セーターの正しい洗濯頻度は? 何回着たら洗う物なのか
セーターと言えば、冬の風物詩……
ごく身近な存在である反面、そのケア方法(の正当性)に対しては「あまり自信がない……」という方が多いようです。
「1回着たら、洗ってるけど(オシャレ着用洗剤で、ネットに入れて、洗濯機で。え、みんなそうじゃないの? 汚くない?)」「……ワンシーズンに、2回くらい、かな?(だって、クリーニング出すの、高いじゃん。え、みんなにとってはそんなに高くないの?)」「洗ったこと無い。汚れたら捨てる」(エエッ!?)
そんなセーターの洗濯頻度に、正しい答えはあるのでしょうか?
そもそも洗濯の目的は?
まずは、セーターに限らず、衣類を汚す原因について考えてみましょう。衣類を汚すいわゆる「汚れ」には、衣類の「内」側からつくものと「外」側からつくもの、両方があります。
「内」側からつく汚れの代表的なものでは、私たちの分泌する「汗」や「皮脂」、それから古くなった皮膚由来の「垢」(これは汗と皮脂とホコリなどが混じったもの)など。
一方、「外」側からつく汚れの代表的なものには、いわゆる「食べこぼし」の類、「泥」「砂」、空気中に漂う「ホコリ(自動車などの煤煙、花粉、カビなども含む)」の他、喫茶店や居酒屋などで特につきやすい「臭い(タバコ、焼き肉などの油煙)」も粒子が細かい「汚れ」にカウントされます。
余談ですが、子どもがいる場合にはこれらに加えて「よだれ(唾液)」「粗相(排泄物)」「文房具(糊、ペン、クレヨンなど)」といった、大人はあまり付けない類の汚れも日常的に付着してきますので、洗濯が高頻度かつ難儀になりますね。総じてこれらの汚れを落とす作業が「洗濯」なわけです。
そもそも「セーター」って何?「ニット」って?
「セーター」のほうにも、さまざまな種類があります。分類方法にもよるのですが、用途という括りで分けてもざっと5種類。- 一般的なタウン・セーター
- ノルディックスキーなどで着用するスポーツ・セーター
- フィッシャーマン・ニットやアラン・ニットなど防寒用に特化したウィンター・セーター
- カウチン・セーターなど極地でも耐えうるヘビー・デューティー・セーター
- 学校で着用するキャンパス・セーター
「セーター」と激しく混同されやすいというか、既にされている衣類に「ニット」と呼ばれるものがあります。ちなみに「ニット」とは、1本の糸をループ状にして、そのループを絡ませながらつないでいくことによって、1枚の生地を構成したもののことを指します。ですから「ニット」の手袋もありますし、マフラーや、肌着や、スカートもありますので、それは必ずしも「セーター」のことではありません。
「セーター」をどう着ているかが、「洗濯」のカギ
私たちの着ている「セーター」には前述のどんな汚れがついているのか(つきやすいのか)、自分の生活を振り返って考えてみましょう。防寒目的の中着としてか、下着の上に直に身に着けるのか、シャツなどの上に身に着けるのかなどにもよりますし、その「セーター」を着てどういった活動をするのかにもより、適切な洗濯頻度は変わってきます。
素材を知っておくことも大事です。一般的に「セーター」に代表されるニット類は、「毛(羊毛、カシミア、アンゴラなど)」「アクリル」「綿」「麻」「シルキー長繊維(トリアセテートなど)」といった天然繊維、化学繊維でできています。
この「セーター」の素材として代表的な「毛」、中でも「羊毛(ウール)」の毛は、水に濡れると毛のウロコのような部分(スケール)が膨らみ、絡み合って縮む「フェルト化」の起こりやすい素材です。
「羊毛」の「フェルト化」を起こしにくい洗い方というのが、洗濯機のウールマークコースやオシャレ着洗剤(中性洗剤)での手洗い、ドライクリーニングになり、他の素材でもこの選択肢を応用する形になります。
繊細な素材で、そう頻繁な洗濯回数を想定していない特殊な商品である場合など、プロに頼むドライクリーニングであっても劣化のリスクは避けられません。
反面、もともと「下着の上にスーツのインナーなどとして着用する」ことを想定されている商品では、「洗濯機洗いOK」なものもあり、そういった「セーター」の場合、割合ラフな扱いでも傷みにくくなっています。
つまり忙しい人、ズボラな性格、等々含め、購入時から自分のライフスタイルを鑑みた「セーター」を購入するというのも大切なポイントなのではないかと思います。
洗濯しにくい「セーター」には「ふき洗い」を
自分が汗かきだと自覚している場合など顕著ですが、洗いにくいタイプの「セーター」を放置してしまい、「脇汗」の形にシミになってしまっても、物悲しいですよね。そんな場合は、綺麗なタオルに、薄めた「オシャレ着用洗剤」を染み込ませ、えり、脇下、袖口といった汚れやすい部分をやさしく拭き取り、洗剤分のついていない濡れタオルで汚れと洗剤分を拭き、風通しの良いところで乾燥させるといった「拭き洗い」という方法もあります。
体質、ライフスタイルなどにより「セーター」の汚れ方は人それぞれ。「洗濯頻度」も画一的な目安というのは、あるようでありません。
自分の場合は、いかがですか? ちょっと思いを馳せてみてください。
【参考文献】『最新ニットの基礎知識』(津田幹男/株式会社センイ・ジャァナル)、『衣類の洗濯・収納・お手入れ便利貼』(山崎勝/幻冬舎エデュケーション)
【関連記事】