一戸建て購入

借地権付きでお得にマイホーム?そのメリットと注意点

地価の高い日本でマイホームを持とうと思うと、土地代+建物代で予算がかさみ、若いファミリーなどはマイホームを諦めざるを得ない状況もあるのではないでしょうか? そんな人は、土地は買うのでなく借りる「借地権付き住宅」にすることで予算を抑えることも可能です。今回は、そんな借地権付き住宅を買うメリットと注意点について説明します。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

地価の高い日本でマイホームを持とうと思うと、土地代+建物代で予算がかさみ、若いファミリーなどはマイホームを諦めざるを得ない状況もあるのではないでしょうか? そんな人は、土地は買うのでなく借りる「借地権付き住宅」にすることで予算を抑えることも可能です。今回は、そんな借地権付き住宅を買うメリットと注意点について説明します。

価値観の多様化時代、こんな人におすすめ

借地権

夢の一戸建てがリーズナブルに手に入る?

例えば、「子育ての期間は広い庭付き一戸建てに住みたい」「30-50年後には実家を相続するだろうから、もしくはI・Uターンするから、今建てるマイホームに永住する予定はない」--このように、ライフプランの多様化でマイホームに対する考え方も多様化しているのが現代です。首都圏で土地付き一戸建てを買おうとすると数千万~億に近い予算になり、「土地代+建物代」という多額をローンで組んで一生返済し続けていくことを敬遠する世代も出てきています。収入がまだ少なかったり教育費が予定されている若いファミリーなら尚更でしょう。

「借地権付住宅」のメリット

そんな方々の選択肢の1つに「借地権付き住宅」があります。土地を買うのでなく地主から長期間借りて、月々などで地代を払っていき、その分、予算を抑えたり土地の上に建てる家の予算に充てたりすることができるというものです。幸い、現代の借地借家法では「借主」側を非常に手厚く保護していますので、地代を払わないなどの債務不履行がない限り「急に立ち退かなければいけないのでは」という不安もありません。

「借地権付住宅」には2種類ある

まず「借地権付住宅」には「通常借地権付き」と「定期借地権付き」との2種類が厳密にあります。一般的なのは後者の定期借地権付きですが、そのベースとなる考え方を理解するために「通常借地権」のほうから説明しましょう。

まず現在の借地借家法で原則、「借地権期間は最低30年以上」と定めています。上限はなく、存続期間を40年にすればそのまま40年が存続期間になりますが、30年より短い20年や「定めがない」場合は自動的に30年になり、1回目の更新後はさらに20年以上、2回目の更新は10年以上と非常に長いスパンで土地を借りられるようになっています。

借地の上の家は借主の負担で建てることになるわけですが、せっかく建てた家を借地契約が満了するからといって壊しては環境面でも無駄になります。このため契約期間満了時に家がまだ建っていれば(壊されていなければ)、借主が請求すれば借地契約は自動的に更新され、貸主(地主)に時価で買い取ってもらうこともできます(建物買取請求権)。

以上が「通常借地権」ですが、お分かりになるように、非常に借主を強く保護しているため、今度は土地を貸す地主が敬遠して借地が減ってしまった経緯から、地主が土地を貸しやすくなるよう期間満了時に必ず土地が返還される借地権が誕生。これが「定期借地権」です。

定期借地権には「一般定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」の3種類がありますが、住宅の場合は最初の「一般定期借地権」が最も多く、存続期間は50年以上。書面を交付すれば契約できます。また「建物譲渡特約付借地権」は存続期間30年以上で、期間満了後、借地上の建物を地主に譲渡するという特約を付けた定期借地権です。

賃貸住宅との違い

「借地権付き住宅」と「賃貸住宅」と、どう違うのか。まず大きな違いは「賃貸住宅」は既に建っている住宅に賃料を払って住むのに対し、「借地権付き住宅」は土地の上に自由にどんな家を建ててもよい(もちろん法律の範囲内で)ということです。この建物代は借主が通常の住宅ローンを組むなどして負担しますが、家族の形態に合わせて子ども部屋をつくったり間取り動線から事由に考えられるので、注文一戸建て感覚で建てることができ、地代は払っているにせよ、より「自分たちのマイホーム」感覚があるのではないでしょうか。

借地権付き住宅の注意点

このようにメリットの多い「借地権付き住宅」ですが、定期借地権付き住宅や普通借地権付き住宅は、住宅ローンの取り扱いのない金融機関も多いため、事前に確認が必要です。その場合でも、住宅金融支援機構がサポートしている「フラット35」や、勤務先で提供されている財形住宅融資なら借地権住宅への住宅ローン利用も可能です。

また、普通借地権付住宅は立ち退く代わりに建物を地主に買い取ってもらう建物買取請求権が使えますが、定期借地権付き住宅は契約期間満了時には建物を借主負担で解体廃棄し、更地の状態で土地所有者に返還しなければなりません。また定期借地権の場合、前述したようにどんな理由があっても契約更新や期間延長は不可となりますのでご注意を。

以上の注意点はあるものの、右肩上がりの収入や多額の退職金が見込みにくい時代、それでも庭付き一戸建てを自分の思い通りに建てたいーーといった夢のマイホーム計画が実現しやすいのも借地権付き住宅ならではの魅力といえるでしょう。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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