あなたの想像以上に深刻…人体のほぼ全身におよぶ喫煙の害

歩道上に示された禁煙サイン

禁煙は決して簡単なものではありませんが、その効果は大きいものです

2004年に公表された米国公衆衛生総監報告書(SGR)によれば、喫煙は体のほぼすべての臓器に害を与えることが指摘されています。一方で禁煙することによるメリットは、長期的なものだけではなく、禁煙してからごく短時間のうちにも得られるとされています。

また喫煙者の多くは、低タールや低ニコチンをうたっているタバコなら健康被害は少ないと思っているようですが、これは医学的には誤り。低タール、低ニコチンだからと無意識に深く吸い込んだり、吸う回数を多くしたりしてしまい、結果的にふつうのタバコと同程度のニコチンを摂取することになったり、一酸化炭素の摂取量が逆に増加したりする危険性があることがわかっています。

喫煙によって引き起こされる病気や障害には、肺がんを始め多くのがん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、虚血性心疾患や脳血管疾患、低出生体重児などがよく知られていますが、近年ではさらに、糖尿病や認知症、白内障、歯周病などについても、タバコが関わっていることが分かってきました。
 

わずか20分で始まる禁煙の健康効果

禁煙をするのに、「長年吸ってきたのだから、もう今さらやめたって……」と思うのは誤りです。禁煙に遅すぎるということはありません。SGRには「禁煙は性別・年齢・喫煙による病気の有無を問わず、すべての人々に大きくかつ迅速な健康改善をもたらす」と明記されています。

禁煙による健康状態の改善は、わずか20分後に、血圧と脈拍が正常値まで下がり、手足の温度が上がることから現れます。8時間後には血液中の一酸化炭素濃度が下がり、酸素濃度が上がります。24時間後には、心臓発作のリスクの低下がみられます。禁煙から数日が過ぎると味覚や嗅覚が改善し、食事のおいしさを強く感じるようになるでしょう。1カ月以上経過すると、持久力が改善し歩行時の息切れなども楽になり始めます。

さらに禁煙後1年で肺機能が改善し、2~4年後には脳梗塞や虚血性心疾患の危険性がおよそ3分の1に減少します。肺がんの危険性が低下するのは禁煙から5年後以降ですが、10~15年過ぎると、病気にかかるリスクは非喫煙者と同等に近づくといわれます。

女性に特有のタバコの健康被害には、妊娠する能力の低下という問題があります。さらに妊娠しても、早期破水、前置胎盤や胎盤異常、早産や妊娠期間の短縮などが心配されます。胎児にも当然影響がおよび、成長が制限されたり、低体重児で生まれたりするなどのリスクが挙げられます。また出生後に、乳児突然死症候群(SIDS: Sudden Infant Death Syndrome)を引き起こす可能性も指摘されています。

タバコは健康な血流の流れを阻害するため、肌あれや顔色の悪さなど美容面においてもデメリットの多いものです。逆にいえば禁煙することによって、こうした女性特有の健康リスクや、美容上のデメリットを避けることができるのです。
 

年間16万円も自由なお金が増える! 禁煙の節約効果

禁煙のメリットは健康状態の改善だけに止まりません。喫煙者はニコチンに依存している状態ですので、思うようにタバコが吸えないとイライラして、本来するべき行動に集中できません。しかし禁煙することで、こうしたストレスから解放されます。

さらに、本人だけでなく、受動喫煙や第3の喫煙被害とも呼ばれるサードハンドスモークにさらされている喫煙者の家族や周囲の人々の健康被害のリスクも軽減されます。禁煙することで家族の健康も守ることができるというのは、たいへん大きなメリットではないでしょうか。

また、禁煙による金銭的なメリットも見逃せません。たとえば450円のタバコを毎日1箱吸うと、年間で16万4250円、10年間吸いつづければ164万円もタバコにお金をかけている計算になります。禁煙すれば、このお金を趣味や家族旅行などに使って、満足度の高い生活を送ることができるのです。健康的で快適な生活は、タバコを手放すことから始まります。(監修:今村 甲彦
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