神殿が出現

カッセルの街全体を会場として5年毎に100日間にわたり開催されるドクメンタ(documenta)は、世界で最も重要な現代アート展のひとつ。最新の現代美術の動向を知ることができる展覧会として、ベネチア・ビエンナーレと並び世界が注目する一大イベントです。1955年に画家で教育者でもあったアーノルト・ボーデによって第1回目が開催されたドクメンタのこれまでの参加者のなかには、ピカソやヨーゼフ・ボイス、アイ・ウェイウェイといった世界的芸術家たちの名も。近年は大竹伸郎氏ほか日本人作家の参加もあり、日本からドクメンタのためにドイツを訪れる愛好家や関係者も大勢います。
kassel5

街全体が展示会場となりコンサートやパフォーマンスも行われる。写真はドクメンタホール

毎回異なる実験的なテーマでセンセーションを巻き起こしてきたドクメンタの、今回の芸術総監督に選ばれたのはクンストハレ・バーゼルのディレクター兼チーフキュレーターのアダム・シムジック。今回は初の外国(ギリシャ・アテネ)との2都市開催が話題となっています。テーマはずばり「アテネに学ぶ」。財政危機、難民問題、紛争といった欧州と世界が直面している問題に向き合う作品が多く、これまで以上に政治色の濃さが際立つ内容となっています。
kassel3

積み上げた下水管で難民キャンプを表したイラク出身Hiwa Kの作品「When We Were Exhaling Image」

ドクメンタの特徴ともいえる芸術におけるタブーの無さは、ますますパワーアップして潔いほど。「問題だらけの場所で、現在生きているアートを見せたい。壊れた場所で、新しく再生するものを見せたい」と語るシムジック氏。「今のアート」が発するメッセージとエネルギーを感じに、ドクメンタへぜひ足を運んでみてください。
documenta3

ヴィルヘルムスヘーエ公園の水の芸術(C)Museumslandschaft Hessen Kassel

メルヘン街道沿いにあるカッセルはグリムの街として知られ、2015年にオープンしたグリム兄弟博物館「グリムワールド(Grimm Welt)」や2013年に世界遺産に登録されたヴィルヘルムスヘーエ公園の水の芸術とヘラクレス像、世界有数のレンブラント作品を誇る美術館などみどころがいっぱい。フリデリチアヌム・ミュージアムをメイン会場に街全体を舞台に繰り広げられるドクメンタだけでも丸一日あっても足りないほどなので、ぜひこの機会にカッセルに滞在し、アートとグリムの世界をじっくりと堪能してください。

Documenta 14
開催期間:2017年6月10日~9月17日(カッセル)
開催場所:カッセル中央駅、フリデリチアヌムほか
アクセス:フランクフルト中央駅からカッセルのヴィルヘルムスヘーエ駅までICEで約1時間半

ミュンスター彫刻プロジェクト2017

munster3

自然の中でアートを楽しめるオープンな雰囲気が魅力。写真の巨大な球体は1977年Claes Oldenburgの作品

ドイツ西部にある大学都市ミュンスターで10年毎に開催される彫刻プロジェクトは、その成り立ちと質の高さから世界的に有名なアート展。街全体を使って作品を展示するパブリックアート展は、近年日本や世界各地で急増している地域のアートフェスのモデルともいえる存在です。

公共空間とアートの関係性をテーマに掲げるこのプロジェクトでは、参加アーティストがミュンスターの街に実際に長期滞在し、街の歴史や文化をじゅうぶん知ったうえで市民と対話を続けながら作品を作っていくのが特徴。美術館だけでなく街のあちこちに作品があるため、人々は普通に歩いているだけでも意図せずしてアートに出会うことになります。しかも展示会場での鑑賞はすべて無料。アートを特別視しない、すべての人に開かれたオープンさがこのイベントの大きな魅力といえるでしょう。
munster1

田中功起氏の作品「How to Live Together?」を観ながら共生の方法をともに考えたい

第5回目となる2017年は、カッセルのドクメンタと10年に一度の同時期開催ということで世界中が注目しています。この貴重なチャンスを逃すまいと日本から訪れるアートファンもたくさん。カッセル→ミュンスターと回るアート旅は、この夏のドイツだからこそできるお楽しみです。今回は2人の日本人アーティストが参加していることも注目すべき点。

田中功起氏は「How to Live Together?」をテーマに、8名の参加者とともに共同生活を送りながら、難民問題について話し合う様子を記録した映像を発表。そのリアルな記録をずっと追うことで、いつしか自分も彼らと一緒に共生の可能性を考えていました。対話とコミュニケーションの大切さを痛感する作品です。

munster2

大自然の中にある荒川医氏の作品。はるばる自転車こいで観に行った甲斐がありました!

荒川医氏の作品は、広大なアー湖の西の端、芝生のなかに置かれた数枚のLEDスクリーンに映し出される映像が音楽を奏でる、ミュージカル形式のインスタレーション。芸術的な美しさのなかに作家の批判精神が感じられる興味深い作品で、不便な場所にもかかわらずたくさんの人が訪れていました。湖のまわりには恒久作品も多く点在しているので、レンタサイクルで移動しながらの鑑賞がおすすめです。

munster4

中世の商人の邸宅が並ぶプリンツィパルマルクトはドイツで最も美しいショッピング街のひとつと言われている

ドイツ歴史古都連盟のひとつであるハンザ都市ミュンスターは、世界で一番住みやすい街に選ばれたこともある環境にやさしい街。学生街ならではのオープンで活気ある雰囲気が漂う、とても居心地の良い街です。自転車の多さでも有名で、自転車の数はなんと人口の2倍もあるとか。レンタサイクルで切妻屋根の建物が並ぶ旧市街や世界最大のピカソのグラフィック作品コレクションを所蔵する美術館、広大な湖や公園をめぐりながら思う存分アートを楽しんでください。

