白眉は普茶料理です
仏像も境内散歩もいいですが、萬福寺と言ったら、なんといっても一番の特徴は料理です。精進料理というと、なぜか皆さん、とても質素なものを想像されるようです。確かにそういう面もありますが、それはお坊さんたちが、修行の一環として食べるもので、一般的な宿坊に普通に泊まる場合や、泊まらなくても食事だけする場合は、けっこう豪華な料理が出ることが多いものです。なぜなら、わたしたちは、修行のためにお寺に泊まるわけではないので、お寺の方も、お客さんとしてもてなしてくださるのです。これで4人分。きれいでおいしいだけでなく、食べきれないほどの量です
揚げ物各種。真ん中の丸いものは、梅干やサトイモ。左の赤いものは紅しょうがで、わたしの大好物
隠元さんが伝えてくれた蓮根も入った一皿。花のように見えるものは、細切りにした昆布にあられをさして揚げたもの
また、いわゆる「もどき料理」も多く、見た目だけでは、どんな食材で作られているのかわからないものもあります。お寺の方のお話では、もどき料理には、単なる肉や魚の代用品というだけでなく、「これは何だろう」と楽しく会話する目的もあるのだとか。禅宗のお寺では、修行の一環の食事の際は、一切口をきいてはいけないという決まりがありますが、普茶料理はおもてなし料理なので、「おいしいね」、「面白いね」と話ながらいただくのがよいようです。
うなぎの蒲焼もどき。つぶした豆腐と山芋を混ぜ、のりを片面に張って揚げ、再度照り焼きにして作ります。見た目だけでなく、食感もうなぎに似ている
禅の心を表す雲片。残った野菜屑で作ったとは思えないほどおいしいです
■ 萬福寺
デザートは季節の果物とお菓子。みどり色の団子は、近く宇治の名物の茶団子
電話:0774-32-3900
拝観時間 : 9:00~17:00
拝観料:500円
普茶料理は、5000円コース、7000円コースがあり、3名より予約ができます
また、希望により、座禅、写経などの指導もしていただけ、宿泊して修行体験をすることもできます。(ただし、その場合の食事は、普茶料理ではありません)
● 『神社、寺ガイド』の吉田さらさは、現在、NHK教育テレビで毎週木曜日夜10時から放送されている「直伝和の極意、とっておきの宿坊を楽しむ」に出演中です。
萬福寺の回は、6月24日放送(翌週の7月1日、13時5分より再放送)です。
好評につき、総集編の放映も決定しました。7月3日(土)14:50~16:50、1回目から5回目(高野山蓮華定院、妙心寺東林院、萬福寺、大陽寺)が一挙放送されます。宿坊や精進料理にご興味のある方は、ぜひごらんください。
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