1924年(大正13年)創業のパン屋さんの新ブランド
soil by HOUTOU BAKERY(ソイルバイホウトーベーカリー)
三浦半島のミネラル豊富で肥沃な土壌で育つ農産物を使ったパンを製造販売する横須賀の「soil by HOUTOU BAKERY(ソイルバイホウトーベーカリー)」は1924年(大正13年)創業の「法塔ベーカリー」の新しいブランドです。
卸売販売から直接消費者に販売する時代となって、4代目経営者の森柾人さんには、パンだけではなくパンと一緒に幸せを売ろう、というひとつの想いがありました。
りんごとシナモン、カシスと木苺などきらめくヴィエノワズリー
幸せを売るとはどういうこと?
「soilのパンを買ったから明日の朝は元気に会社に行こう!」「soilのパンをあの人にプレゼントしたら喜んでくれるかな?」「soilのパンを食卓に並べたら、主人がなんかいつもと違うね、と言ってくれた」というような、いつもよりちょっと幸せな気分になれるパンを売ること。
それはどんなパンなのでしょうか。
soil by HOUTOU BAKERY(ソイルバイホウトーベーカリー)
改札を出て左手すぐ
京急線県立大学駅の改札口隣にある小さな店舗には、そのまますぐにお皿に移して食べたいような、いろどり豊かなパンが並んでいます。美しい色彩はおもに横須賀野菜で、その時季にしか食べられない旬の味。地元の生産者から仕入れています。また、横須賀産小麦「ユメシホウ」もハード系やフォカッチャなどにブレンドされています。
小森俊幸さん、販売担当の圭さん
森さんの想いを日々、パンのかたちにしているのは小森俊幸さん。「法塔ベーカリー」と大阪の「パンデュース」で修業を積み、バリッと焼き込んだハード系からとろけるようなブリオッシュ、シンプルな食パン、そして色鮮やかな野菜のパンまでをそつなく焼き分けるだけでなく、常に新しい創作アイディアが尽きないパン職人です。
soilだけで味わえるパン
小森さんは法塔ベーカリーの工場に勤務していた頃、月に一度は自分の好きなパンをつくらせてもらい、地元の農産物直売所「すかなごっそ」(「横須賀野菜のごちそう」の意)で販売していました。出店のお知らせはインスタグラムを通じて拡散され、毎月のように完売。人気インスタグラムはその後、soilのアカウントに引き継がれ、今では1万7千人ものフォロワーがいます。
うれしい驚き、小さな感動が次々に弾けるパンたち
旬の横須賀野菜がたっぷりのパン
そんなインスタグラムでも、わーっと歓声が聞えてきそうな勢いで「いいね!」がつくのは横須賀野菜がのったパン。
横須賀ブラックピゼッタ
「横須賀ブラックピゼッタ」(420円)は竹炭とトマトが練り込まれたフォカッチャで「黒船」をイメージしているそうです。そこにフロマージュブランとトマトバジルソース、バルサミコでソテーした玉ねぎとイベリコ豚のベーコンを敷いて、野菜をのせて焼いています。
野菜は季節のもの。この日は「コールラビ」、「紅心大根」、「オレンジニンジン」、「ビタミン大根」、「うずまきビーツ」、「レンコン」、「黄色ニンジン」。レンコン(茨城県産)以外はすべて横須賀産で、ニンジンはグラッセに、その他はオリーブオイルでグリルしてからのせています。なんという手間のかけよう!黒船というか、宝船のようです。
季節野菜のピゼッタ
バジルフォカッチャを用いたものもあります。これらはなるべく早く食べたいパン。家に持ち帰ったならリベイクして温かいうちにいただくと最高です。
「メロンパン」(160円)はバターが多めのとろけるようなブリオッシュ生地で、それを包むビスケットはアーモンドプードル入りで香ばしく、さっくりとエアリーな食感です。
メロンパン