Sculptur Projekte Münster 2017
開催期間:2017年6月10日~10月1日
開催場所:ミュンスター各所
アクセス:デュッセルドルフ中央駅からミュンスター中央駅までICで約1時間半

マルティン・ルターの宗教改革500周年

luther1

ルーカス・クラナッハが描いたマルティン・ルターと妻カタリナ。ヴァルトブルク城にて

2017年、ドイツは宗教改革500周年に沸いています。修道士だったマルティン・ルターが当時のカトリック教会が支配する腐敗した階級社会を変えるべく、ヴィッテンベルクの教会門に「95か条の提言」を打ち付けたのは1517年10月31日のこと。新しい宗派プロテスタントを生んだルターの宗教改革は、ドイツのみならず欧州と世界の歴史に大きな影響を与えました。2017年の10月31日、ドイツは全州が祝日となります。

luther2

ルターが聖書をドイツ語に訳したアイゼナッハのヴァルトブルク城は世界遺産

500年前の神聖ローマ帝国の下では、教会で使われる言葉はすべてラテン語だったため、人々はまったく理解することができませんでした。ルターはすべての人が聖書を読めるよう、かくまわれたアイゼナッハのヴァルトブルク城でドイツ語訳の聖書を完成させるという偉業を達成。2017年は、世界遺産にも登録されているヴァルトブルク城とルターが35年を過ごしたヴィッテンベルク、ベルリンの3か所でほぼ同時期に特別展が開かれるほか、ドイツ各地で記念イベントが開催されます。

ルターは、皆で合唱できるようにとドイツ語の讃美歌も作って自ら演奏し、後世のクラシック界に大きな影響を与えました。バッハやメンデルスゾーンなどルターに影響を受けた音楽家は数知れず。彼らのゆかりの地であり音楽の街、ライプツィヒやドレスデンを訪れて教会コンサートを楽しむのもおすすめです。

街の詳細情報はこちらの記事でどうぞ
>>>ライプツィヒ/ドイツ
>>>美しき古都ドレスデンのおすすめ観光スポット

■LUTHER 500JAHRE REFORMATION 宗教改革500周年「ルターイヤー」
詳細情報はドイツ観光局の特別ページでどうぞ

10年に一度の世界最大級ガーデンショーIGA ベルリン

iga1

東西の入口と中間地点の展望台を結ぶケーブルカー(C)Frank Sperling

ドイツでは2年毎に開催される連邦ガーデンショー(BUGA)ほか大規模な園芸博が盛んで、日本からもたくさんの花好きが訪れます。とくに2017年は10年毎に都市を変えて開催される大規模な国際園芸博覧会 IGAが、初めて首都ベルリンで開催されるスペシャルな年。ベルリン東部のマルツァーン=ヘラースドルフ地区の104ヘクタールもの広大な敷地に世界の庭園が造園され、ベルリン初のケーブルカーや新たに「キーンベルク公園」もつくられる一大プロジェクトとなっています。
iga2

中国のアーティストZhu Yufan作「Dule Yuan」(C)Licht Schwaermer

マルツァーン公園にはこれまでにも日本や韓国、バリ、イギリス、イタリアなど世界各国の庭を造園したテーマパーク「Gärten der Welt(世界の庭園)」がありました。今回のIGAでは5大陸から著名な造園家を招集。新たに中国、タイ、南アフリカなどをイメージして9つのユニークな小庭園「Internationale Gartenkabinette」が造られました。

iga3

白い雲をイメージした展望台からの絶景を楽しもう!(C)Dominik Butzmann

会場の中間地点にそびえる展望台「Wolkenhein」は、その名の通り空に浮かぶ白い雲(Wolken)のよう。頂上からはガーデンショー全体が見渡せるのはもちろん、テレビ塔やミッテ地区なども望める絶景ポイントとなっています。そのほかにもコンサートやイベントが開催される野外ステージや、ボブスレーにクライミングエリアなど家族みんなで遊べる施設が充実。おいしいイタリアンレストランもあるので一日中たっぷりと楽しむことができます。

IGA Berlin 2017
開催期間:2017年4月13日~10月15日
開催場所:ベルリン、マルツァーン=ヘラースドルフ地区。メインゲートは地下鉄新駅「キーンベルク=ゲルテン・デア・ヴェルト」そば

berlinleuchtet

イルミネーションアートの祭典「Berlin Leuchtet」では名所がライトアップされ幻想的な雰囲気

ガーデンショー以外にも、ベルリンでは毎年年間を通して様々なイベントが開催されます。とくに秋は「アートの街」ベルリンを堪能できる芸術関連のイベントが目白押し。ベルリン・ビエンナーレ期間中のアートウィークをはじめ、東西ドイツ再統一の記念日である2017年10月3日前後は注目のアートイベントがいくつも開催され、国内外から大勢の芸術愛好家が集まります。なかでもガイドのおすすめは、誰もが楽しめるイルミネーションアートの祭典、ベルリン・ライトウィークス。2つのイルミネーションフェスが開かれるこの時期は、ブランデンブルク門や大聖堂などの名所が光のアートで彩られ、ベルリンの街が幻想的な雰囲気に包まれます。

■Berlin Leuchtet ベルリン・イルミネーション
開催期間:2017年9月29日~10月15日
■Festival of Lights ライト・フェスティバル
開催期間:2017年10月6日~10月15日
詳細はこちらで>>>ベルリン観光局

ベルリン情報はオールアバウト・ベルリンサイトでどうぞ

取材協力:ドイツ観光局 ベルリン観光局 カッセル観光局 ミュンスター観光局


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。