住宅リフォーム/リフォームのトラブル・失敗

リフォームの保証期間は大丈夫?不具合が発生した時の対処法

リフォーム後に不具合が発生したら、保証はどうなるのでしょうか。またその期間は? 補修費用は? 新築とは違う保証や保険制度についてご紹介します。また瑕疵(かし)保険についてもあわせて解説。

尾間 紫/Yuu

執筆者:尾間 紫/Yuu

リフォームガイド

リフォーム後の保証と保険を理解しておこう

リフォーム後に不具合が発生したらどうしますか?その補修費用は誰が払うのでしょうか?新築の場合は引き渡しから10年間、品確法で定められた範囲において瑕疵の保証がされています。しかしリフォームは個別の対応になり、期間もまちまちです。いざという時にあわてないよう、保証と保険の制度についてしっかり理解しておきましょう。
   

リフォーム完成後に不具合が発生、保証期間が切れていたら

住宅建築の場合、設備機器の保証と、施工会社による工事の保証は別に存在し、内容も期間もそれぞれ異なります。またリフォームは新築と違い、品確法のように法律で定められた特別な保証期間はありません。一般的な商品を買った時と同じように、民法による瑕疵担保責任の期間として1年間の保証が定められているだけです。電化製品の保証書の多くが期間を1年間に区切っているのは、この民法を根拠にしています。

では実際にどれくらいの期間で不具合が発生しているのでしょうか?設備機器に関してのデータがあります。日本リビング保証株式会社が2013年に、最近10年以内に住宅設備機器を購入した人を対象に調査を行ったところ、10年以内にキッチン、バス、トイレなどの水まわり設備や電気機器の不具合が2~3回発生し、そのうち91%が保証切れだったという結果が出ました。つまり不具合の多くは、保証期間の終了後に発生していることがわかります。

それにしても住宅設備の保証が1年というのはちょっと短い気がします。また設備だけでなく、水漏れをしてしまった場合などは、誰がどのように保証してくれるのでしょうか?
 
円グラフ

最近10年以内にいずれかの住宅設備機器を購入した方。メーカー保証が終わっていたら修理費用は自己負担に(2013年日本リビング保証株式会社調べ


リフォームの保証は複雑に入り組んでいます。設備機器と工事の保証が別なだけでなく、会社によっても期間や適応条件が異なります。そこでまずは設備機器の保証から整理してみましょう。
 

キッチンや照明などの設備機器には製品保証が、期間はそれぞれ異なる

取説と保証書

水栓金具にも取扱説明書と保証書があるので、忘れずに貰っておこう。画像はTOTOの水栓金具の保証書見本。

例えば、システムキッチンの交換工事の場合、キッチン設備そのものについては、メーカーから製品の保証が受けられます。住宅設備は工業製品ですので、電化製品などと同じように製造者責任としての保証がついています。

設備機器本体の保証期間の目安は、システムキッチンやシステムバス、水栓金具などが2年程度、照明、食器洗い機、ディスポーザー、給湯器が1年程度です。リフォーム終了後、引き渡し時にメーカーの保証書を忘れずに貰っておく必要があります。
 

工事に対しては、リフォーム会社との保証契約をしっかり確認する

保証契約書にサインを交わす人

契約書を交わす際に、保証についての取り決めも忘れずに行う。大事なことは約款や添付の書類に書いてあるのでしっかり読んで。

キッチン交換工事では、単体で購入する電化製品と違い、施工会社による工事が必要です。その工事に関して瑕疵があった場合、請負業者による保証があります。

瑕疵とは、一般的には壊れていて使えない物のことで、建設工事の場合は、施工図面に一致しない点や傷・欠陥・故障・不具合など建築物の価値を減じる点とされています。

その際の大事な根拠となるのが、依頼者と施工会社の間で交わす保証契約です。リフォームの保証はそれぞれの施工会社が独自で設定していますので、契約を交わす際には、細かい取り決めを確認しておきましょう。

リフォームの保証の多くは部位別に期間が設定されていて、外壁や防水は5年~10年程度、構造は5年程度、内装は1年程度が目安です。

契約時に保証についての取り決めが何も無い場合は、保証期間は民法に基づき1年となります。また法律では、瑕疵の具体例についての定めはありません。どんなケースで保証が受けられるのか、保証外となるのはどんな場合かなどを確認しておきましょう。
 

リフォーム会社が倒産したら保証はどうなる?瑕疵保険という仕組み

瑕疵保険登録事業所は安心

リフォーム瑕疵保険は会社が倒産しても、補修費用に保険金が出る。瑕疵保険登録事業者は安心できる業者選びの目安にも。

では施工会社が倒産してしまったら保証はどうなるのでしょうか。一般的には、メーカーや販売店が倒産した場合、誰にも請求できません。

しかし建築工事の場合、金額が大きいこと、また生活にダイレクトに響くため、こういった状況から消費者を守るための制度が特別に用意されています。それがリフォーム瑕疵保険です。

リフォーム瑕疵保険は事業者が加入する保険です。瑕疵の調査や補修の費用に保険金が出るので、業者側も安心してアフターフォローに向きあえます。これは依頼者にとっても大きなメリットです。また万が一、会社が倒産してしまっても、依頼者は保険会社に直接、保険金の請求ができます。

保険期間は構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分は5年間、その他の部分は1年間、対象範囲はリフォーム工事を行った全ての部分です。保険に加入すると、工事中や完成時に第三者の専門家による検査が行われるのも安心材料のひとつになります。

リフォーム瑕疵保険の登録事業者は、全体から見るとまだ割合としては少ないですが、安心できる業者選びの目安にもなります。登録事業者の検索サイトは下記にありますので、参考にしてみて下さい。
住宅瑕疵担保責任保険協会「登録事業者等の検索サイト」
 

自分でかけられる延長保証や、検査と保証がセットになった保険も

検査と保証がセットになった保険も

最近では、メーカー保証が終了した後も安心して暮らせる仕組みが増えている。

さてリフォーム瑕疵保険は、あくまでも事業者が入る保険で、倒産しない限りは、施主が直接保険会社に請求することはできません。他に、普通の保険のように、依頼者が直接自分で掛けられるサービスもあります。

設備機器の場合、延長保証サービスがあります。各設備メーカーや販売会社が有料で行っている延長保証制度の他に、保証サービス会社でまとめて加入する方法もあります。例えば、日本リビング保証株式会社の場合は、メーカー保証が終了しても、購入後最長10年間、メーカー保証と同等の修理サポートを受けられるサービスを提供しています。

またリフォームは数多くの設備機器や工事の保証が交錯して、手続きも煩雑で大変なため、最近では、それらを一括で引き受けてくれて、定期的に家の点検もしてくれるサポートサービスもあります。

国交省の中古住宅・リフォームトータルプラン参考データ集によると、持ち家居住者が、「今後、リフォームを行いやすくするための改善すべき点」として「保証」を最も多くあげ、7割以上を占めています。保証や保険制度を上手に活用、まさかの時にしっかり備えて、安心してリフォームにのぞみましょう。

さてリフォームの悩み事と言えば費用のこともあります。リフォームの見積もりのチェックの仕方については下記でご紹介していますので、あわせてご覧下さい。
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