65歳以上の高齢者人口は増え続ける?
日本の「高齢者」は65歳以上で、65歳から74歳を「前期高齢者」、75歳以上を「後期高齢者」と区分して、人口統計や社会保障制度、雇用制度に使っています。65歳以上を高齢者とする定義は、明確に法律で決められているわけではありません。1956年の「高齢者は65歳以上と定義する」との国連の報告書がきっかけとされています。当時の日本人の平均寿命は、男性63.59歳、女性67.54歳だったので、65歳以上を高齢者とするのは妥当だったと言えるでしょう。しかし、2017年の平均寿命は、男性80.98歳、女性87.14歳となり、この約60年間で20年近くも延びました。平均寿命は、まだまだ延び代がありそうで、高齢者人口は増え続けそうです。
一方、65歳から「高齢者」と呼ばれることに違和感を持つ前期高齢者の人たちが多くいると思います。筆者の周りにいる前期高齢者の人たちは、そうです。皆さん、見た目は若く元気です。
現状2つの高齢者を3つに区分。高齢者は75歳から!
そんな現状を反映してか、高齢者の定義を見直してはどうかと、日本老年学会と日本老年医学会の「高齢者に関する定義検討ワーキンググループ」が提言しました。提言によると、現在の高齢者は10年から20年前と比べて、加齢に伴う身体的機能の変化の出現が5年から10年遅延しており「若返り」現象がみられるとのこと。従来、高齢者とされてきた65歳以上の人でも、特に65歳から74歳の前期高齢者においては、心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が大多数を占めている、とも。
こういったことを踏まえて、65歳以上の人を下記のように区分してはどうかと提言しています。
- 65歳から74歳(現・前期高齢者):准高齢者
- 75歳から89歳(現・後期高齢者):高齢者
- 90歳以上(現・後期高齢者):超高齢者
つまり、前期高齢者は「准高齢者」に区分し、社会に支えてもらう側から支える側に回ってもらってはどうかということです。こう書くと、すぐにも公的年金の受け取りや公的介護保険の利用が75歳からになると思う人がいるかもしれません。しかし、社会保障制度を変えるのは容易ではないので、ただちに大改革されることはないと言っていいでしょう。
ただ、高齢者の定義を変えるかどうかは別にして、65歳以降の家計は収入減(公的年金減)で支出増(公的健康保険、公的介護保険の自己負担増や保険料増)になることは避けられません。老後資金をしっかり作ることが重要なのは言うまでもありませんが、老後を短くするために働く期間を長くする、医療・介護費用を抑えるために心身の健康をキープすることに気を配るなどの努力をしましょう。
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