「ホワイトチョコとカシスの抹茶メロンパン」(190円)は一口かじると視覚と味覚に「!」な驚きが走ります。宇治抹茶のビスケット生地を被せたメロンパンの中には紫色のカシスとホワイトチョコレートが溶けこんだ甘酸っぱいチーズクリーム。その味が想像できるでしょうか。小森さんは色彩の面白さ、美しさも大切にしているのだそうです。
今回わかったのは、香料などを用いない上質なメロンパンは、焼いて食べると皮がカリッとよみがえる時にバターの香りも立って、感動的な味になる、ということです。
クリームパン
季節のクグロフ
あんパンやクリームパン、クグロフもブリオッシュ生地でつくられています。
「チョコとオレンジのクグロフ」(310円)は生クリームとチョコレートを練り込んだ生地にブロックのビターチョコとオレンジピール、へーゼルナッツも入っていて、焼き菓子のようなリッチさ。ほかに、ドライのリンゴとアールグレイの茶葉を入れた「りんごと紅茶のクグロフ」(310円)もあります。クグロフは季節によって入るものが変わります。
クロワッサン、パンオショコラ
クロワッサンオザマンドショコラ
クロワッサンは巻きの少ないザクッとした食感で、焦がしバターが香ります。「クロワッサンオザマンドショコラ」(240円)は濃厚なヴァローナのチョコレート入りの「パンオショコラ」にアーモンドクリームをたっぷり、アクセントにラズベリーをトッピングしているところが危険な魅力です。
ぶどうのコッペパン
milk食パン
「milk食パン」(460円)は「春よ恋」に対し同量のミルクで仕込んだ、ふわりとかろやかな食感が魅力。しっとりときめ細かな生地は白いブリオッシュのような、優しい味わいです。
あんバターサンド、あんは横須賀の製餡所のもの
色よく焼き上げられたハード系
ハード系でおすすめはロデヴ(190円)。横須賀産「ユメシホウ」の全粒粉、北海道産の「春よ恋」、「春よ恋」の全粒粉、「きたほなみ」でつくられた、旨みの濃い、加水率が高いみずみずしい生地が、パリッと香ばしく焼けた薄いクラストにそっと守られています。スライスして、削ったバターをのせて食べると、うっとりするような味わいに。190円というのは小さいからですが、もっと大きなのが食べたくなります。
松坂屋(明治43年創業の精肉店)特注ポークフランクの「横須賀ドッグ」
旬の横須賀食材を使ったパンたち
取材中、店に若芽が運ばれてきました。横須賀の猿島の早採れ若芽「さるひめ」は1月10日に解禁になってからひと月ほど期間限定で味わえる旬の味。soilではそのまま販売する他、フーガスにもしています。
さるひめと雑穀のフーガスは期間限定
「もうすぐさるひめも終わりです。今は高菜の生があるので、どうしようか考えているところ。うちでしか食べられないもの、今しか食べられないものを楽しんでほしいと思っています」と小森さん。
「地元の生産者から買うのは、地産地消というより、採れたてで新鮮なのが本当においしいからなんです。小森はどの生産者のどの野菜がおいしいかもよく知っているんですよ」と森さん。
胡桃のリュスティック
ちなみに、国産小麦を使う理由を小森さんに伺うと、「品種によって味の個性があり、使えば使うほど違いの面白さにはまっています。自分で複数の品種をブレンドして複雑な味を表現し自分だけのパンが作れるところが最大の魅力です」という答えが返ってきました。
ちょっと幸せになれるパン。その季節の横須賀のおいしいものを味わいに、出掛けるのが楽しみになるパン屋さんです。
soil by HOUTOU BAKERY
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soil by HOUTOU BAKERY(ソイルバイホウトーベーカリー)
住所:神奈川県横須賀市 安浦町2-29-1
電話:046-874-6622
営業時間:月~土 9:00~19:00 日祝定休
京急線県立大学駅0分
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